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倒壊する巨塔 THE LOOMING TOWER ハマり度☆上質ドラマ
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●2018年 アメリカHulu  全10話
●原作:Lawrence Wright「THE LOOMING TOWER」
●クリエイター:Dan Futterman Alex Gibney
●出演:
ジェフ・ダニエルズ(ジョン・オニール)
Tahar Rahim(アリ・スーファン)
マイケル・スタールバーグ(リチャード・クラーク)
Peter Sarsgaard(マーティン・シュミット)
●視聴終了:2018.5.11
●Story:
アルカイダの動きが活発化。アメリカ政府は対応局アレックステーションを設置しCIA・FBIが情報を共有することでテロの脅威に備える準備をしていた。しかし、CIA側のリーダーシュミットはFBI側とは意見が違うことから情報を常に隠した。アルカイダを戦争敵国として壊滅を目指すCIAと目前の自国民を守る事を優先したいFBIの対立が深まっていく・・・。
9.11は防げたのだろうか
取材と検証を重ねたノンフィクションを原作とした本作
丁寧でリアルな作品から伝わる無念
ピュリッツァー賞を受賞したノンフィクション作品をベースとしてドラマ化された本作は、丁寧に、そして踏み込んで描いてあり、まるでドキュメンタリーのようでした。
それを実感させたのは、時折挟まれる実際の映像。
事後検証を進めることで、あの時対応していれば9.11は防げたのではないか?十分それに対応できたのではないのか?という重大な転換点が見えてくるものでした。

FBIの若き優秀な捜査官がイスラム教徒であることで、歪曲させたイデオロギーで動くアルカイダとそのコトバ面だけをアメリカ憎しで真に受ける構成員の存在などを浮き彫りにしてあります。

カタルシスなどない、ただ重大な事件を二度と起こさないために何を理解しようとすべきだったのか、何が問題だったのかを考えさせられるそんなドラマ。
9.11は起こってしまった。そこに向かう流れは止められないという事実があるために、止められる可能性のあるシーンでは見ていて焦りが湧きおこる。胃の奥が痛くなる思いを抱きながら見ることになりました。

責任がどこにあったのかドラマの様子だけ見ると無念と反省点が生かされるのかどうかは謎のままの上層部の答弁の様子や、CIAの戦争強硬論のマーティン・シュミットが復帰もしていて、おい!とツッコミたいが彼の責任は表面上は問えないもどかしさなどが残ってしまう。

現場での立ち位置や問題の優先順位など分析する人間やことにあたる人間によって差は大きい。そこを共有しながらすり合わせていってほしいが・・・。

「伝える」という意欲がにじみ出た深いドラマでした。