アジア・日本ドラマ

Netflix日本ドラマ「全裸監督」視聴感想

全裸監督

配信前からSNSで強烈なインパクトを振りまく日本ドラマ「全裸監督」の番宣が目についていました。

見るかどうかはあまり考えていなかったのですが、ドラマ作りに取り組まれたNetflix日本発実写オリジナル作品のコンテンツディレクターである坂本和隆氏による記事を読み本作を見ることにしました。

テーマはAVの帝王村西とおるを描いたシリーズということで、大人むけ

1980年代のポルノ業界の話となると、女性である私が見て一体どうなのか、最後まで見られるのか不安でしたが、ドラマ作りに海外ドラマの手法を取り入れているなどグローバルなクオリティーを目指す姿勢により興味がわきました

今回も本作について感じたことを主観的に語っていきたいと思います。

前半はネタバレなし。後半以降がネタバレアリとなっています。

作品情報

配信: Netflix

シリーズ

シーズン12019年 全8話 ←今回ココ
シーズン2制作決定

監督・脚本・キャスト

監督

総監督:武正治 百円の恋(2016年)

河合勇人 内田英治

脚本

山田能龍
内田英治
仁志光佑
山田佳奈

キャスト

山田孝之(村西とおる)
満島真之介(荒井トシ)
玉山鉄二(川田研二)
國村隼(古谷伊織)
石橋凌(池沢)
リリー・フランキー(武井道郎)
森田望智(黒木香)他

冒頭あらすじ

老いた母、妻と二人の子を抱えた村西とおる。

だが英語教材訪問販売で全く売れない村西に、上司が成績トップの営業マンと組ませてくれた。

成績はめきめき上がりトップセールスになったが、売上金はすべて盗まれ、途方に暮れていた村西が目をつけたのがポルノだった。

予告編

ここで予告編をご紹介します。

BGMが時代感を醸し出すユーロビートの元祖ペットショップボーイズというセンス!!!

村西が自分の感性を生かしながら情熱を傾けられる絶好の世界を見つけていくエネルギッシュな様子が見て取れます。

全裸監督の個性と魅力

主人公は時代の風雲児兼問題児

山田孝之の演じた主人公村西とおるは実在の人物をモチーフにして作り上げられたキャラクター。

バブル期の日本ポルノ業界に現れた風雲児としてのキャラクター性を押し出した人物設定となっていて、法的にグレーゾーン~黒ともいえる活動を続けたアンチヒーローといえる人物になっていました。

ヤバい世界の中を泳ぐジェットコースタードラマ

業界の大物、警察、裏社会と渡り合うしかなくなる厳しくもヤバい世界を泳ぐ村西と仲間たち。

人を愛し、女性を愛し、ポルノを愛している彼らが直面する現実のポルノ業界の壁と法の壁、そして儲けのある所に集まるコワい筋。

ピンチと脱出、絶望と成功、七転び八起きのエピソードに自然と乗せられていきました。

クオリティーのためにとられた方針

先ほど、アメリカドラマの制作方法を取り入れたという記事を読んだと言いました。

本作では”「ナルコス」に携わった脚本家さんを呼びワークショップを通して世界観を構築した”そうです。

また、”健康的なスケジュールの中で制作がなされるよう10時間労働”を守り、”2年半をかけて準備”された結果、スタッフの力量もあり”3カ月の撮影期間で終了”したそうです。(前出のNetflixの記事より)

1980年代~昭和末までのポルノ文化を知る

バブルに沸いた日本で生まれていたポルノ雑誌。

昭和の終わりごろにはVHSの普及で広がったAV。

今でも日本の巨大産業の一つはポルノであると言いますがこのころからその産業の拡大が始まったのだなということが分かります

大人の女性である私からみてセックスシーンはどうだったか

不快感などはなく、むしろ真剣な彼らの姿の中に少しばかりのコミカルさをちらりと感じられました。

あくまでもこのシーンは彼らの真剣な人生の一コマ一コマで、人物によってそれは後悔、悲しみ、解放のきっかけや情熱といった部分に直結するものとして描かれていました。

全裸監督S1とは

1980年代日本ポルノ業界に現れた風雲児の軌跡
シリーズ化を視野に入れた重層的で群像的な描き方が魅力

ハマリ度

3.5

テーマがポルノ業界、しかも日本の、というところで、なぜか生々しいものを感じてしまい場合によってはスルーするところでした。

制作陣のドラマ作りの姿勢を知ることができ、それを踏まえて作品を見てみると人間ドラマとエンタメ性のバランスの良さの上に俳優陣の演技のクオリティーが更にドラマを押し上げていたと感じました。

私の中では、「ボードウォーク・エンパイア」のように、表の世界と裏の世界の境界があいまいな場所で展開される物語に魅力を感じました。

國村隼さん演じる裏社会のボス古谷やリリー・フランキーさん演じる汚職刑事武井など、個性的なキャラクターの更なるヤバみまで描きこんでくれそうなシーズン2も気になります。

本作はNetflixで観られます。 大人向けです。

ここから後半はネタバレがあります

ご注意ください

 

ネタバレあらすじ・感想

主人公の非凡さとドラマの方向性を見せた冒頭

売上最低の英語教材訪問販売員だった村西が売り上げトップの先輩から教えを受けめきめき腕をあげトップセールスマンに。

しかし(明らかにその先輩に)売り上げをすべて盗まれ会社は倒産。

途方に暮れた村西が目をつけたのがポルノでした。

販売力はあるけれどどこか胡散臭げな村西のメンター役を演じたのは板尾創路さん

板尾さんのくだりでこのドラマが見せようとしているどこかオフビートなニュアンスだけでなく、海千山千の怪しげな者たちも集う物語というニュアンスが伝わってきました。

業界のドンとの対峙

奇抜なアイディアと法すれすれで勝負し結果を出し始めた村西の前に立ちはだかったのが、業界最大手ポセイドンの池沢社長。

石橋凌さん演じる食えない大物社長ぶりが冴えてました。

韓国俳優さんなら、イ・ギョンヨンさんと似た位置づけになる大物感だなとついつい感じながら見ました。(最近見た「ナインルーム」のイメージが強いのかも)

ライバル潰しで懐を肥やす汚職刑事も

池沢とねんごろなのが汚職刑事武井

のらりくらりとした雰囲気と独特の会話力を持つ武井は、力関係の見極め、公権力の使い方など、もっとも頭脳派ともいえる立ち回りを見せる人物でした。

池沢から吸い取れる間は池沢のライバルを潰す役割を続ける武井に煮え湯を飲まされる村西達でした。

敵か味方か、裏社会の実力者古谷

國村隼さん演じる古谷。

物腰はどこか柔らかだけれど、彼の奥の奥には鋭く残忍な本当の意味での裏社会のルールが脈打っているコワさがジワリと見えてきました。

敵にしても味方につけても地獄という…。

村西がアダルトビデオジャンルで成功しはじめるも池沢の横やりで七転八倒し、再起をかけたロケ先のハワイで逮捕され懲役370年という刑を受けた時、保釈金を稼ぐために村西の仲間のひとりトシが古谷に頭を下げ彼の懐に取り込まれてしまいました。

今だけ助けて、というのは通じない相手でした。

トシは戻れない橋を渡ってしまい、薬に走り、ついには村西たちとはもう活動できなくなってしまいました…。

シーズン2ではトシは完全に古谷がわでスタートです…。

時代のアイコンの一人となった黒木香

村西との出会いで本来の自分を解き放った女性として黒木香という人物が描かれました。

テレビの社会派討論会などで女性が性を語るという、当時、衝撃的で画期的な図を生み出した彼女の姿。

この黒木香さんは、おこちゃまだった私でも見た記憶があるほど印象に残る方でしたが、あの方がこ物語のような背景の中活動されていたのかなと思うと何か一つの答え合わせが出来たような感覚になりました。

シーズン1の結末

黒木香の人気を追い風に村西たちのサファイア映像のコンテンツがヒット。

AV業界のドンだったポセイドン社は資金力と動員力を利用しブラックゾーンの作品作りを加速させ村西たちを潰しにかかりました。

けれど、成熟しきったポセイドンを見限ったのは武井でした。

平成へと時代が変わり、一斉検挙キャンペーンに入った警察の方針の中池沢は逮捕されました。

武井は登り龍となった村西達に鞍替えした可能性が高い。

一方、古谷の組に入るしかなくなったトシ。

村西たちサファイア映像の快進撃が始まるのか、まだまだ危機は続くのか。

さいごに

一言で言って、勢いのあるドラマでした。

劇中の村西たちの見せるポルノや生き方に対する熱量が圧倒的だったという感じです。

山田孝之をキャスティングすると決めた制作陣、それを受けてここまでやり切った俳優本人とのケミはすさまじく、全世界190か国に配信されているNetflixで日本にもこんなパワフルな演技までできる俳優がいると知ってもらえただろうなと感じてうれしく思えました。

真面目考

女性にしてみると、あまりにおそろしい現場の様子もあえて描かれ、こういう事実がまかり通っている世界もあったんだ、もしかしたら今もあるかもしれない、という気づきにもなりました。

最終話、原版が流出することで起こる犯罪が引き起こした被害も描かれました。

人を人とも思わない世界や人間たちは明らかに存在する、という恐ろしさは忘れてはならないでしょうね。

タブーとされていた部分や見えていなかった部分がフィクションという形ででも明るみに出ることが、人権を守るという視点で誰かの身も自分の身も守る何らかの助けになるのではないかとふと感じました。

性を直視しつつ人間の本性や闇をあぶりだすような物語は海外ドラマで沢山見てきましたが、本作はまさに性を直視したことで描けた日本ならではの物事があったなと感じました。

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