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AMERICAN CRIME

Note
放送:アメリカ ABC
シーズン1 2015年 全11話 / シーズン2 2016年 全13話
シーズン3製作予定あり
レビュー :  シーズン1


HOME海外ドラマのあしあとアメリカン・クライム>シーズン1
AMERICAN CRIME ハマり度☆やりきれない
●2015年 アメリカ  全11話
●クリエイター:ジョン・リドリー
●出演:
フェリシティ・ハフマン(バーブ・ハンロン)
ティモシー・ハットン(ラス・スコーキー)
W・アール・ブラウン(トム・カーリン)
●視聴:2016.10.28-11.3  AXN

●Story
ラスは長男マットが強盗殺人に遭ったと知らされた。
嫁グェンは意識不明、レイプの痕跡があるという。
殺人で逮捕されたのは麻薬中毒者カーター。
他従犯とされる逮捕者は2名。
ラスは別れた妻バーブ、グェンの両親らと
マットの埋葬地でもめたりするのだった。
S1 レビュー
1-4話  5-8  9-11  完
発生した1件の殺人事件
人種差別・移民問題・薬物が絡むアメリカの影を描く
じっくりと考えに考えさせられるドラマでした。
転落したあと、どうやって立ち直るのか、助けは必要か、なければ無理なのか?

孤独に戦うもの、
家族の支えがあり立ち直る兆しを見せるもの、
救いようがないもの、
絶望から戦意を喪失するもの。
それぞれが過去の自分や周囲との関係の中ではぐくまれてきた生きざまで、
今の行動をかたち作っているのだとリアルにつたわってくる。

物語の最後の方で、カーターの姉アーリアの言葉に”報い”というものがありました。
嘘や裏切りに対する報いもあれば、
善きことをした報いという意味合いもある。

悪意を向けられ受けた被害に対して犯罪で報いても、また自分に報いが来る。
それを知ったのはトニーだったし、
誰かを守ろうと必死だったヘクターは良い報いを受け、うまくいった。
そうとは気づかずに周囲を差別し傷つけていたバーブは
再三の指摘も受け入れられないことで本人にとって一番つらい形での報いが来ていました。
決して犯罪ではないけれど、差別が蝕むものは大きい。

考えても、起こったことに向き合うしかないのが人生とはいえ、
ではラスはどうすればよかったのか。
やはり逃げてはいけない時期に逃げてしまった、それだったのか。

今精いっぱい家族それぞれの思いを受け入れ心を込め続けること、それしかないのかな。


2016.11.3
S1 11(最終)話まで

互いに悪影響となってしまう二人を引き離そうと、オーブリーの母はカーターに会い
大切に思っているならばここで別れてくれと懇願。
オーブリーを守れるのは自分しかいないと固く信じていたカーターだったけど、
必要最低限の事以上のことは何もできないという事実を思い知らされました。
別れるとサインをもらったオーブリーは、彼のために自分がやったと自白。
細かな状況証拠とも一致しカーターは釈放となりました。

実行犯だという確信を拭えないバーブやラス。そのカーターが釈放されることが納得いかない。
でもどうしようもない・・・。

婚約者を紹介したこの機に、元の家族に戻れないと確信したたマークは
母・父とも決別し、ドイツへ行くことになっていました。
息子を失ったバーブの心のよりどころはもうない。
そんなバーブを気遣い、ともに歩もうと語るラス。関係は以前よりも良くなっていて。
でもバーブはラスとやり直す気はない。

家族から逃げないと決めていたラス。
だけど、家族の元以外行くところはない。
絶望から一度は拳銃を手にしたバーブ、思い直しラスに預けていました。

町を歩くカーターを見つけ、銃を向け発砲したラス。
そして自らも撃ち自殺してしまいました。

アロンゾはトニーのために動いてくれる弁護士を雇うために工場を売り、
民事裁判に持ち込んで釈放を勝ち取りました。
愛情が束縛だと感じていたトニーにとって、父の一番大切なものを手放してくれた意味の重さは伝わり、
そして姉ジェニーがことの発端を明かしてくれたことが決め手でした。
もう絶対に挑発には乗らないトニー。最悪の苦境を越えて学んだことは大きかった。

そして、オーブリーの自白で、証言が虚偽とされてしまいメキシコへ送還されてしまったヘクター。
5歳になる娘のために必死なんだけど、
メキシコでの殺人罪では助けた仲間に虚偽の証言をされて裏切られて犯人とされてしまったらしく、
有罪を逃れる方法はなく絶望的。
しかし、アメリカへの逃亡中、状況は変化。
証言者は現れず、不十分で不起訴となりました。
英語が喋れることから就職に有利となり、まともな父親となるために根性を出しそうです。

2016.11.2
S1 8話までそれぞれが戦っていて

保釈されたカーターに犯罪者引き渡しの取り決めのないベトナムへ逃げようと
懇願し行動に移したオーブリー。
けれどクスリが切れモデストに引き返し、結局麻薬を買いに売人のところに行き
傷害事件を起こした挙句、持って逃げたヘロインの過剰摂取で意識を失ったオーブリー。
救急車を呼んだカーターはそのまま逮捕されマット殺害事件では不利に。

弟を助けようと本腰を入れた姉のアーリヤ。
マットを英雄視し、人種による憎悪殺人のイメージをテレビで振りまくバーブに対抗すべく
アーリヤは検察の捜査方法についての調査を市に依頼に行き、
市の反応が芳しくないと分かってからは、
マットが反政府論者の売人であるという背景を隠す現状を打開するべく、
平和的デモを呼びかけました。

アーリヤに対抗しようと同じ日にデモを考えたバーブ。
でも世間では差別主義者としてのイメージが定着してきており、
協力してくれる組織は、過激な差別主義団体のみ。
自分がそうだと気づいていなかったバーブは愕然としています。
でも、息子はずっと分かっていました。
次男のマークは1年付き合い結婚を決めた恋人がアジア系であることを今やっと話したんだけど、
挨拶だけでもとお母さんに会った彼女はその洗礼を受けてました。

鑑別所から出所したトニーを待っていたのは周囲の冷たい視線。
姉のジェニーはトニーのことで侮辱され反抗したところを男子に殴られあざに。
その報復をしてしまったトニー。悪い仲間にそそのかされてのことで、
それを映像に残されていたのが致命的でした。
裁判は成人として扱われるらしく、有罪が決定すれば刑務所です。

一方、不法移民のヘクターは、カーターに関する証言と引き換えに
メキシコへの送還をしないという連邦政府との取引に持ち込みました。
うまくいくかは不明です。というのもあの証言は本当なのか怪しいので。
カーターもオーブリーも無実だとずっと言っていて、なまじ逃げ口上とももう思えないんだけど。

目覚めたグェン。記憶障害が残り、リハビリは遅々としています。
お母さんとしては娘が記憶を取り戻すのがいいのかどうか悩ましいところ。

そして20年前の窃盗の前科を隠していたとオーナーに知られて
働いていたホームセンターをクビになったラス。
事件のあと放置されていたマットとグェンの家の掃除・修理をしながら
泊まることにしました。気が滅入るラス。
でも彼は今回の試練からは絶対に逃げないと強い意志を保とうと頑張っています。

2016.11.1
S1 4話までだけど何かがじわじわくる作品

時系列で物語は進み、
時に必要な回想シーンなど挟まれながら状況の補強がなされる。
まるでドキュメンタリーのような作風の本作は、見進めていくにつれ、
徐々に事態の本質や背景が見えてきます。

被害者は別の側面では加害者で、
まともな社会生活を送れていないからと言って直ちに彼らが凶悪犯とも呼べない。
けれど、誰もが罪をおかしている。
本件の被害者の両親たちにしても、子らに対して罪をおかしていないとも言えないんです。

さて、物語。
20年前、ギャンブルと酒が原因で離婚し、ここ数年二人の息子との関係を修復してきたラス。
そのラスは長男マットが強盗に殺害されたと聞かされます。
逮捕されたのは麻薬中毒者カーターで、
彼には意識不明となっているマットの妻グゥエンのレイプ容疑もかかっていました。

他、事件後にマットのカードを使ったメキシコ人不法移民ヘクターと、
ヘクターに車を貸した高校生トニーが従犯として逮捕されています。

トニーは整備工場を営む父と共にいじっていた車を小遣い稼ぎで
友達に貸していただけだったんだけど、
ヤバい奴も聞きつけてきて貸さないわけにも行かず貸したというのが真相。

だけど、ヤバそうな奴が犯罪に使うかもしれないと気付いていたという証言のせいで、
トニーが逮捕されてしまい、弁護士をつけずに自白させたことを後悔する父親アロンゾ。

マットの遺体をグェンの住むこの街に埋葬してやりたいというグェンの両親と対立したのは
マットの母バーブ。
親たちがもめている間に、マットが薬を常用し、売ってもいた売人だと判明。
グェンがレイプ被害を受けたと疑われた体液はカーターのものではなかったこと
そして複数人相手で合意だった可能性が高いことが判明し、
それぞれの両親がうろたえているうちに
カーターの予備審問ではレイプ・殺人の罪は確実とは言いきれず、
保釈が可能と言い渡されました。

喜んだのはカーターの姉アリーヤ。
辛い境遇を乗り越えるのに宗教が助けになったことから、彼女は今イスラム教徒。
カーターがヤク中の白人オーブリーといることで泥沼から抜け出せないと信じている姉は、
オーブリーと別れることを条件に保釈金を用意するといっています。

オーブリーはカーターと共に逮捕されたのち自分だけ釈放されたとき、
頼る人がなく里親に助けを求めています。
裕福な家庭の養子だったオーブリー。お父さんは彼女を救おうと必死。
だけど、普通の暮らしができないオーブリーはまた親を裏切りそうです。

一つ一つシーンが進むごとに見えてくる真相に惹き込まれそうです。
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