2018年の韓国映画「工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男」を見ました。
青龍映画賞(2018)では監督賞を、百想芸術大賞(2019)では作品賞を取ったヒット映画で見たかった作品でした。
実在したスパイのストーリーゆえに渋みとスリリングさを兼ね備えていた本作について少し語っていきたいと思います。
今回はネタバレしながら語っていきますのでご了承ください。
作品情報
2018年 韓国
監督・脚本:ユン・ジョンビン
悪いやつら(2011)
ベルリンファイル(2013)
群盗(2014)
金の亡者たち(2019製作・企画にて参加)
キャスト
ファン・ジョンミン(パク・ソギョン=黒金星)
イ・ソンミン(リ・ミョンウン)
チョ・ジヌン(チェ・ハクソン)
チュ・ジフン(チョン・ムテク)他
「工作」の時代背景
北朝鮮の初代書記長キム・イルソンが死去し、キム・ジョンイル政権体制がスタートしていた1992年。
北朝鮮側が核開発を進めているとの情報を得た韓国安全企画部は、詳細を確認し核開発を阻止すべく対策を取らねばならない状況でした。
冒頭あらすじ
まずは予告編をご覧ください
優秀だった軍人パク・ソギョン、コードネーム黒金星。
北朝鮮の核開発に絡む実情確認を行う潜入任務の事を知るものはわずか4人だけ。
敵地での緊迫の心理戦や、ある大きな真相に迫るらしいことが分かる予告編です。
工作 黒金星と呼ばれた男 の魅力と見どころ
ヒューマンな味わいを持つ演技派の共演
主演は実力派ベテランのファン・ジョンミンとイ・ソンミン。
本作では、役割や任務に忠実であり、同時に事情に流されない信念をもつ男たちを演じていて、ラストにはえも言われぬ熱い余韻を残しました。
これほど命がけといえる状況はないのでは?
というほどのシビアな局面での表情や視線から伝わる緊張感。
そして、切れ者同士の探り合いから友情のようなものまで、二人の見せる感情が渋く熱く伝わってきました。
国家間の闇の大談合・実話ベースゆえの肌寒さ
北に潜入していたスパイ黒金星がリアルタイムで経験した二国間軍事境界線上での緊張状態。
それが一部の人間たちの利害の産物だったとしたら。
大統領選挙に絡み、世論を操るための手段として南北間の緊張状態を利用しようと画策された交渉があったなんて空恐ろしい。
実話ゆえの肌寒さでした。
信念と友情と
冷静さと情熱をもち、命を賭けてそれぞれの国と民の不利益を回避させた黒金星と北の高官リ所長。
立場は違えど、信念が一致していた二人の友情にはぐっときました。
ともに語り合う機会はなくとも、視線と思い出の品だけで互いを敬い友情を伝えあうシーンが素晴らしかった。
「戦友」「同志」
使い方は正しいかどうか不安ですが、そんな言葉が浮かびました。
工作 黒金星と呼ばれた男とは
1990年代、北朝鮮に潜入したスパイがいた
国のために命を賭けた実在のスパイが見た国家の裏側
ハマリ度は
3
本作は、何よりも実話ベースであることがずっしり来ました。
究極の現場で、難しい選択を迫られ、信念を貫き生き延びた黒金星。
演じたファン・ジョンミンという俳優はいつもなぜかカッコいい。
どんな役をしていても、ちらりちらりと見える親しみやすさと思慮深い視線。
目的と素性を隠していても、相手であるリ所長には伝わっていた人間性。
これはファン・ジョンミンだから良かったと感じるキャスティングでした。
それにしても、北の指導者役の方のシンクロ率、かなりいい線でした。
映像作品は少なからず脚色はあるので、あくまでも「実話ベース」。
けれど、黒金星というスパイ活動をした人物が実在したのが確かであるというところ、それを映画化したというところがやっぱりすごいですよね!
ちなみに、実話ベースの南北のスパイ活動について描いた「出国」という映画も2019年に作られています。
あわせて見てみるのもいいかもしれませんね。