私がこよなく愛したWANNA ONEの一人オン・ソンウが俳優として出発すると同時に主演をつとめた記念すべきドラマ2019年夏Jtbc放送の「十八の瞬間」。
相手役のヒロインは子役時代から活躍し、映画ですでに大ベテランたちと比肩する存在感を示す演技派キム・ヒャンギ。
オン・ソンウがWANNA ONEとしてデビューしてから見せてくれた魅力を追体験できるようなシーンがそれとなく入っていたように感じたのは、オン・ソンウの魅力をどう見せればいいか知り尽くしていた制作陣の視線だったのかもと感じるほどでした。
韓国で18歳(数え年)=高校二年生の主人公たちの物語を見終えて、私の感じた本作の魅力を語っていきたいと思います。
ネタバレありのあらすじ・感想は後半以降です。
作品情報
放送
2019年 韓国Jtbc 全16話
演出・脚本・キャスト
演出:シム・ナヨン
魔女宝鑑(2016)w/チョ・ヒョンタク
ヒップホップ先生(2017)
短編 真夏の思い出(2017)
十八の瞬間(2019) 他
チャン・ジヨン
十八の瞬間(2019)
脚本:ユン・ギョンア
ドラゴン桜(2010)
ブレイン(2011)
メディカルトップチーム(2013)
完璧な妻(2017)
キミに猛ダッシュ(2017)
十八の瞬間(2019) 他
キャスト
オン・ソンウ(チャ・ジュヌ)
キム・ヒャンギ(ユ・スビン)
シン・ソンホ(マ・フィヨン)
カン・ギヨン(オ・ハンギョル)
ムンビンASTRO(チョン・オジェ)他
冒頭あらすじ・予告編
18歳高校2年生のチャ・ジュヌは前の学校で起った問題の責任を取って転校してきた。
一人親のお母さんと離れて暮らすジュヌは、アルバイトで配達に行った数学塾でクラスの学級委員で学力トップのマ・フィヨンに会った。
翌日、ジュヌは数学塾講師の時計が盗まれた犯人とされてしまっていた。
転校させられた問題児だからとみんなが疑う中、スビンだけがジュヌが犯人ではないとなぜか感じていた。
予告編
日本版DVD発売元の予告編がとても素敵なのでちょっと見て下さい。2分ほどです。
本編中のシーンなど、ネタバレしない範囲の登場人物たちの物語が、本作の雰囲気を保ったまま編集されています。
まるで映画のようですね!
もう一つ、字幕はないのですが、本作の雰囲気が伝わる本国放送時の予告編をご紹介します。
怒ったり、悲しかったり、うれしかったすべての瞬間。
18歳という彼らの経験する瞬間瞬間を繊細なタッチで描いていく物語であることが伝わってきますね。
ジュヌとスビンの何気ない出会いが、二人のこれからの展開に期待感を抱かせてくれる感じもしますね。
十八の瞬間 の魅力と個性
オン・ソンウの実力と魅力
オン・ソンウの芸能界デビューのきっかけはアイドルデビューサバイバルプログラムでした。
11人のデビューメンバーを選抜する番組「プロデュース101シーズン2」に出演したオン・ソンウは、アイドルデビューの夢を実現させました。
実力評価で見せたオン・ソンウの歌・ダンス・ルックス・キャラクターのすべては番組中安定した人気を集め愛されてのデビューでした。
2017年デビューし、2019年1月のコンサートで解散した巨星のような期間限定アイドルグループだったWANNA ONEでしたが、現在みなさんそれぞれ活躍中。
オン・ソンウは、俳優活動の前に夢だったアイドルグループとして輝かしい瞬間を手にして見せてくれました。
感性あふれるオン・ソンウの演技
本作が一貫して描いていたのはさまざまな感情を抱え、純粋に受け止め消化しようともがく18歳の感性でした。
優しく思慮深いジュヌという人物には透明でどこか懐かしさを感じさせる要素がありました。
オン・ソンウはその存在感と演技で私たちにジュヌという少年の18才の瞬間を感性あふれる演技で見せてくれました。
2000年生まれのベテラン女優キム・ヒャンギ
子役時代から活躍し続け、最近では大ヒット映画「神と共に」でそうそうたる第一線俳優たちと肩を並べ並々ならぬ演技力を見せた2000年生まれのキム・ヒャンギ。
経歴実績共にベテランともいえるキム・ヒャンギは、ジュヌ同様優しく思いやりのあるスビンという女子生徒の18才の瞬間を体現してみせてくれました。
繊細な演出
高校で起きた問題、それぞれの家庭内で起きた問題。
18歳はまだ親にとっては子どもだけれど、大人たちの弱さや間違いなどを理解するには十分に大人。
そんな彼らを取り巻く様々な事情がストーリーの中で繊細な演出と映像で描かれていきます。
落ち着いたトーンではありますが退屈な感じではなく、彼らの悲しみや苦しみをどう乗り越えてゆくのかを見守り応援しながら共に歩く感覚で見ることができました。
十八の瞬間とは
18歳の瞬間を生きる主人公たち
繊細な演出と映像で感性豊かに描かれた青春物語
ハマリ度
3.5
18歳を映像にするなら?そう言われてもすごく難しいと思うのですが、本作はそれが映像になっていたという感じです。
主人公ジュヌはあくまでも物語の中心であって、その周りで描かれる高校生たちのエピソードひとつひとつもまた18歳の瞬間を切り取ってありました。
純粋な心をもつ18歳、その心を受け止め守るべき大人の役割を見せてくれる先生もいました。
親とは違う第三者的な立ち位置から18歳の子どもたちが持つ判断力と強さを信じることができる先生が本作での大きな柱でもありましたよ。
とても良かったです、おススメです!
DVD
ここからはネタバレがあります
ご注意ください
ネタバレあらすじ・感想
十八歳にのしかかった重圧
本作の18才は数え年。日本でいうと17才高校2年生。
来年の受験に向けて加熱してしまう進学準備や、親からのプレッシャーを受ける子たちもいました。
ジュヌに敵対心を燃やし陥れたり出し抜こうとしていたクラスのトップマ・フィヨンは、親からの人格否定とプレッシャーに苦しみ、誰かを虐げることで自尊心を保っていました。
自分の醜さをジュヌに見透かされているようで怖かったんじゃないかという気がします。
親を愛する思いが親に反抗する気持ちに勝っていたフィヨンは、親と自分の心に引き裂かれ続けていたようでした。
逃げない心を得たジュヌと先生との関わり
窃盗犯の濡れ衣を着せられ晴らす方法もなく、学校もジュヌを放り出したい状況に。
味方などどこにもいない孤独で孤立したジュヌを引き留めたのが副担だったオ・ハンギョル先生でした。
ファッションオタクで軽薄そうに見えたオ先生。
実は18歳の葛藤と重圧、そして純粋さも理解していて、なおかつ行動力もある先生でした。
大人の立場からも状況が見えている“見守り寄り添う”頼りになる先生との出会いがジュヌにとって、そしてフィヨンにとっても大きな支えとなったようでした。
オ先生を演じた名バイプレーヤーカン・ギヨン
30代の主人公の友人役などで、明るく軽妙なキャラクターで場を和ませる独特の存在感を見せるカン・ギヨン。
「キム秘書はいったい、なぜ?」の主人公の友人社長や「私の恋したテリウス」では主人公の育児メンター主夫などなど、印象に残るバイプレーヤーさん。
本作のような落ち着いたトーンのドラマでもそのカラーが生きていて、オ先生のプライベートまで描かれ微笑ましくてたまらないキャラクターでした。
恋とアイデンティティーに悩む18歳
ジュヌとスビンの初恋だけでなく、他にクラスメイト6人のそれぞれの恋のエピソードも描かれました。
- 自分を大事にしてほしいと願うソヨの真心を再確認して関係が深まったギテ&ソヨカップル。
- オジェ大好きで付き合いはじめたものの、彼氏のオジェがある男子が好きだと気づいたことで親友になると決めたダイン。
- 自分の性的指向に気づき戸惑いと苦しさを抱えるていたオジェ。
- 身の上を嘘で固めていたと分かってもロミを変わらず愛し続けた一途男子ピルサンの恋が実ったラストなど、
恋をしたことで見えてくるそれぞれの人間性やアイデンティティーへの気づきなど薄っぺらくないストーリーが印象的でした。
もう一組はオ先生!先生の恋も実りました♥
各家庭の事情と親の過ち
18歳はもう大人の事情も理解している年ごろ。
生物学上の父との対面で大きな節目を迎えたジュヌや、自分のために離婚を先延ばしにして苦しみ続けていた親を精神的な意味で解放することとなったスビン。
二人は親たちを理解し、自分の思いを伝えることでまた親たちも新たな第一歩を踏み出せるきっかけとなりました。
そしてフィヨンは、成績トップをとるために親が裏で行っていた成績買収の不正行為が明るみになって信用を失いました。
成績が悪いと母や自分を殴るDVの父。父が怖くてお金を使って先生を買収していた母。
たとえトップとはならなくても、十分優秀だったフィヨンを邪魔していたのは親という悲しい現実でした…。
結末
絵の才能があると分かったジュヌは美大に進むことを決意。
けれど、お母さんの仕事の状況が良くないと分かったジュヌは転校してお母さんの住む町に引っ越すと決めました。
スビンとは頻繁に会えなくなる。離れることがさみしいジュヌとスビン。
けれど、まだ18歳。
来年の受験、そして将来設計のために精いっぱい頑張るはず。
二人は励まし合いながら互いの将来を応援していきそうです。
すごく良かったOST
本作のイメージを決めたのがこの素敵な曲
Christopher「Moments」
冒頭のシーンが盛り込まれたほぼネタバレなしのMVとなっています。
二人の出会いと控えめなリアクションが初々しさを感じさせますね~
そしてもう一曲ご紹介したいのが、オン・ソンウ自らが歌うこの曲
オン・ソンウ「私たちが出会った物語」
本作の感性がそのまま感じられる良い曲で、しかも見事な歌唱力となっていますよね。
ダンスもめちゃくちゃうまいオン・ソンウ、歌手としても引き続き活躍してほしいです。