2019年11月に韓国KBSで放送が終了したばかりの「椿の花咲く頃」がNetflix独占配信でスタートしたので早速見ました。
番組最高視聴率が23%にまで到達しヒットドラマとなったことが注目ポイントではありますが、そもそも主演がコン・ヒョジンとカン・ハヌルという地点で当初より大注目していました。
安定した演技力と個性が出せるふたりが見せるヒューマンロマンス、とても良かったです!
それでは「椿の花が咲くころ」について私の感じたところを今回も本音で語っていきたいと思います。
前半はネタバレなし。ネタバレあらすじや感想などは後半以降にあります。
作品情報
放送
2019年 韓国KBS 全20話
演出・脚本・キャスト
演出:チャ・ヨンフン
むやみに切なく(2016)
ベクヒが帰ってきた(2016)
キミはロボット(2018)
椿の花咲く頃(2019) 他
脚本:イム・サンチュン
ベクヒが帰ってきた(2016)
サム、マイウェイ(2017)
椿の花咲く頃(2019)
キャスト
コン・ヒョジン(トンベク)
カン・ハヌル(ファン・ヨンシク)
キム・ガンフン(カン・ピルグ)
キム・ジソク(カン・ジョンニョル)
オ・ジョンセ(ノ・ギュテ)
ソン・ダムビ(ヒャンミ)
ヨム・ヘラン(ホン・ジャヨン) 他
冒頭あらすじ
トンベクは未婚のシングルマザー。
息子ピルグが2歳の時にここ田舎町のオンサンに「カメリア」という名の食堂を開き6年経つが、まだ地元民からはよそ者扱いされていた。
そんなトンベクの味方が街の商店の会長ヨンシクのお母さん。
ヨンシクはまじめ純粋一本気の警察官。
ソウルから地元へと異動となって戻ってきたヨンシクは理想の女性トンベクに出会ってしまい猛アタックを始めるのだった。
予告編
ここでNetflixの予告編をご紹介します。
ヨンシクがトンベクを想い、息子のピルグとも対等の関係を築こうとする姿が見られます。
ヨンシクの真っすぐさやトンベクの笑顔の素敵さが分かりますね。
椿の花咲く頃の魅力と個性
設定・世界観・キャラクター・キャスト・演出のケミ
見始めてすぐに気づいたのですが、本作は設定・世界観・キャラクター・キャスト・演出といった要素が見事に相乗効果を出し合っていて一気に物語に引き込まれていきました。
真っすぐなファン・ヨンシクのちょっと大げさな田舎男子の魅力をコミカルに描きながら、優しくて控え目なトンベクの味方になろうとする姿などのヒューマンロマンスの部分。
そして、二人を取り巻く人物たちのキャラクターや事情なども詳細に設定されていて飽きるということがありませんでした。
サスペンスも絡める強力スパイス
本作のチーフプロデューサーによれば、「秘訣は恋愛4:ヒューマン4:スリラー2の黄金比」だったそうです。
オンサン市で起っていた連続殺人の犯人がトンベクを次の標的にしている可能性が高かったことから、このサスペンス部分がストーリー中で大きな存在感を示していました。
ヒューマンストーリー、それは母と子の物語
本作を貫く大きなテーマの一つは何と言っても“親子”。
特に母と子のエピソードが最も色濃く描かれていました。
韓国ではここまで濃く母の愛を描くことができ、また共感を呼ぶことができるんだなと感じました。
母として理解できる部分と、韓国ならではの部分なのだろうなというところもありましたが。
子役から活躍中のキム・ガンフン君
本作の見どころの一つは、トンベクの8才の息子ピルグを演じた2009年生まれのキム・ガンフン君。
2014年ころから、主人公の子ども時代などを演じてきたガンフン君は本作で印象的な演技を見せてくれました。
何ともいえない味わいまで演じるガンフン君。
これからも期待して見守りたい子ども俳優さんの一人になりました。
“シーンスティーラーキム・ガンフンtvNドラマ出演シーン
tvNで放送された作品に多く出演していたガンフン君のシーンをまとめた動画をtvNが出していましたのでご紹介します。
「ホテルデルーナ」「ミスター・サンシャイン」「ロマンスは別冊付録」「クリミナルマインドKOREA」の出演シーンがおさめられています。
椿の花咲く頃とは
濃く深い母子の物語とまっすぐな情熱が眩しいロマンス
人の心の弱さや偏見の暗さにも触れた秀作ドラマ
ハマリ度は
4.5
カン・ハヌルの除隊後初出演作となった本作は大ヒットとなりました。
熱血さとソフトさ、一途さで猪突猛進する姿と一歩ひいて優しく見守る姿など、カッコ悪いようでいてカッコ良いヨンシクを見せてくれてさすがとしか言いようがありません。
そしてヒロインのコン・ヒョジンは間違いない個性派女優さん。
田舎を舞台にした超ヒューマンロマンスだった懐かしの「ありがとうございます」(2007)をふと思い出しました。
「ありがとうございます」では、エイズの娘をもつ未婚の母で認知症の祖父を看るヒロインをコン・ヒョジンが好演されていました。
話がそれましたが、本作「椿の花咲く頃」は20話、見どころだらけだったと言ってもいいほどでした。
おススメのドラマです!
ここからはネタバレがあります
ご注意ください
ネタバレあらすじ・感想
本作は主人公たち以外のキャラクターについてもじっくりとエピソードが用意されていたと先ほど言いました。
それぞれの状況やセリフによって各キャラクターの人物像が掘り下げられ作り上げられていく感覚を楽しむドラマでもあったなと感じています。
有名人だったピルグの実の父
ピルグの実父は人気野球選手カン・ジョンニョル。
故郷オンサンの小学校野球部に足を運んだジョンニョルは、トンベクを母と呼ぶピルグをみて絶句します。
結婚し妻子がいても8年前別れたトンベクをまだ恋しく思っていたジョンニョルが、彼女と自分の息子会いたさから足しげくオンサンに通うようになるのは必然でした。
当然、リークしようとするものがいたり、行動から記者にバレたりと波乱巻き起こりました。
自分を捨てた母が舞い込む
トンベクは7才の時に母親に施設へと捨てられました。
自分が捨てられたことも母の顔も覚えていたトンベクの人生は、控え目な性格もあって寂しく孤独だったと言います。
そんなトンベクのもとに、認知症の母がオンサンの派出所に保護されていると連絡が…。
トンベクの母に対する憎しみと恋しさ、母が舞い込んできた理由など後半に分かってくるにしたがって切なさが増していきました。
お母さんがやってきた理由
ほぼ後半以降でわかってくるのですが、お母さんは腎臓が悪く、移植しか残された道がない余命わずかな状態でした。
こつこつとかけてきた保険の受取人をトンベクにするために認知症を装ってやってきたことが分かってきました。
お母さんは自分の弱さから娘を手放したことを悔やみ、落ち着いたころ施設に迎えに行くも行く先が分からなくなっていたと言います。
トンベクをやっと見つけたのはオンサンの地。
死を覚悟していたお母さんの最後の願いはやはり娘の幸せでした。
未検挙の連続殺人犯“カブリ”の存在と恐怖
オンサンでは連続殺人犯による犯行とみられる事件が未解決となっていて、犯人が必ず“カブリジマ(ふざけるな)”という文言で始まるメッセージを残すことからカブリと呼ばれているようでした。
そのカブリの最後の殺人現場から唯一生還していたのがトンベク。
5年経ってトンベクがいよいよ狙われていることが明らかとなり、トンベクを守り抜くべくヨンシクは捜査を推し進めついには犯人にたどり着きました。
ヨンシクの愛
トンベクに拒絶されても、自分のお母さんから反対されても、そしてピルグにけん制され、実父ジョンニョルが現れてもトンベクを想い見守り続けたヨンシク。
一途で純情な強さと、トンベクやピルグを優しく包む思いやりにあふれていたヨンシクの魅力無くしては語れない物語でした。
二人が結ばれるまでに経たステップ
息子が自分の血をひいていない子を育てることが残酷だと感じてしまい、子持ちのトンベクを受け入れられなかったヨンシクのお母さん。
町中がほぼほぼ親戚かというような古い町で、血縁関係のない子の親になるということに現実味を感じられない心情が描かれていました。
トンベクの人柄を知り、ヨンシクの本心と覚悟を知り、ピルグとの関係を築き、ピルグの実父の今後の関わり方を知り、そしてトンベクのお母さんからの願いを聞いた。
さまざまなエピソードとステップを踏みながら、ヨンシクのお母さんが彼らの思いを受け入れてくれるまでの様子は本作のアツい見どころともいえました。
偏見に立ち向かうヒロインたちの姿
時代は進み、差別に対する認識も進んできたとはいえ、旧態依然とした偏見が常識だと考える人々もまだいる状況。
一方では、それが偏見だと分かっていても相手を攻撃する理由にしている劣等感と人の不幸を願うマイナス思考の塊のような者たちもいる現実が描かれていました。
本作の主人公たちは堂々と偏見に立ち向かう姿を見せてくれ、そして人の不幸をネタに自分を慰めるようなみじめな人々を相手にしない強さについても言及していると感じました。
真犯人は
真犯人はフンシク。
まるでフンシクのお父さんが犯人であるよう捜査の目を騙すような証拠を現場には残すようにしていたフンシクのせいで、一度はミスリードを見抜けずお父さんを逮捕したヨンシクたち。
ヨンシクによる取り調べでぼろが出てしまったことで真犯人である息子フンシクをかばっていることが分かりました。
とはいえ息子の犯行の証拠隠滅を手伝ったりと共犯関係にあったお父さん。
ここには誤った方法で子を守ろうとし、その責任を自分が取ろうとした父親の思いが絡んでいました。
結末
お母さんに自分の腎臓を移植しできたトンベク。
これからお母さんと共に過ごせる幸せをかみしめていました。
そしてトンベクとヨンシクは結婚。
十数年後、ピルグがメジャーリーグに行くことが決まった日、壁にはピルグの妹のものと思しき女子高校生用の制服が。
感慨深いトンベクとヨンシク夫婦の姿が印象的でした。
OSTを一曲
本作のヒューマンで温かいムードが伝わってくる良曲がこれ
John Park「Foolish Love」
ドラマ冒頭の頃のシーンが網羅されているMVとなっていますね。
ついつい涙ぐんでしまうような本作の温かさを感じさせてくれるテーマ曲でした。
さいごに
圧倒的多数の目から見た常識と呼ばれる基準や偏見の前で、堂々と生きるのはそう簡単なことではないでしょうね。
本作では、愛情と思いやりをくれた人たちの支えを得て自分の道を強く生きる方法を見つけたヒロインの物語でした。
彼女にとって奇跡とも呼べる出会いはもちろんヨンシクさんでした。
ヒューマン、ロマンス、サスペンス。
最初から最後まで飽きずに楽しく時に涙しながら見終わることができました。
そういえば!
トンベクとヨンシクの間に生まれたと考えられる女の子の制服の名札には”ファン・ゴウン“とありました。
トンベクのところで働いていて、結果的に身代わりで殺害されてしまったヒャンミさんの本名が確かゴウンさんでした。
彼女にちなんで名付けた二人の思いも余韻として残っています。
そして、ピルグ君の成長した姿を演じたのは「恋するアプリ~Love Alarm」のチョン・ガラム君でした。
ラストシーンがこちら↓
意志の強さと愛嬌を感じるピルグ君の成長したイメージ、ぴったりでした!
娘さんのものらしき制服も映っていますね。