WOWOWでスティーブン・キング原作のサイコロジカルホラー「キャッスルロック」シーズン1を見終わりました。
ホラーは基本苦手なのですが、2018年前後のトレンドとしてダーク・ミステリーの良作が多いということもありチャレンジしてみました。
製作総指揮にJ.J.エイブラムスの名があり、映像的な面白さやストーリー上の工夫もあって見やすいかもしれないと思えたことも視聴の決め手だったのですが結局最後まで引き込まれて見終わりました。
前半はネタバレはありませんが、後半では本作の謎など、分かった範囲でネタバレを盛り込みながらじっくりと語っていきたいと思います。
キャッスルロック S1 作品情報
配信
2018年 Hulu
ジャンル
アンソロジータイプ サイコロジカルホラーミステリー
シリーズ
シーズン1 | 2018年 全10話 ←今回ココ |
---|---|
シーズン2 | 製作予定あり 別ストーリー |
スタッフ・キャスト
原作:スティーブン・キング
クリエイター・製作総指揮:
サム・ショウ ダスティン・トーマソン
製作総指揮:J.J.エイブラムス
スティーブン・キング他
キャスト
アンドレ・ホランド(ヘンリー・ディーヴァー)
メラニー・リンスキー(モリー)
ビル・スカルスガルド(男)
シシー・スペイセク(ルース・ディーヴァー)
スオット・グレン(アラン・パングボーン)
キングファンは見逃せない作品
私はWOWOWでの放送をみたのですが、1エピソード終わりごとに本作にちりばめられたキング作品へのオマージュがあふれているということが分かるミニガイド「スティーブン・キングにまつわる10のテーマ」がついていました。
“キャッスルロック”という町そのものがキング作品によく出てくる架空の町で、本作の登場人物や場所などが何らかのつながりを持っている、というワクワクするような仕掛けが用意されていました。
冒頭あらすじ
弁護士のヘンリーは故郷キャッスルロックから匿名で弁護の依頼を受けた。
その依頼人は忘れ去られたショーシャンク刑務所の離棟の、しかも地下シェルター内の檻の中から救出された男で、ヘンリーの名を口にしたのだった。
ヘンリーには27年前に失踪事件があり、その時の転落事故がもとでお父さんは亡くなっていた。
ヘンリーには27年前の失踪期間の記憶がなく謎のままとなったが、故郷では神父の父を殺した邪悪な子どもとして疑われていたのだった。
予告編
ダーク・ミステリーとしての魅力が満載です。
気になる謎と不思議な現象が視聴者を引っ張ってくれることが分かります。
キャッスルロックの魅力と見どころ
失踪事件の真相が知りたくなる
愛する育ての母が住む故郷の町。
けれど、町に戻れば27年前の失踪事件の謎が頭をもたげるヘンリー。
今回の帰郷では謎の男の存在を機に、凄惨な血みどろの事件が続発します。
神父だった父親の死の原因がヘンリーにあると思っている町の人から、ヘンリーが町に凶事を呼ぶ悪魔のように言われてしまいます。
父親の死と失踪事件の真相に迫らないわけにはいかなくなるヘンリーと共に私も先へ先へと進みたくなってしまいました。
男は何者なのかという謎
ビル・スカルスガルド演じる謎の男の不気味さは、彼の個性的ながらも美形なルックスから醸し出されていて引き込まれます。
確かにこの男のいる場所で凄惨な事件が発生しているのですが、前刑務所長レイシ―さんが彼を「悪魔」として地下深くに閉じ込めた真意が実際のところ正しかったのかどうかが気になり最後まで見ずにはいられませんでした。
第9話にやってくる驚愕のエピソード
ネタバレになるので後半で語りたいと思いますが、男が語るある世界の話がまたまた私を驚かせました。
今まで見ていたものの視点を変えざるを得ないものだったのですが、それすらスティーブン・キングの世界ならではの背景が描きこまれていたということでした。
恐怖によってびくっとさせられるタイプではない驚きの演出は最終回への期待値をさらに上げてくれる絶妙の構成でした。
キャッスルロック S1とは
呪われた町キャッスルロックの謎に向き合った主人公
キング世界の原点を描くSFサイコロジカルホラー
ハマり度
3.5
キング作品に造詣の深い方々だとハマり度はぐぐっと上がること間違いなしの作品のようでしたが、私も一つのドラマとしてかなり楽しめました。


ここからはネタバレがあります
ご注意ください
ネタバレあらすじ・感想と解釈
ここからは、謎が重層的に積み重なりいよいよ結末に向かうこととなった辺りからのあらすじを追っていこうと思います。
ヘンリー失踪事件と男との関わり
キャッスルロックでは凄惨な事件が相次ぎ、呪われた町に悪魔=ヘンリーが戻ったからだとまことしやかにささやかれていました。
けれど、男はヘンリーの幼なじみモリーに語りました、自分も本物のヘンリー・ディーヴァーであると。
男はこの世に存在するもう一つのパラレルワールドから来たヘンリーであると。
パラレルワールド(並行世界)
キング作品のSF的要素の一つとしてパラレルワールドの存在があるそうです。
男はもう一つの世界で父親に囚われていたヘンリーを助け、彼の導きで森の中にひと時口を開けた時空のゆがみからこちらの世界に来てしまったと語りました。
こちらでは身元を明かせるものはなく、神の啓示を受けたという刑務所長レイシ―に捕まり牢に27年間容れられていたと。
その男の願いは、ヘンリーなら場所が分かるという27年ぶりに今まさに口を開けている時空のゆがみから元の世界に一緒に戻ってほしいというものでした。
ヘンリーの決断
時空のゆがみがたとえあったとしても、百歩譲って男の話が本当だったとしても、ヘンリーはこの今の現実の中で生きること以外選択するつもりはありませんでした。
あちらではヘンリーが禍々しい存在となり人々に凄惨な死を招く存在となり多くの人が死ぬこととなる。
しかし、ヘンリーは男に銃を突き付けられ時空のゆがみが発生しているらしき場所へと誘導させられました。
ただその途中で、失っていた27年前の父との出来事がよみがえり男の話が真実ではないと気づきました。
男は何者だったのか
男は彼なりに本当のことを語っていた可能性もあります。
しかし、彼は人間とは呼べない存在でした。
彼が歩けば禍々しい事件が頻発し、こちらの世界は徐々に蝕まれ破壊されていく。
レイシ―所長が授かった啓示は本物だった可能性は高かったといえます。
キングの世界における悪の根源
これはWOWOWのガイド動画「10のテーマ」を見て知ったことなのですが、キング作品には悪の根源と呼ばれる「クリムゾン・キング」という存在があるそうです。
パラレルワールドの中心として存在するという“ダーク・タワー”を破壊することを最終目的にしていた深紅の王は27年周期で他の並行世界に邪悪な存在を放ったそうです。
謎の男がその邪悪な存在であったと言えそうです。
結末
ヘンリーは謎の男を捕らえ、経営破たんから撤退し無人となったショーシャンク刑務所のあの地下牢に閉じ込めました。
27年経っても老いなかった男…。
男は去るヘンリーに「レイシ―は、檻の内側か外側にいるのかそのうち分からなくなるとよく言っていた。レイシ―がどんな最後を遂げたか思出せ」と言いました。
レイシ―所長は自殺し、新しい所長が来て男が発見された経緯がありました。
もしかすると、また27年後何かがこの街で再び起こるのかもしれません。
ヘンリーの背負った重荷のようです。
感想
「キングの世界に偶然はありえない」とガイド動画のナレーションが語っていました。
パラレルワールドとして存在する別の世界とのズレが迷路に迷い込んだような錯覚を誘引する一方で、すべてつながっているようでもあるという巧妙な仕掛けが楽しみの一つでもあるのでしょうね。
それを知って本作の魅力が見えたような気がしました。
キャストの魅力
アンドレ・ホランド
感想は書いていないのですがNetflixオリジナルの映画「ハイ・フライング・バード」で最近知ったばかり。
落ち着きと知的さを感じる俳優さんで、本作をみて彼の魅力が更に理解できました。
ビル・スカルスガルド
雰囲気のある俳優さん好きにはたまらない方ですね~。
第9話で日常生活を送るヘンリーの図ではあの謎の男の怪しさは掻き消え、好感度抜群の笑顔とルックスが見られて満足でした。←そこ?
普段見ないタイプの作品にチャレンジしてみると、こうして新しい発見や実は苦手というほどでもない作風だったことなどが分かって結果良かったです。
「やってみて(見て)良かった体験」がまた増えました。
さいごに
いつもより長い感想となりましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございました。
キングファンの方はもうすでにご覧になっているでしょうね。
特段ファンではないという方でも、未見で気になるという方は一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか?私は楽しみました。

