2018年の台湾映画「先に愛した人」(原題:誰先愛上他的)がNetflixで配信されていました。
台湾では映画賞受賞など高い評価を受けたという評判を聞いていて見てみたいと思っていたのですが、まさかこんなにも心揺さぶられる作品だとはおもっていませんでした!
主演はロイ・チウ、シエ・インシュエン。
本作をみて感じたところを今回も語っていきたいと思います。
先に愛した人 について
作品情報
公開:2018年台湾
配信:2019年~Netflix
監督:シュー・ユーティン シュー・チーイェン
脚本:ルー・シーユエン シュー・ユーティン
キャスト:
ロイ・チウ(ジエ)
シェ・インシュエン(サンリャン)
ジョセフ・ホアン(シエン)
スパーク・チェン(ジョンユエン)
人気作を生む脚本家さんが監督も
本作の監督をされたシュー・ユーティンさんは人気作品を書かれている台湾の名脚本家さん。
本作は構成と展開、人物造形のエッジが効いた物語だったのですが、色彩や映像などからも物語のメリハリを感じられたのは脚本家さんならではのセンスだったのかなと思います。
冒頭あらすじ
サンリャンは亡くなった夫の保険金の受取人が夫の内縁のパートナーのジエになっていたことで息子シエンを連れて抗議に行った。
シエンは父がゲイだったことに気づいていたが、母サンリャンはそれすら腹立たしくジエを責め立てる。
ただジエにとっては保険金の話は寝耳に水だった。
日常的な母の感情的な小言や強引な干渉にいら立っていたシエンはジエの家にやってくるのだった。
Netflixティーザー
ここで、日本語字幕はないのですが、NetflixAsiaの予告編を共有させてもらいます。
ちなみに日本語字幕がついた予告はこちらにあります→Netflix「先に愛した人」予告編
お母さんの激しい剣幕とうざそうなシエン君の反抗的な態度!
それぞれの感情がぶつかるエモーショナルな物語ということが伝わってきます。
中学生・思春期のシエン目線で進む前半
お父さんが家を出たこと、一緒に住んでいたのは男の人、そのお父さんが亡くなったこと。
今はまだ心の整理がつかなくて、お母さんにも反抗するシエン。
そのシエンがジエと共に過ごすなかでお父さんを理解していくきっかけをつかんでいきます。
コメディタッチでくすっと笑わせてくれるカオスな前半で物語に十分引き込まれていきました。
保険金の受取人
お父さんが保険金の受け取り人をなぜ息子ではなく、内縁のパートナージエにしていたのかが後半に行くにつれ明かされていきます。
傷つき混乱し怒りを抱えた妻サンリャンの悲しみが物語を推し進めていくと同時に、お父さんとジエの物語も垣間見えていきました。
先に愛した人 とは
愛する人を失った3人の5日間の衝突と共感
心揺さぶられる物語
1時間半強という時間の中に、3人の思いと亡くなる前のお父さんの思いが凝縮して描かれていて、正直一言では語れない奥深さがある作品でした。
ヒューマンコメディとも呼べるし、ロマンスとも呼べるし、またシエンの成長物語とも呼べる。
あるいは生まれ持った性的な部分で苦悩したお父さんの人生の答えとも呼べる。
どの要素もさらりと描かれているようでいて伝わってくるものはぐっと深いそんな作品でした。
ハマり度は
4.5
ぜひ一度見ていただきたいです。
ここからはネタバレがあります
ご注意ください
ネタバレあらすじ・感想
後半は、シーンシーンでふと心が揺さぶられ涙があふれてしまう、というようなことの繰り返しでした。
皆が亡くなったお父さんを愛していて、でもお父さんも愛する人との時間を求めて最後の時間をジエと過ごすことに決めたことを次第に理解していくんです。
一筋縄ではいかない人生
自分自身を偽って生きることが本当の意味で幸せではなかったお父さん。
けれど、お父さんが歩んだ道には愛する息子シエンが存在し、悲しいけれどお母さんにとってはかけがえのない息子が生まれた部分にも言及しているストーリーだったと感じます。
さいごに保険金のわけ
ジエがどんなふうにお父さんと過ごしたのか、どんな思いで生きてほしいと願ったのかが見えてくると、お父さんが保険金の受取人をジエにした理由がはっきりと見えてきました。
助かる道がないお父さんにせめて移植手術を受けさせたくて闇金で借金していたジエ。お父さんはそれに気づいていました。
愛する人との時間、別れの時、告別の形。
描かれていた中身の濃さと伝え方のうまさが光りに光った本作。おススメです。