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Netflix映画「アイリッシュマン」視聴感想

アイリッシュマン

2019年11月にNetflixで配信スタートした映画「アイリッシュマン」を見ました。

本作は、監督マーティン・スコセッシ、そして、ロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノ、ジョー・ペシといったそうそうたるキャスト陣が揃った非情な世界を描くストーリー。

劇場公開・配信開始後、絶賛コメントを多く見かけ、各賞受賞歴もありこれはぜひ見ないとなぁと思っていました。

ちなみに、結果的には無冠となりましたが、アカデミー賞にも本作は9部門10ノミネートされたほど評価の高い作品でした。

今回も、私の感じたところを語っていきたいと思います。

作品情報

作品公開・配信

2019.11アメリカにて劇場公開、11.27Netflix配信

原作: チャールズ・ブラント

「I Heard You Paint Houses」

監督・キャスト

Netflix

監督:マーティン・スコセッシ

タクシー・ドライバー(1976)
グッド・フェローズ(1990)
ギャング・オブ・ニューヨーク(2002)
ディパーテッド(2006)
ヒューゴの不思議な発明(2011) 他

キャスト

ロバート・デ・ニーロ(フランク・シーラン)
アル・パチーノ(ジミー・ホッファ)
ジョー・ペシ(ラッセル・ブファリーノ)
ハーヴェイ・カイテル(アンジェロ・ブルーノ)
スティーヴン・グレアム(トニー・プロ)
レイ・ロマーノ(ビル・ブファリーノ)
ボビー・カナヴェイル(フェリックス・ディトゥリオ)他

「アイリッシュマン」が描いた時代

通称アイリッシュマンと呼ばれていた主人公フランクの壮年期から80才代までを追いながら、彼がイタリアン・マフィアや当時有名だった労働組合指導者ジミー・ホッファと関わった1950年代後半から1975年までを中心に描いた物語。

冒頭あらすじ

フランクは牛肉を運搬するトラック運転手をしていたが、つてあってイタリア系のディトゥリオの店に良い肉を破格値で横流しをして稼ぎ始めた。

露見し逮捕されてもディトゥリオの事を話さなかったフランクは、弁護士を通じて有力マフィアのラッセルに気に入られ仲間となった。

全米トラック組合のリーダーとして有名になっていたジミー・ホッファの依頼を受けたラッセルから仕事を任されたフランクは、ジミー担当ともいえる立場となっていくのだった。

予告編

Netflixの予告編をご紹介します。

マフィア・政治、そこに関わっていくフランクの姿。

時代の勢いと垣間見える歪みやきな臭さがフランクを通して描かれていく物語だということが感じられます。

アイリッシュマンの個性と魅力

マフィア映画の代表格豪華なキャスト陣の集結

マーティン・スコセッシ監督のもと、ロバート・デ・ニーロ、ジョー・ペシ、アル・パチーノが出演すると聞いて、その偉大なるキャスティングに唸らなかったファンはおそらくいないと思える布陣でした。

「ゴッド・ファーザー」や「ギャング・オブ・ニューヨーク」といったマフィア映画の残した足跡は大きかったと言えますね。

特に、ジョー・ペシは出演を決めるまで根気強い説得を受けたそうです。

特別映像~豪華キャストらが語る制作舞台裏

監督・スタッフ・キャストすべてが信頼し合っていた現場だったことが分かりますね。

注目の視覚効果技術

本作では、登場人物の壮年期から80代までの時代を追っていきます。

通常ならば、時代別に別の俳優が演じることがほとんどなのですが、今回主要キャストを演じた70代中・後半のお三方がすべての時代を演じています。

それができたのは、画期的な映像処理のため。

壮年期から老年期までを特殊メイクではなくCGで処理したそうです。

ここで、CGについて監督やキャストが語っている部分があるNetflixの特別映像クリップがあったのでご紹介します。

原作者さんのコメントやビハインドも盛り込まれていて興味深い動画です。

特別映像:新たな伝説の誕生秘話

これは、ちょっと画期的という言葉だけでは済ませられないほど、今後の映像分野への影響が大きそうですね。

主役はフランク、だが描いたのは彼が関わった組織と時代

マーティン・スコセッシ監督は、代表作や受賞作となった商業映画以外に多くのドキュメンタリー映画を撮られています。

本作を見終わって、主人公は確かにフランクだったのですが、描いていたのはあの時代に確実に存在していたジミー・ホッファという男やイタリア系マフィアの存在、そして事件でした。

フランクの人生を追い、彼が見たもの経験したことを描いていく様子からはドキュメンタリー的要素が感じられました。

ジミー・ホッファとは

本作で重要な存在だったジミー・ホッファという人物。

アル・パチーノが演じたジミー・ホッファは1950年代後半以降政治に対しても影響力の大きかった全米トラック組合のリーダーとして有名だった人物。

目的のためには反社会勢力とも手を組んでいた彼は1975年に失踪し行方不明のまま

本作では、原作が描いたホッファ失踪事件の一つの説を元に映画化されています。原作者さんはフランク本人から聞いた話だと語っていましたね。

アイリッシュマンとは

イタリアンマフィアの一員として生きたアイルランド人フランク
彼の人生を通して一時代を描き出した3時間越えの大作

ハマリ度は

 3.5

スコセッシ監督のマフィア映画の集大成という呼び声も聞こえてくるのも分かる、豪華で見ごたえずっしりの映画でした。

私が見終わった後、最も印象に残っていたのはフランクの人生の末路でした。

義理・友情、選択の余地のない状況で下す手。

自らの生き方の指針に沿って正しいと信じて歩んだフランクの道。

人の持つ多面的な部分を描きながら、ではフランクは誰のために生きたかったのか、実際は誰のために生きていたのかを理解できていたのかどうかを考えさせられます。

誰のために生きるのかその優先順位を間違っていなかったのか?

彼の人生の終末期が余韻となって感じられました。

「アイリッシュマン」は今すぐNetflixで観られます

ここからはネタバレがあります。

ご注意ください

ネタバレ感想

マフィアの末路とフランクの人生

フランクは本作ではホッファに直接手を下した殺害犯でした。

友人であり、彼の気質を一番よく分かっていたフランクは、マフィアの意向を汲まないホッファを心配し説得を試みていたほどでした。

結局は誰かに消されることが濃厚となったホッファに手を下したのは、ホッファから疑われなかったフランク。

家族のために稼ぐ、悪い奴らから家族を守るためと言って義理で結ばれたマフィアの世界で生きてきたフランクは、マフィアの仲間だった大物ラッセルらがこの世を去っても絶対に事件について口を割りませんでした。

ラッセルが支配していたイタリアンマフィアの世界で、アイルランド人でありながら義兄弟の証を受け取ったフランクにとっての誇りともいえる思いだったのかもしれません。

しかしあまりに皮肉過ぎました。

常に暴力的な方法を解決策に使う父に、困ったことがあっても相談すらできなかった娘たち。

しかも、紙面に載る殺害事件に父親が関わっていると感じていた彼女たちの思いを理解できなかったフランクは年老いて孤独でした。

一体何を守り抜いたのか、男の美学ともいえる血と義理の世界を生き抜いて得たものは自己満足とも言える誇りと孤独のようでした。

ギャング映画の黄金期を支えた偉大なる俳優が2019年にスコセッシ監督のもとに揃い演じたからこそ際立った本作の意味は大きかったですね。

マフィア・ギャングが老境に達した姿までを描いたことで感じられた人生とはという、視聴後の余韻も残る一大ドキュメンタリー感ある一本でした。

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