韓国映画「メソッド」視聴感想

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メソッド

ベテラン俳優のパク・ソンウンと映画初出演だったオ・スンフン主演の2017年公開の韓国映画「メソッド」を見ました。

アジアでもLGBTQの作品は近年増えていると感じているのですが、本作は同性愛を描くといった話題の面だけでは語れない静かでいて激しいエネルギーを感じた作品でした。

今回は少々熱く感想を語っていきたいと思います。

前半はネタバレなしでお読みいただけます。

目次

作品情報

公開:2017年韓国

スタッフ・キャスト

監督・脚本:監督・脚本:パン・ウンジン

容疑者X天才数学者のアリバイ(2013韓国)
マルティニークからの祈り(原:家に帰る道)(2014)

キャスト

パク・ソンウン(ジェハ)
オ・スンフン(ヨンウ)
ユ・スンア(ヒウォン)他

ベテラン俳優パク・ソンウン

パク・ソンウンが同性愛者の役を演じたという部分で思い出すのが、2013年tvNのドラマ「優雅な女」。

ドタバタのエロ寄りの不倫ものかと思ったら一気にミステリーサスペンスで引っ張っていく個性的なドラマだったのですが、このドラマで訳あってゲイのふりをするアナウンサーの役をされていたのがパク・ソンウン

6年経ってもあのときのパク・ソンウンの演技が印象的で今でもはっきりと覚えています。

瞬発力と集中力だけではない実力は、あらゆる作品で証明済みですが、本作でも一瞬にしてヨンウを本気にさせた台本読みのときの演技への切り替えシーンが驚愕でした。

初映画出演だったオ・スンフン

オ・スンフン君は「被告人」(2017)でオム・ギジュン演じる裕福な犯罪者の汚れ仕事を裏で手抜かりなくやる手下役で見たのが覚えている限り最初でした。

以降、映画「怪物たち」(2018)や舞台、そして2019年はチュ・ジフン主演の「アイテム」に出演されています。

本作「メソッド」では、やさぐれつつも妖艶で、自暴自棄なところがあるけれど自分自身に正直でありたい青年を演じられています。

常にもの言いたげな目をしているヨンウのキャラクターはミステリアス。

孤独と隣り合わせな彼のあやうさも感じさせました。

ストーリー上、”演技“という演技の中で魅せるラストシーンはパク・ソンウンさんとのケミストリーとも相まって目が離せないパワーがありました。

ストーリー・見どころ

あらすじ

バイク事故で活動自粛して以来最初の活動が初めての演劇となった人気アイドルグループのヨンウ。

二人芝居で演技の比重が高いというのにやる気が全くないヨンウに、相手役のベテラン俳優ジェハは迫真の演技を見せ喝を入れた。

めきめき力をあげていくヨンウと接しているうち、芝居中の関係のようにヨンウとジェハは惹かれ合うようになっていくのだが…。

予告編

ここでrakutenTVの予告編があったので共有させていただきます。

メソッド俳優ジェハ

ジェハは作中、「自分はメソッド俳優だ」と語ったシーンがありました。

人物を深く理解し、感情も動作もキャラクターとシンクロさせるほど入り込むジェハの演技スタイルのことを語っていました。

彼らが演じる演劇作品「アンチェインド」

ジェハとヨンウが演じていたのは、愛し合っていることを確かめたくても答えは出ず、誰にも奪われないよう監禁・心中という形で愛を成就させようとする危険で歪んだ愛の物語でした。

稽古で愛の言葉を交わし相手を求め続ける中で次第に惹かれ合っていく二人の戸惑いと視線が絡まるときの緊張感に引き込まれました。

ラスト公演初日の「アンチェインド」の舞台シーンが二人の感情とリンクさせながら描かれます。

感情のやり取り、恐怖感、絶望感、それらがパク・ソンウンとオ・スンフンによって迫ってくる緊張と迫力のシーンとなっています。

映画「メソッド」とは

互いに惹かれていくベテラン俳優と新人俳優
役の影響か真実の愛の芽生えか、揺れる心理をスリリングに描く

ハマり度は

4

同性愛を描いたという部分がクローズアップされがちですが、本作は劇中劇の作用もある入れ子式の構造をもったミステリアスさ漂うラブストーリーでした。

ある種の答えが出て終わるのですが、もう少し解釈してみたくなる余韻の残るエンディングも本作の魅力だったと思います。

それにしても主演の力量に感嘆しています。

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ここからはネタバレがあります
ご注意ください

ネタバレ感想

美しかったキスシーン

惹かれ合い、戸惑いながらも求め合ってしまった二人の感情が見えてくる美しいシーンでした。

「ゲイなのか?」と聞かれ、「ヒョンを好きになっただけ」と答えたヨンウ。

ほとんど笑顔のないヨンウにとって、すべてを捨ててもいいと思えるほどの喜びへとかわる幸せの瞬間でした。

ヨンウの覚悟

ジェハを深く愛していたヨンウ、ジェハはどうだったのか…。

惹かれ合っていたことはまぎれもない事実だけれど、キャラクターに深くシンクロさせるメソッド演技方法で演じるジェハにとってその感情が真実だと言い切れたかどうか…。

ジェハを愛していたヨンウは世間への公表も辞さない固い決意がありました。

けれどジェハに受け入れられなかった

既婚で知名度もある公人であるジェハが、若すぎるアイドルと同性愛の関係であることを明かす勇気はないと分かったヨンウの悲しみを舞台で昇華させようとしたんだろうな、と感じました。

ヨンウの本気がジェハを翻弄する

舞台初日は壮絶なまでのリアリティーを表現し大成功をおさめました。

ヨンウのジェハへの思いと状況が劇中の人物とリンクし、ジェハは終始リアルにリアクションを返すしかなかったほど。

心中のシーンでは、ヨンウは本当に死んでもいいと思っていました

見かたによれば壮絶なまでのメソッド演技を習得し披露したかにみえた、けれど演技以上のものも見えた

「今日は完璧にシンガーを演じられそう」と言っていたヨンウ。

ジェハにとってはどこまでがヨンウの本音でどこまでが演技だったのかもうわからなかったでしょうね。

二人だけの世界

アンチェインドの物語の舞台は鍵のかかった地下室。

シンガーは誰も入れないように自分も含めて愛するウォルターと共に閉じ込められることを選んだと語ります。

「誰にもあなたを奪われたくないから」

もうジェハ自身も、スキャンダルを怖れて愛する思いを隠していたとしても、あるいはヨンウの本気に怖れをなしていたとしても、ヨンウに囚われていると言ってもいいのかもしれません。

楽屋に落ちていた小道具の指

アンチェインドの劇中、ヨンウ演じるシンガーが愛する彼の指を切り取っていたというシーンが出てきます。

シンガーが愛する人の分身のように持っていたかった指、その小道具がラストシーンで楽屋に落ちていました。

それを拾い上げるジェハ。

の指は失ってしまったジェハの一部を表していたように感じます

心?本当の自分?ヨンウそのもの?

もしかして演技に対する絶対的な自信…?

いずれにしても、もう元のジェハには戻れない何かのようでした。

さいごに

ジェハはヨンウと出会って自分のなかにある何らかの真実に気づいたのでしょうか?

それとも自分のもう一面を知ったのでしょうか?

奥さんのヒウォンとは熱い恋愛の末に結婚したわけではなさそうだけれど、彼女を大事にしているのは確かな様子。

「ジェハは日常生活に影響するほど役にのめり込む」と言っていたヒウォン。

しっかり区別つけて!という意味でヒウォンは海で怒ったんでしょうね…。

メソッド演技の影響だったと思えるけれど、それだけではなかったようにも思えるという意味では、ジェハ自身が最も混乱していたように見えました。

さて、「アンチェインド」のポスターが画面に映ったのを見たのですが、公演期間は1か月ほどでした。

ジェハとヨンウの関係がここでぷっつり終わるわけではないという含みも残りました。

できれば彼らが公演をしていく中で、本当に自分たちが求めるものを見極められればいいなとふと感じています。

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