哲仁王后 視聴感想 現代男性の魂が朝鮮王室の皇后に! 変則タイムスリップが生む痛快ラブコメ  

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2021年韓国tvN放送のフュージョン時代劇「哲仁王后」を見終わりました。

時代劇xロマンスx魂入れ替わりもので、現代の男性が朝鮮時代の皇后の体に入るというタイムスリップの要素も含まれている盛りだくさんなファンタジードラマでした。

主演はシン・ヘソンとキム・ジョンヒョン。

ここ最近、何かと忙しくて長尺の韓国ドラマを全話見終わることが難しいのですが、久しぶりに完走したのが本作でした。

今回は哲仁王后をみて感じたことを語ってきたいと思います。

目次

作品情報

2020-21年韓国tvN 全20話

演出・脚本・キャスト

演出:ユン・ソンシク 共同演出:チャン・ヤンホ

最高です!スンシンチャン(2013)
王の顔(2014)
花郎ファラン(2016)
哲仁王后(2021) 他

脚本:チェ・アイル 共同脚本:パク・ケオク

映画:結婚して6年目
哲仁王后(2021) 他

共同脚本のパク・ケオク作家は、「カインとアベル」(2009)や、最近では「ドクター・プリズナー」(2019)といったドラマを手掛けられたベテラン作家さんです。

キャスト

シン・ヘソン(哲仁王后ソヨン)
キム・ジョンヒョン(哲宗)
ナ・イヌ(キム・ビョンイン)
ソル・イナ(宜嬪)
チェ・ジニョク(チャン・ボンファン) 他

哲仁王后 のモデルとなった時代背景とは

李氏朝鮮第25代王哲宗(1849-1863)、王朝としては最後から2番目の王の時代。

政治の実権を握っていたのは両班安東キム氏で、そのトップだった大王大妃純元王后によって流刑先の江華島から呼び戻され王に据えられたのが哲宗でした。

純元王后に垂簾政治を行われるなど、実権を手にできなかった王として記録に残っています。

一方で民心を知り民の生活を良くしたいという思いがあったとも。

安東キム氏に対抗する力なく、酒食に溺れ在位14年32歳で没したといわれています。

哲宗の息子は全員夭折していたことから、次の王となる高宗は哲宗の系譜ではありません。

哲宗の時代を描く作品は稀で、もし哲宗に強い助っ人がいたらという着想が生きた物語となっています。

冒頭あらすじ

若くして大統領府青瓦台の料理長として腕を振るう女好きのチャン・ボンファンは、食材などの横領の罪に問われてしまった。

ほんとうの不正を行っているのはハン室長だとわかるが、ボンファンは彼らと揉め高層階のベランダから落下。

落ちたプールの中で韓服を着た女性と遭遇し、いきなり口づけされる。

気が付けばボンファンは、李氏朝鮮、哲宗時代の皇后となるソヨンの体にいるとわかり、なんとか元の体に戻ろうとするのだが、うまくはいかなかった・・・。

予告編

ここでは、アジア地域のVOD配信サービスViuインドネシアの予告編をご紹介します。
日本語字幕はないのですが、先ほどの冒頭あらすじをイメージしてみて下さい。

本作は、皇后ソヨンの体に入るボンファンをチェ・ジニョクが演じています。

特別出演のチェ・ジニョクさんのシーンは多くはないのですが、存在感抜群です!

ソヨンの体に入ることになったファンタジックなシーンをここでチェック。

冒頭、ボンファンがお妃教育や初夜の日に抵抗する姿などを含んでいます。

OSTの一つソユとパク・ウジン君の「Puzzle」の曲と共にどうぞ

哲仁王后の魅力と個性

常識・慣例に縛られない感覚が生む痛快感

現代の怖いもの知らずの、しかも、その道の一流にまで上り詰めた男性が、朝鮮時代の皇后の体に入ってしまうことによって巻き起こる大波乱

哲宗の立場、家門・政治派閥、そして後宮内での力関係、さらには哲宗の寵愛を受ける妃の入宮と、そのしがらみのなかで誰もが身動きできなくなっていた状況に、ボンファンという巨大な石がドボン!と落ちたような状況になります。

外部から、ひいては時代の外からの客観的な目で、不正と専横と不敬で凝り固まりった朝廷をかき回すさまが痛快でした。

逆カルチャーショックの妙味変則タイムスリップ

ボンファンは、朝鮮時代の皇后の体に入るという形でタイムスリップをしています

カルチャーショックを起こすのはボンファンではなく、哲宗たち。

現代のわれわれだけが分かる愛憎ドラマネタや用語を駆使し、哲宗を含めた人間関係を時にカテゴライズさせ、距離感を見極めていくんです。

皇后が何を言っているのかわからないと右往左往しながらも、ボンファンの語る言葉の真の意味を受け取って行く哲宗。

逆カルチャーショックを誘発する物語の面白さでもありました。

同じ方向を見る自立したパートナーがいる幸せ

既得権益を握り、徒党を組んで強大な壁を作っていた重臣たちの前で、非力さに自らが泣きながらも、さらに苦しさで泣く民のために何かをしようと努力していた哲宗。

彼にとっては、最も身近で強大な派閥であったキム家とその権力の形である皇后は目の上のたんこぶ。

その皇后が、圧倒的なパワフルさとブレない言動で哲宗の味方となっていきます

皇后ソヨンの変貌ぶりに戸惑いつつも、その心強さとそれにつながる愛おしさを感じた哲宗が、心を預けられる安心と幸せを得ていくロマンスじーんと来てしまいました

哲仁王后 とは

現代男性の魂が朝鮮王室の皇后に!
変則タイムスリップが生む痛快ラブコメ

ハマリ度は

4

体感としては3.5くらい。

しかし、最近の私の忙しさで視聴速度が遅かったことと、ばかハマった別ジャンル作品があり体感自体がバグっていることを考慮すると、通常モードなら4くらいの楽しみ方をしていたなと判断しています。

シン・ヘソンもキム・ジョンヒョンもほんとに素晴らしい俳優さんたちですよね~はぁ~。

それから、本作ではもうお一方、今後の活躍が期待される助演となるナ・イヌさんの存在感が光っていました。

途中はウザいなぁ~と思わせるうまさもありつつ、終盤でそのブレない生きざまに感動させられてしまうと言うビョンイン役で光りました。

ここで、その姿をちょっとだけ。

大柄でキリリとしたビジュアル。大人っぽさと安定した演技から、これからの活躍が目に見えるようですね!

ここからはネタバレがあります
ご注意ください

今回は詳細なネタバレあらすじは割愛させていただきます。

最終的な感想はOST紹介の後に。

豪華なOSTたち

OSTはClsQさんのファンメイドMVから。動画にはネタバレが含まれます。

私が一番好きだったのかこれです

チョ・ヒョナUrban Zakapa「Here I Am」

切なく、恋しい人に届くことを願いながら囁くように語る歌声が沁みます。

もう一曲はこちら

キム・ジョンヒョン「初雪のように」

哲宗役を演じたキム・ジョンヒョンが、自ら作られたこの曲がOSTとして劇中使われていました。

少しずつ愛しい気持ちを心の中で確認しつづけ、やがて離したくない人に代わっていく。穏やかに温まっていく哲宗の愛を思わせる曲になっています。

上記2曲の他にも、シウミン(EXO)を始め豪華なシンガーたちがOSTに参加されていました。ぜひ聞いてみて下さいね!

ネタバレ感想

セクシャリティとドラマの着地点

物語の基本設定も展開も個性的でおもしろく、その上、シン・ヘソン&キム・ジョンヒョンの、鋭くも緩急利かせた演技に惹きつけられて楽しく見ました

韓国だけでなく、海外でも評価されているのが分かるおススメ作でした。

物語の面白さや痛快劇の部分についてはすでにお話したのですが、私がもう一点だけ感じていたのが、セクシャリティの部分にどの程度斬りこむのかと気になっていた部分でした。

哲宗が本当の意味で惚れたのはボンファンだった

哲宗が本当の意味で惚れたのが皇后であるソヨンではなく、実は中のボンファン。

行動力、視点、ブレない態度と深い思いやりを持っていたボンファン版ソヨンでした。

ですが、最終的に、誰が誰を愛していたかという部分に触れることなく柔らかくランディングさせてあります。

もっと斬りこんで欲しかったという思いはあるものの、むしろそれ以上を(放送時間的にも視聴者層的にも)描かない以上、余白を残して収める形を取られていました。

ではその愛の着地点というのは:

  • ソヨンとの幼少期の大切な思い出
  • ソヨンの体の中に眠るソヨン本人の記憶

ボンファンはどうだったのか

ボンファンはと言えば、本人が明言するほどのヘテロセクシャルでありシスジェンダー男性です。

そのボンファンが、ソヨンの記憶と願いに沿って懐妊までしています

ソヨンの記憶と感情を自身のものと同化させていたボンファンは、魂が現代に戻ってしまったあと、書店で哲宗のその後を息せき切って確認し、すべてがうまくいったことに涙しています

あの頃、ボンファンがソヨンとして存在していたことで、哲宗だけでは成し得なかった正念場ともいえる局面を乗り越え歴史を変えたと確認したわけです。

哲宗はおそらく、ソヨンの中にいたボンファンを恋しく思う時が必ずくるであろうと想像に難くはありません。

ただ、哲宗としては、ソヨンは常に女性でした。

また、ボンファンが自分自身として哲宗に恋していたかどうかはわからないままでした。

ブロマンスでありソヨンの愛の物語

本作は、つまりブロマンスであり、長く哲宗を心の底から愛していたソヨンの物語だったという形に仕上げてあったということになります。

ボンファン版ソヨンの中には間違いなくソヨンがいたわけで、哲宗はピンチを乗り越えるために力を貸してくれたソヨンの計略だったとも受け取ることが可能です。

登場人物たちの ”当事者間の物語” としてどこまでを描いて描かないのかを図るバランス感覚の高さを見せたドラマだったと思います。

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