2020年Netflixで配信開始されたイギリスドラマ「ザ・イングリッシュ・ゲーム」を見ました。
私のお気に入りドラマ「ダウントンアビー」のクリエイターであるジュリアン・フェローズが手掛けた19世紀後半のイギリスを舞台にしたドラマということで気になっていました。
サッカーの黎明期を時代の空気感と共に描く興味深い物語でした。
今回も、私の感じたところを語っていきたいと思います。
作品情報
配信:2020年 Netflix
クリエイター・演出・キャスト
クリエイター・脚本:ジュリアン・フェローズ
映画:ゴスフォード・パーク(2001)
ダウントン・アビー(2010-2015)
映画:ダウントン・アビー(2019)
Belgravia(2020)
The Golded Age(2020?) 他
演出: Tim Fywell他
キャスト
エドワード・ホルクロフト(アーサー・キネアード)
ケビン・ガスリー(ファーガス・スーター)
シャーロット・ホープ(アルマ・キネアード)
Niamh Walsh(マーサ・アーモンド)
クレイグ・パーキンソン(ジェームズ・ウォルシュ)
ジェームズ・ハークネス(ジミー・ラブ)他
ザ・イングリッシュ・ゲームが描いた時代
19世紀後半のイギリス。産業革命による経済の発展期であり、植民地や運河を抱えたイギリス帝国の絶頂期であったビクトリア朝。
物語は1879年からスタート。
上流階級の名門イートン校出身のメンバーがルールを整備し運営を行っていたアマチュアサッカー連盟に、工場が抱える労働階級のサッカーチームが続々と加わり人気が高まってきている時代でした。
冒頭あらすじ
織物工場を経営するウォルシュは、町の人々の楽しみであり希望となっていた地元サッカーチームの優勝を実現させるために、有能な選手スーターとラブを報酬を条件に引き抜いてきた。
これまで優勝し続けていたのは発足チームのオールド・イートニアンズ。
ウォルシュたちが目指す優勝には、労働者階級が上流階級に勝つという象徴的な悲願が込められていた。
しかし、リーグへの出場条件はアマチュアであること。
スーターらが報酬でプレイするプロと見なされれば出場は難しい状況だった。
予告編
Netflix の予告編はこちら
日本語字幕のついた予告はNetflixにあります→NETFLIX
上流階級のアーサーと高い技量を持つ労働者階級のスーターを中心に、サッカーの事だけでなく彼らのプライベートの出来事も描かれていくことが分かりますね。
ザ・イングリッシュ・ゲームの個性と魅力
サッカー黎明期を描く興味深さ
どんなスポーツにも始まりがあり、人気の高まりと共にルールやシステムが整備されていき、うまく育てばそれは世界的規模のスポーツになっていく。
本作のサッカーは、まだ同好会の延長ともいえるアマチュアばかりのサッカー黎明期。
勝てるチームにするために、能力の高い人に報酬を払い来てもらうというプロサッカー選手のはしりとなった人がいたという実話をもとにしたストーリーでした。
スポーツが乗り越えさせる階級の壁
サッカー連盟を運営するチーム「オールド・イートニアンズ」は上流階級の子息が通う名門私立イートン校の卒業生たちのチーム。
主将でありトップ選手が銀行家のアーサー・キネアード。
毎年優勝するイートニアンズを倒そうと労働者階級のチームはしのぎを削り、優秀な選手が欲しかった織物工場のチーム ダーウェンに引き抜かれてやってきたのがスーターでした。
サッカーを愛する実力派のキネアードとサッカーを通じて出会った労働者階級の人々。
階級の壁を越えてゆくスポーツの魅力も描かれていました。
普遍的な人間ドラマ
労働者階級の人たちのエピソードもありましたが、私は主にキネアードのプライベートの描かれ方がより濃く描かれていて心に残りました。
階級など関係なく、人は等しく悩みや悲しみを抱えています。
キネアードと奥さんアルマは、辛さを抱えているからこそ階級を越え人間同士理解し協力し合える部分に目を向けました。
これまで見ていなかったものに気づくことで視点が変化したり視野が開けたりする。
キネアード夫婦のエピソードの中に描かれた普遍的な人間ドラマこそが本作の大切な見どころだったと思います。
ザ・イングリッシュ・ゲームとは
階級の違う二人が対等につながるスポーツの存在
サッカー黎明期19世紀末イギリスが舞台のヒューマンドラマ
ハマリ度は
3
ポジションやパスでつないでいく戦略などもまだなく、今のサッカーがこれまでさまざまに整備され出来てきたのだなと感じさせられる新鮮なドラマでした。
ダウントンアビー的なワクワク感は得られなかったのですが、21世紀の現代だからこそ描ける、当時の時代感や階級を越え対等に互いを尊重し合えるスポーツの魅力が感じられるよいドラマでした。
サッカーに興味のある方は私よりも楽しめるかもしれませんね
今すぐNetflixで観られます
ここからはネタバレがあります
ご注意ください
ネタバレ感想
興味のある世界で得られる実体験からの気づき
自分の興味のある世界で経験した実体験というものが、いかに人の視野を広げるのかがひしひしと感じられる物語でした。
世界の中心は上流階級の者たちでできていて、それ以外の人々は従うもの(従うしかない)という概念がガッチガチに堅かった時代。
そんな時代の世界の中心側にいたキネアードさんが、サッカーをやっていたからこそ出会えた人たちとの関わりに本当にグッときました。
大切なものに心を配ることで見えた光明
労働者階級の人々の中にはサッカーが得意であるということで生活が良くなる人がいるということも理解していたキネアードさん。
サッカーの中にビジネスの種があり、それがサッカーの繁栄にも経済にも(つまり銀行にも)有益であるというような実際問題も含んだうえで柔軟なサッカー連盟運営を決めたように感じました。
キネアードさんと奥さんは初めての子を流産したという悲しさを抱えていたのですが、サッカーの事も夫婦の事も、大切なものから目を背けず心を配り続けていた結果たどり着けた光明のようなものが見えたストーリーでした。
さいごに
キネアードさんは1885年まで連盟の会長をされたそうです。
スーターやラヴのようなプロ選手が生まれたのは、このような経緯があって活動が容認されていたからのようです。
ある文化やスポーツなどの歴史を紐解くようなドラマも好きなので、ザ・イングリッシュ・ゲームも興味深く見ることができました。