2019年Apple+オリジナル作品として配信されたアメリカドラマ「ザ・モーニングショー」は、多数の賞レースでノミネートされ、助演男優賞などを獲得するなど話題の作品でした。
2021年にシーズン2が配信されています。
気になっていたドラマを、Apple製品を購入したことでついてきたApple+の無料サービスでありがたく視聴する機会を得ました。
ブラックユーモア感を詰め込んだヒューマンドラマなのかと思いきや、国際的な世相を盛り込んだハラスメントについて色濃く描いた物語。
拙い感想になるかもしれませんが、お付き合いください。
作品情報
Apple+オリジナルドラマ アメリカ
シリーズ
シーズン1 | 2019年 全10話 |
シーズン2 | 2021年 全10話 |
名前のみとなったクリエイター:Jay Carson
あのNetflixの大ヒットドラマ「House Of Card」の監督プロデューサーをされていたのがJayCarsonさん。
Jay Carsonさんは私たちも知る”超”大物政治家の広報秘書やアドバイザーなどを歴任され、2009年にはご自身もLA副市長として2期就かれていた、いわば政治を知り尽くした方。
ドラマ作品
- House Of Card(2013-18)監督プロデューサー
- 映画:The Font Runner(2018)共同脚本
- The Morning Show(2019-21)クリエイター・制作プロデューサー
この「Morning Show」には、歴代最高額3億ドル以上のコミットメントを得たそうです*wiki
ただ、制作方針の相違から番組から解雇となり💦、クリエイターとしての名前のみが残ったそうです。
そんなこともあるんですね~
キャスト
ジェニファー・アニストン(アレックス・レヴィ)
リース・ウィザースプーン(ブラッドリー・ジャクソン)
スティーブ・カレル(ミッチ・ケスラー)
ビリー・クラダップ(コリー・エリソン)
マーク・デュプラス(チップ・ブラック)
カレン・ピットマン(ミア・ジョーダン)
ググ・バサ=ロー(ハンナ・ショーンフェルド)他
豪華です~✨
冒頭あらすじ・予告編
予告編
15年間、ベストパートナーとして組んできた朝のニュースTV番組の顔ミッチとアレックス。
だが、ミッチのセクシャルスキャンダルが報道され、全てはここまでとなった。
突如として訪れた嵐と混沌。
揺れる番組、局。
番組を立て直すために水面下ではあらゆる動きがスタート。
その思惑を受けて自分に迫る窮地を察知したアレックスは、その頃話題をさらっていたレポーターのブラッドリーを指名し新パートナーであると公表した。
誰もが身を守ろうとする中で噴き出る長年の膿に彼らはどう身を処すのか。
The morning showが描いたもの
思い込み、ハラスメントの大罪
ミッチのセクハラスキャンダルは、当初は本当にミッチが重大な罪を犯していたのかどうかが見えない状態でした。
ミッチ自身が”同意だった関係しか持ったことはない”と揺るぎない自信で語り状況に憤慨していたことや、明らかに立場上権力を振るったセクハラに対しては断固として否定的立場を貫いていました。
イメージが大事な朝番組の大物キャスターが狙われた可能性なども除外しきれないムードだったから。
でも、それは明らかに彼と、彼を許してきた周囲の過ちでした。
人は誰でも自分の行動がそれでいいのかどうかを常に目の前の人を尊重し、確認しながら決めていく必要がある。
けれど、社会や取り巻く環境が誤った行動を容認し続けている限り、誤りであると気づかない。
NOと言わない人がYESと言ってなどいないことを、思い込みと社会の中で許される何かに守られている者は気づかないんですよね。
他人事の罪
自分があの番組スタッフとしていたとしたら、被害に遭った女性やミッチと関係があったというスタッフについて何か出来たかと考えれば、きっと何もできなかった可能性が高い。
本当にひどい話です。
自分が古株ならばミッチが決して悪い男ではないと思っているため、少々火遊びに似た危うい行動をとっていたとしてもそんな彼に魅力を感じているのだろうと思っただろうし、自分が新人だったならば、すでに関係を築いている先人たちの関係に口を挟める立場にないと思ったでしょう。
そして自分が被害者ならば、きっと誰にも言えなかったはずです、相談もできない。彼女たちのように……。許せない、きっと自分が……。
この番組に突如として起用された戦うリポーターのブラッドリーがインタビュー中に、番組内の空気はセクハラを容認していたかと斬りこんだことは、まさに的を射ていたと言えます。
ハラスメントのイメージパターン化の弊害にも触れて
セクシャルハラスメントに遭いやすい状況にあるのは確かに女性です。ただ、男性が遭っていないわけじゃない。
それに、キャリアのある年上の男性と新人女性スタッフが男女関係にあることが必ずしもパワハラであるとは限らない。
ドラマの中で、立場や年齢関係なく恋をしたふたりの男女ヤンコとクレアがいました。
セクハラ問題が勃発し局ぐるみでの再発防止と浄化が進められる中で、ふたりの関係が知られ人事に確認される流れになったのですが、クレアがヤンコとの関係を断れない問題が存在するかのように接しられ、職場を変えたいかとまで問われてしまいます。
キャリアの端緒についたばかりのクレアにとって、純粋な恋愛のはずが立場・年齢からパワハラの被害者のように扱われかねない現実に衝撃を受けるんです。
社会の認識の中に、これまで見えないことになっていたものが顕在化していく過渡期に起こりうる過度のイメージ固定化の弊害も描かれていました。
The MorningShowとは
15年不動の人気TVキャスターのセクハラスキャンダル
真相は残酷なまでの無知から
ハマリ度は
4
息詰まるほどの危機感と閉塞感を実力派俳優さん方に見せてもらって、10話一気視聴しました。
他人事ではいけない、けれど、当人の思いも確認する必要がある。
当たり前のことを、齟齬なくできる人でありたいと思う物語。
さいごに
シーンスティーラー ビリー・クラダップ
キャストの中で特に印象にのこっているのがコリー役のビリー・クラダップさん!
物語の中での不確定要素でありつつも、主人公ブラッドリーよりも物語を牽引していたと言ってもいい存在感!
さて、久しぶりに海外ドラマ(BL以外で)の感想を書きました。
描かれていたものはもっともっと多岐にわたる人物たちのエピソード群で、深部をえぐるようなものもありました。
それでもこのシーズン1の芯は、パワーバランスの上部にいる者に「それほんとにアウトですよ」と言えない空気と、自分は加害者になっていると気づかない人たちへの可視化。
この数年、人権にまつわる多くの出来事に目をむける流れが来ていましたが、ドラマで具体的なエピソードとして見ることでより自分ごととして感じることもできました。