OCNがドラマティックシネマプロジェクトと銘打ち、映画とドラマフォーマットの長所を融合させて製作されたという企画第一弾2019年の「トラップ」。
邦題は「トラップ~最も残酷な愛~」となりました。
主演はイ・ソジン、ソン・ドンイル。
「トラップ」の個性や特徴など前半ではネタバレなしで、後半でネタバレあらすじや結末、感想などを書いています。
今回もまたまた本音で語っていきたいと思います。
トラップ 作品情報
放送
2019年OCN ドラマシネマプロジェクト第一弾「トラップ」全7話
演出・脚本・キャスト
総括プロデューサー:イ・ジェギュ
チェオクの剣(2003)
ベートーベン・ウィルス(2008)
映画:王の涙-イ・サンの決断-(2014)他
演出:パク・シヌ
白夜行-白い闇の中を歩く-(2012)他
脚本:ナム・サンウウ
特殊事件専門担当班TEN(2012)
キャスト
イ・ソジン(カン・ウヒョン)
ソン・ドンイル(コ・ドングク)
イム・ファヨン(ユン・ソヨン)他
映画製作陣とドラマ脚本家が組んだ意欲作
映画の持つ鋭い演出とドラマの持つ密なストーリー展開を取り入れることでより一歩進んだ作品を送り出そうという意欲が込められたドラマティックシネマプロジェクト。
本作はその第一弾で、当初より全7話での完成度の高いドラマを準備しているとの記事がありました。
総括プロデューサーのイ・ジェギュ監督は、ドラマ「チェオクの剣」(2003年・全14話)でその斬新な映像手法でドラマ視聴者の度肝を抜いた第一人者。
私も「チェオク~」を見た時はまるで14時間の映画を見たような気分になり、ドラマの余韻から抜け出せない「茶母(原題)廃人」になったことを覚えています。
冒頭あらすじ
国民的アナウンサーカン・ウヒョンは、アンカーの仕事だけでなくアナウンサー学院を経営するなど手腕のある有名人。
愛妻家・子煩悩で知られるウヒョンが、結婚記念日に家族で訪れた山奥のカフェで「人間狩り」の標的とされてしまった。
満身創痍で山を下り通行人に助けられたウヒョン。
事件を担当した管轄のコ・ドングク刑事はプロファイラーのユン・ソヨンと共に事件の謎を追うのだった。
予告編
ここで本作の空気感が感じられる予告編をご紹介します。
本国のトレーラーは少し分かりにくかったので、日本初放送となったMnetの予告を共有させていただきました。(*Mnet「トラップ」番組ページ)
本格サスペンススリラー「トラップ」。
謎が謎を呼ぶサスペンスに、残酷な犯罪が絡んでいそうなことが分かりますね。
もう少し、本作のサスペンス部分がクローズアップされた日本版DVD発売元の予告編はこちら
緊迫したシーンがかなりありそうですよね
トラップの個性や特徴
残虐非道な犯人たち
本作で描かれる殺人はどれも残虐非道でした。
愉快犯による犯行という点から、初回から見るのも聞くのもおぞましいものばかり。
翻弄されたアナウンサーウヒョンの絶望や、調査が進み全容が見えてきたコ刑事とソヨンが受けた衝撃も相当なものでした。
戦慄の罠(トラップ)
本作には意外かつ戦慄を覚えるしかないトラップが用意されていました。
今まで自分が見ていたものはなんだったのか、そのすべての視点を別角度からに切り替えるしかなくなる巧妙な罠でした。
見終わった後、もう一度見返せばその空恐ろしさや登場人物たちの表情すら違って見えてきそうです。
トラップ とは
緻密な計算の上に成り立った恐ろしい罠
真犯人の姿に戦慄するサスペンススリラー
ハマリ度は
2
私のハマり度はここまででしたwww
グロ大丈夫の私でも諸々ヘビー過ぎて後味もちょっと…。。
とことんやる!という演出の意欲に物語が追いついていなかったようにすら感じてしまいました。
逆に、この脚本をもっとコンパクトにし、テンポを上げて映画にしてもよかったんじゃ?とか思ったり?(歯切れ悪ッ)
ちなみに、本作のラストは続編があってもおかしくない感じで終わっています。
本国で評価されていたら「トラップ2」もあるかもしれません。
劇場版あり
全7話を上映時間180分に再編集した本作の劇場版あり。
映像はクオリティーが高かったですし、映画合ってるような気がします。
ここからはネタバレがあります
ご注意ください
ネタバレあらすじ・結末
警察がたどり着いた狩人の存在
ウヒョンは、「山奥のカフェで人間狩りを楽しむ狩人たちの標的にされ妻子を人質に取られた上いたぶられた」と保護された病院で詳細に文章で供述しました。
調査を進めたコ刑事とソヨンは、人間狩りを趣味とするグループの存在にたどり着きました。
人間狩りは存在し、人質に取られていたウヒョンの息子は遺体となって発見されたことがその証とされました。
狩人たちの正体
人間狩りを趣味としていたのは政・財・医・裏社会で実力を握る人物たちでした。
その中にはウヒョンが経営するアナウンサー学院に出資している新鋭の青年実業家も含まれていました。
コ刑事が捜査の糸口にしたのはウヒョンの妻ヨンスとの不倫が疑われる青年実業家。
そして実業家の隠し部屋的なフロアーからヨンスさんのバラバラ遺体が発見され、青年実業家が犯人とされる決定的な証拠となりました。
正義の人となったウヒョン、しかし
妻子を残酷に奪われた悲しみをばねに政界に出ると決めたウヒョン。
すべてを失ったウヒョンの不屈の精神と熱い思いは彼を正義の人として世間から評価され受け入れられました。
しかし、ある瞬間、プロファイラーのソヨンはウヒョンの中にサイコパスの片鱗を垣間見てしまいました。
1㎜の男
ソヨンは劇中、サイコパスは大多数の人が持つ感情を理解するために感情や表情を学習して“大多数の人に近づ”き、また大多数の一般人はサイコパスの持つ判断の速さや感情を挟まない決断の価値を評価し“サイコパス的な強さに近づ”こうとすると語っています。
こうして、一般人とサイコパスは根本的な違いを抱えつつも両者はわずか1㎜ほどの差でしかなくなると表現しました。
ソヨンはまさにウヒョンが1㎜向こうの男だと気づきました。
すべてを失い絶対的な被害者であるという先入観を植え付けたウヒョンの事件はすべての捜査関係者を騙したのでした。
真犯人の計画の発端
妻ヨンスさんが別れ話を切り出し、息子シウ君と家を出るといったことに逆上したウヒョンが奥さんを絞殺、それを見てしまったシウも片づける必要ができたのが発端でした。
ウヒョンは後輩記者たちが突き止めた権力者たちの人間狩りを利用することにし、シウを山で殺害、ヨンスさんの遺体は冷凍保存の上タイミングを見て青年実業家の所有する建物から発見させるよう手はずを整えていたのでした。
結末
真相に気づいたソヨンさんは殺害され、コ刑事は狩人組織に捕まり、組織の一人である精神科医の元で監禁されていました。
調査を進めていた後輩刑事や有志の警察関係者によってコ刑事は無事救出されました。
政財医裏社会の権力者は互いの裏切りが元で死亡または逮捕されるという結果になりました。
そしてウヒョンは…。
ウヒョン逮捕に向かったコ刑事は、命がけの取っ組み合いの末、囚われていた精神科医の施設から持ち出した炭そ菌の変種をウヒョンに打ちました。
戦時中開発されたという炭そ菌の変種は、解毒剤を毎月打たなければ死が待つ菌でした。
コ刑事が施設から持ち出せたのは6か月分。
もう政界に進出することもできずただ解毒剤を求めるしかないウヒョン。
ウヒョンを逃げられなくするために、コ刑事がウヒョンに張ったトラップでした。
感想(辛口)
ハマれなかった理由などを考えています。本作を楽しまれた方には不愉快かもしれませんのでここまででお願いします。
正直なところ、私は本作を見終えるのにちょっと苦労しました。
場合によっては視聴中断するんですが、真犯人が一体どういう結末を迎えるのか全7話だしもう見ておこうと強行しました。
“悪魔を野放しにするのは、悪魔をただただ怖がっている心だ”というようなセリフがコ刑事によってラストで語られたのですが、今回のストーリーの悪魔たちはあまりに特殊なケース過ぎて実感がわきませんでした。
ウヒョンが1㎜の男だと分かり展開したのが4話以降。
それまで描かれたてきたウヒョンの狩人相手の奮闘は、結局は虚偽供述の再現映像つまり警察関係者皆さんがウヒョンに誘導された想像のシーンたちだったわけです。
ウヒョンが緻密なうえ、それを実行する力を持っていたというすごさや恐ろしさは十分伝わりましたが、どんでん返し以降気持ちは盛り上がらないままでした。
映像や演出は確かに映画を意識したものになっていたと思うのですが、結局はストーリーにあまり惹かれなかった(好みじゃなかった)というのが正直なところです。
やはり、映画の尺で見たとしたらきっと印象は違ったと思います。