2017年の韓国ドラマ「師任堂(サイムダン)」がNetflixに入ったので、この機会に懐かしく振り返ってみようと思います。
あの「チャングムの誓い」で日本でも有名な国民的清純美女女優イ・ヨンエが結婚・出産で休業後、およそ10年ぶりに復帰する作品という鳴り物入りの話題作でした。
40代となったイ・ヨンエの相変わらずの美しさには息をのむほど。
注目作・話題作というのが空回りパターンのドラマだったらどうしよう…、という不安も杞憂に終わる魅力的なドラマでした。
今回も、本作に感じた魅力や個性など語っていきたいと思います。
作品情報
放送
2017年 韓国SBS 全30話
演出・脚本・キャスト
演出:ユン・サンホ
太王四神記(2007)w/キム・ジョンハク
タムナ~Love the Island~(2009)
バーディー・バディ(2010)
アンニョン!コ・ボンシルさん(2011-12)
百年の花嫁(2014)
師任堂(サイムダン)~色の日記(2017)
異夢(2018)
風と雲と雨(仮題)(2020)他
脚本:パク・ウンリョン
お向かいの彼女(2003)
二回目のプロポーズ(2004)
アンニョン!コ・ボンシルさん(2011-12)
師任堂(サイムダン)~色の日記(2017)他
キャスト
イ・ヨンエ(シン・サイムダン ソ・ジユン)
ソン・スンホン(イ・ギョム ウィソン君)
チェ・ジョンファン(中宗 ミン・ジョンハク)
オ・ユナ(フィウムダン)
ヤン・セジョン(若きイ・ギョム/サンヒョン)他
主人公はお札にも描かれる女流画家
主人公の師任堂は、朝鮮時代の女流画家。
彼女は良妻賢母、そして芸術家といったイメージを持つ偉人で、本作では彼女の愛と使命、芸術への深い思い入れなどを描きこんだ物語となっていました。
冒頭あらすじ
准教授になってもうずいぶん経つソ・ジユンは、教授になるために、研究だけではなくミン教授の家族にまで気を遣い召使のように頑張ってきた。
ようやくチャンスが巡ってきたと喜んだ教授からの案件は、超貴重な「金剛山図」大発見の発表。
しかし、その「金剛山図」は真・贋怪しいものであることに気づいてしまうのだった。
予告編
師任堂というドラマが、時を越えて二つの時代をまたいで展開するファンタジックな要素もあるストーリーであることが分かりますね。
師任堂(サイムダン)~色の日記の個性と魅力
ミステリーが現代と過去をつなぐ
本作は時代劇であるという前提のもと見始めることになるのですが、謎を紐解くことになるきっかけは現代に生きる韓国美術の研究をしている准教授ソ・ジユン。
窮地から脱するために彼女が追うことになるアン・ギョン作「金剛山図」についての謎が師任堂の生きた時代とリンクしていくという構成となっていました。
師任堂の日記、本物の金剛山図の存在、作者ギョンの正体などなど、ミステリーがストーリーへと導いていく役割を果たしていました。
サイムダンの人生を大胆解釈
画家としての天賦の才を持つ慎ましやかな人柄、しかし大切な人達を守るために大胆にもなれる。
サイムダンの人生ストーリーの中に、彼女の商才やリーダーとしての資質や適性なども盛り込んであります。
魅力的この上ない師任堂を、イ・ヨンエはとても的確に演じておられました。
初々しい二人の出会いの頃を演じたのはあの俳優さん
若かりしギョムを演じたのは、高身長色白、上品な顔立ちで「愛の温度(2017)」や「30だけど17です(2018)」「私の国(2019)」など今主演として大活躍中のヤン・セジョン。
本作では、現代でジユンの金剛山図の謎を解明する手助けをする古典文学者の講師サンヒョン役もされていて、二役を演じています。
ブレイク直前、しかし、ブレイクの気配は濃厚だった本作でのヤン・セジョンも見どころの一つです。
https://hobbitholy.com/30but17/師任堂(サイムダン)~色の日記~とは
有名な偉人であり画人師任堂の人生と
愛を描いた魅力ある物語
ハマリ度は
3
本国での視聴率は振るわなかったようですが、私は結構楽しめました。
事前製作というだけあって映像美もなかなかで、現代と師任堂の生きた時代を行き来して描く脚本も丁寧で分かりやすかったです。
久方ぶりのイ・ヨンエは変わらない美しさ。
韓服姿の時は一層際立つ美しさを放っていました。
繊細な演技が光るソン・スンホンもまた、純愛を貫く男の美しさを体現して見せてくれました。
ファンタジックな演出はあったものの、意外性やスリリングさは無いぶんだけ手堅く作られたと言える作品でした。
そこが良かったともいえるし、物足りなかったと感じられるのかもしれませんね。
3話くらいまでは現代と過去の状況説明的な冒頭部分となっています。
およそ4話くらいから謎を追及しつつも、朝鮮時代の師任堂の若かりし頃のエピソードが展開していくので面白くなっていくと思います。
このあと後半ではネタバレ感想やOSTについて語っていきます
ここからはネタバレがあります
ご注意ください
ネタバレ感想
好きだった輪廻転生ネタ
過去と現代で同じ俳優さんが登場する演出がされているというのは私的に面白く見られたポイントでした。
過去では袖振り合う程度の縁だった人が、今世では家族だったり、その逆だったり。
あ、この人、現代ではこう生きてるんだ、と発見するのも楽しかったです。
オ・ユナ=ドラマを締めるいい助演女優
主役以外で最も私が評価しているのはフィウムダン役オ・ユナ。
次にチヒョン役だったチェ・チョロ。
特にオ・ユナはほんとに良い。
悪女役がどうも多い女優さんなんだけど、表現が深いです。
遡れば、2006年の「その女」で見せた不倫の愛人役が原点ともいえるかな。
むしろオ・ユナに悪女役で出てもらうとドラマが締まるはず。
私はそれほど評価してます。
OSTを
話題性の高かったドラマゆえに、OSTも味わいのある良曲が揃っていました。
今回も2曲選んだのですが、まず一曲目は
キム・ユナ「縁」
少しミュージカルのような、語るような曲調が独特です。
ファンタジックな要素もある本作のイメージを語るならこれだな、と感じさせる曲ですよね。もう一曲は、
LYn「いつでもどこでも」
メロディアスでドラマチック、悲しさ漂う歌い方がまた良いですよね~。
その他の曲も良かったので、聞いてみてくださいね。
さいごに
先ほど、意外性やスリリングさはないぶんだけ手堅く作られた作品でむしろ良かったのではと言いました。
しかし一方で、ロマンスの要素が本作の軸のひとつでありながら、二人がはっきりとした形で結ばれることはキャラクターの性格や時代背景上ない、という点が視聴者を引きこみ切れなかった一因なのかもしれないとも感じました。
とはいえ、師任堂(サイムダン)~色の日記~は主人公の生きざまをヒューマンに描きつつミステリーを絡めたファンタジックな偉人伝的物語でした。
互いを心で愛しぬくロマンスの熱さはソン・スンホンが引き受けていたと言ってもいいんじゃないかな。
清廉でまっすぐな主人公たち。
最終話、数百年の時を越えてすべてが一つの結末を見せました。
愛や恋、利や害とは違う次元の縁で結ばれた人たちの物語、なかなか良かったですよ!
*DVDやブルーレイBOXはBOX3まであります。