2017年にSBSで放送されたソ・ヒョンジン&ヤン・セジョン主演の韓国ドラマ「愛の温度」。
2018年に見た時は、韓国ドラマのイメージにしばられない新鮮な作品だったのでとても印象に残りました。
主人公は料理人の卵と脚本家の卵。
“料理も恋愛も温度が大事” そんなコンセプトでした。
前半はネタバレを避け、後半でネタバレを含む具体的な感想を語っていきたいと思います。
愛の温度 作品情報
放送 2017年 韓国SBS 全20話
演出・脚本・キャスト
演出 ナム・ゴン
テバク(2016)
愛の温度(2017)
プライバシー戦争(2020)
脚本 ハ・ミョンヒ
上流社会(2015)
ドクターズ(2016)
愛の温度(2017)
青春記録(2020)
キャスト:
ソ・ヒョンジン(イ・ヒョンス)
ヤン・セジョン(オン・ジョンソン)
キム・ジェウク(パク・ジョンウ)
恋愛も料理も温度が大事
先ほど冒頭でお話しした本作のコンセプトをイメージした本国放送当時のティーザーがこちら
とっても雰囲気がいいですね。
主演俳優さんたちのこと
ヤン・セジョン
ヤン・セジョン君は長身で品のあるお顔立ちの俳優さん。
ライジングスターとして休みなく主演をこなしていて引っ張りだこ。
いろんな色を出せるニュートラルな印象の俳優さんで、これは演技の幅が広いぞってひしひしと感じさせます。
2019年12月現在、時代劇「私の国」でまた違った魅力を見せてくれているようです。楽しみなところです。
イ・ヨンエ10年ぶりの復帰作「師任堂(サイムダン)~色の日記」では一人二役をこなして俳優としての力量を示されていました。
ソ・ヒョンジン
ソ・ヒョンジンさんは若いのにベテランの香りがする女優さん。
不器用すぎて時にイタイ感じになってしまうようなキャラクターなどでも清潔感を捨てずに演じられる貴重な女優さんですよね。
「僕が見つけたシンデレラ~Beauty Inside~」の主演も素敵でした。
雰囲気のあるキム・ジェウク
そしてもう一人、キム・ジェウク。
アンニュイだけど鋭さも出せる、でもジェントルマンという難しい役どころを本作でこなしたキム・ジェウクさん。
ルックスのイメージを最大限生かせる演技術を身につけられている方です。
魅力的な主演陣が、いまそこに彼らが生きているかのようにリアルに演じていました。
キム・ジェウクさんは2019年に「彼女の私生活」でついにロマコメ初主演を果たしました。
ヒロインのパク・ミニョンさんとのケミは最高でしたよ!
冒頭あらすじ
会社員を辞めて脚本家を目指すヒョンスは人気作家のアシスタントとして下積み生活を送りながら公募入賞を目指していた。
フランスで料理の基礎を学んできたジョンソンもまた有名シェフの下で下積み生活を送っていた。
2人は共通の友人を通して出会い会話を交わすうち、互いに通じるものを感じるのだった。
予告編
「愛の温度」DVD公式サイトが出している予告編動画が見どころまで余すところなく紹介していたのでご紹介します。
私のあらすじはおよそ1話あたりまでの導入部分を紹介するようにしているのすが、こちらの予告はもうちょっと詳しく紹介されていました。
この予告編みたらジョンソンはちょっとだけ魔性の年下男子の香りがしますね(笑)
現実主義者的なところもあって単刀直入ゆえにこういう言動をしますが、押しも引きも距離をとることもできる大人でしたよ。
人物をデフォルメしていない作風なので本編を一度見てほしいです。
愛の温度の魅力
主人公が選び取るストーリー展開
本国での評価は上々、本作でソ・ヒョンジンもヤン・セジョンもさらに評価を上げていて、一体どんな作品なのか気になっていました。
人物たちが語るセリフや行動などがそれぞれの考え方や性格、状況にきちんと沿っていてブレない安定感が貫かれていてます。
ドラマは出来事があって登場人物たちが選択せざるを得ないケースが多いのですが、本作は人物たちがどうしたいかを選び取ることで展開していきます。
逆にその部分を理屈っぽく感じてしまうこともあり途中までさほどハマっている感じでもありませんでした。
だけど、ヒョンスやジョンソンたちがより近づき関係性が変化する中で、どう相手と向き合っていくのか、手探りし、距離を置き、そして理解していく過程が実に地に足ついていて、最終話で一気に盛り上がりました。
リアルに描くことの難しさをクリア
見る方としては刺激的で荒唐無稽な物語が見たい欲求がある一方で、一つ一つ悩みながら解決していくリアルで常識的な物語もみたい。
でも常識的に寄せすぎると視聴者を引き付けるのは難しい。
そういう意味でこのハードルを乗り越えた本作は脚本家さんのこだわりを感じる力作といってもいい作品でした。
愛の温度とは
仕事と恋愛、家族と交友関係
ブレない登場人物たちが織り成す人間ドラマ
ハマリ度は
4 拍手!
”面白いよ!”というよりも”一見の価値あるよ”って言いたいです。
ここからはネタバレがあります
ご注意ください
ネタバレ感想
恋愛のタイミングと温度
主人公は脚本家と料理人のたまご。
それぞれ実力がある二人は間もなく独り立ちの道が開けるという時期に出会います。
仕事で成功するという夢への野心と愛する人に出会ったタイミングがほぼ同時でした。
恋をし一生を共にするかどうかを考える時期というのは年齢的にそういう時期と重なってくるもので、仕事をおろそかにできない二人がどういう経緯をたどり幸せを探すのかという部分で、現代の恋人たちにとってはリアルなテーマだと感じました。
相手の愛し方と自分の愛し方は違うことを知る
恋人同士になれば、より相手を理解するうえで相手の家族のことは避けては通れない。
個性的な家族や友人がいることもあり、各人にとって築く関係性は変わってくる。
しんどいキャラクターゆえにヒョンスから実母を遠ざけようとしたジョンソンだけれど、ヒョンスには全然大丈夫だった。そんな風に関係性はそれぞれ違うように。
愛し方もひとそれぞれ。だからこそすれ違うこともある。
どんなふうに親から愛されて、あるいは愛されたと思えない幼少期を経ても、今目の前にいる愛する人がありのままでいられるように互いに思いやれているかに集中すればいい。
こうしてくれないから私を愛していないんだとか、ここまでしてあげたら愛していると分かるでしょ?と自己完結はしてはいけない。
現実を受け止めて自分自身の本心を受け止めて選択していくのが人生。
キム・ジェウクの演じたジョンウの役割と魅力
さて、本作はヒロインのヒョンスが脚本家ゆえに、製作会社・所属事務所・放送局、そして脚本家の世界の事情などの内幕も垣間見せてくれる面白さもありました。
ヒョンスの所属する企画会社代表はキム・ジェウク演じるジョンウ。
ジョンソンが兄のように慕うやり手の彼がそつなくスマートに仕事をこなす様子に感心させられます。
会話やしぐさ、問題の解決の仕方や引き際のバランス力から垣間見える大人の魅力を表現したキム・ジェウクのキャラクター消化力に感心させられました。
丁寧に練られ流行にとらわれない作品力
シェフとして成功しようと頑張るジョンソンのレストラン経営の内幕や業界のパターンなども劇中のヒョンスのように丁寧に取材を重ねたようでとても説得力がありました。
こういう作品が評価されるというのはとてもいいですし、それだけの出来でした。
真に脚本力が秀でていたと言えます。
そしてこの脚本のセリフがすべて生きるように撮りきった監督(演出家)さんも素晴らしい。
因みに脚本家ハ・ミョンヒさんは「上流社会」や「ドクターズ」を
演出家ナム・ゴンさんは「テバク」を撮った方です。
とはいえ、このキャスティングがあったからこその仕上がり。
なので、”面白いよ!”というよりも”一見の価値あるよ”って言いたいです。
爽やかなOST
さいごに、若々しく、でも大人な二人の出会いをイメージできる主題歌を貼ります。
OH MY GIRLのスンヒちゃんが歌う「You Are」
さいごに
愛の温度は好みが分かれるタイプの作品ではあります。
女性から見てヒョンスのキャラクターが共感できるかどうか、納得できるかどうかなどが大きなポイントとなることと思います。
ある恋人たちの物語として楽しんでみるのは確かに難しいかもしれません。
脚本としての切り口や描き方の個性や、これをキャストがどう演じたのかという点に面白みが感じられる方には見る価値のあるドラマじゃないかなと思います。