サンドラ・オー、ジョディ・カマーの個性際立つイヴとヴィラネルのキャラクターが魅せるキリング・イヴのシーズン2。
シーズン1のブラックシニカルなテイストは健在とはいえ、2人の関係がシンプルな“捜査官x犯罪者”から変化を見せてくるという、より内面部分が色濃く描かれたシーズンとなっていました。
今回も、私の感じたところを語っていきたいと思います。
シーズン1をご覧になっている前提で行きますので、1までのネタバレはあります。ご注意ください。
作品情報
原作:「コードネーム・ヴィラネル」Luke Jennings
放送:2019年 BBCアメリカ
シーズン1 | 2018年 全8話 |
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シーズン2 | 2019年 全8話←今回ココ |
シーズン3 | 2020年 全8話 |
シーズン4 | 制作予定あり |
脚本:エメラルド・フェンネル
シーズン1のショーランナー、フィービー・ウォーラー・ブリッジさんから引き継いだのがエメラルドさん。
彼女も女優さんであり脚本家さんでもあるそうです。
キャスト
サンドラ・オー(イヴ・ポラストリ)
ジョディ・カマー(ヴィラネル)
フィオナ・ショウ(キャロリン)他
冒頭あらすじ
銃声が止み、そっと状況を確認したイヴはヴィラネルが逃走したと同時に、建物の外に警察が到着したことに気づいた。
現場からかろうじて逃走したイヴは空港へ。
ヴィラネルは交通事故に見せかけて病院に搬送された。
消息をつかめないヴィラネルがどうなったのか気が気でないイヴは、帰宅後情緒不安定で夫から心配されるのだが、本当のことはもちろん言えずにいた。
予告編
U-NEXTのティーザーをここで
ヴィラネルの消息をつかむために、イヴはキャロリンに捜査チームに戻してもらうことが分かります。
何としてでも生き延びるヴィラネルの目的はイヴということになりそうですね。
キリング・イヴS2の描いたもの
組織を抜けたキラー・ヴィラネルの身の振り方
組織に見限られたことが分かったヴィラネルは、生き延びていた担当者コンスタンティンさんと組んで請負暗殺稼業をスタート。
組織から狙われていることだけでなく、今自分を追い抜き組織のナンバー1キラーとなったらしい“ゴースト”への捜査をイヴが行っていることに対する不愉快さも抱えることになったヴィラネル。
ヴィラネルの道は結局イヴにつながっているんですよね。
暗躍するゴーストを追う
超大物富豪の死に浮上した他殺疑惑から、イヴたちはある独特の殺害方法を持つキラーの存在をキャッチします。
ゴーストと名付けたその犯人は女。
その目的と正体を追って捜査が進められていきます。
ゴーストには萌えないイヴと、イヴがゴーストを追うことが気にいらないヴィラネル。
2人の深層心理がじわじわと表面化していく展開の背景ともなっていきました。
色濃くなったWomance
最近知った言葉の一つがWomance(Woman+Romance)。
男性同士の濃い友情を表すブロマンスを受けた女性版のようで、広く使われているのかは不明ながら、キリング・イヴを見ているとその言葉が常に浮かんできました。
捜査力が高いイヴ。
しかし、それ以上にヴィラネルへの執着が垣間見えるイヴの様子に同僚たちはすぐに気づきます。
一方で、イヴに見つけてもらえるようシグニチャーを送るヴィラネルの行動のパターンにも関係者は気づいています。
ヴィラネルの何かに明らかに惹かれているイヴと、イヴほど自分の理想にハマる女はいないというレズビアンのヴィラネル。
殺人事件を介して磁石のように強く引き合ってしまう二人のエキセントリックともいえる愛の不思議な形についつい引き込まれてしまうんですよね~。
キリング・イヴ S2 とは
強力な磁力で引き合うかのような2人
エキセントリックな愛の物語に付き合わされるS2
ハマリ度は
3.5
ブラックでシニカルなユーモアを込めてくるキリング・イヴはシーズン2から脚本家さんがクリエイターのフィービーさんからエメラルド・フェンネルさんにバトンタッチされたそうです。
確かに、S1のようなエッジは効いていないとは感じましたが、人間ドラマ好きの私はS2で二人の心情の変化が見えてきたストーリーが楽しくて気に入って見ました。
これはもう、ヴィラネルとイヴのサム(気持ちはあるが恋人未満)の物語。
惹かれ合っていて、他の人ではだめなふたり。
どうにかして接触しようとし、かといってサイコパスのヴィラネルには通じないイヴの感情や感覚があって相容れない。
もどかしすぎる恋人未満というね。
ヴィラネルはイヴの関係者にも、実はトンデモないことをしでかしています。
この辺がシーズン3でイヴとの関係にまたもや影を落としそうです。
個性的で引き込まれるドラマです。
ここからはネタバレがあります
ご注意ください
ネタバレあらすじ・感想
隠しきれない互いへの執着
イヴにとって、ヴィラネルは“捕まえたい”殺し屋なのか?という疑問は早々に消えていきます。
私が思うに、関わっていたい殺し屋。これに尽きるのではないかと感じています。
シーズン2では、イヴがヴィラネルにむけて取った行動はこういったものでした。
- ヴィラネルをおびき出すために、自分の殺害を依頼する。
- 彼女を恐れるゴーストの口を割らせるために、ヴィラネルに協力依頼する。
- ゴーストを使っていた黒幕の証拠を集めるためにヴィラネルに潜入させる。
どれも、ヴィラネルの能力が活かせる仕事を振り、彼女と関わっていられることばかりでした。
惹かれていても相容れないシニカルな関係
ヴィラネルの個性的な仕事ぶりに惹かれているに違いないイヴ。
けれど、彼女は人を殺害する。
イヴは殺しをする残酷なヴィラネルに惹かれているのに、犯罪は許さない立場にあります。
ヴィラネルはイヴを手に入れたと感じても、イヴはするりと身をかわす、そういう感じの繰り返しに。
サイコパスであるヴィラネルにはキャッチできないイヴの感覚と、イヴからみてヴィラネルに期待することはできない感情がある。
もどかしくもシニカルな関係なんです。
バレバレすぎて利用されてしまう二人
ゴーストを使っていたのは他殺が疑われた富豪の後継者である息子でした。
彼がキラーを使って暗殺を繰り返していた証拠をつかむために、彼のもとにヴィラネルを潜入させるというイヴのアイディアを許可してくれた上司キャロリン。
でも、実は、要人の個人情報をすべてつかむ通信業であり武器商人として裏で危険なビジネスを展開していた彼を非公式に消すという作戦を進めていました。
ふたりの執着し合う関係を理解していたキャロリン。
イヴが彼によって危険な目に合うよう手をまわし、イヴの命を守るために彼を消すというヴィラネルの動きを狙っていたキャロリン。
それは見事に成功しました。
すご腕過ぎて怖い彼女の手腕を実感したシーズン2でもありました。
シーズン2の結末は
利用されたと分かりすぐさまイヴと現場から逃走しようとしたヴィラネルは、今度は元いた組織トゥエルブから命を狙われていました。
MI6の作戦が終了するまでヴィラネルは生かすという裏取引まであったというね・・・。
襲われていたヴィラネルを助けるために、斧を振り落として組織からの刺客を殺害したイヴ。
さぁ、ふたりでどこか遠くに行こう!と提案したヴィラネルでしたが、ヴィラネルが拳銃を持っていたと知ったイヴはお怒りに。
自分に殺人を犯させるために銃を使わなかったのかと。
ヴィラネルとイヴ、喧嘩カップルの誕生ですな。
さいごに
この3カ月ほど、延々とBL(ボーイズ・ラブストーリー)ドラマを見続けていた私にとって、キリング・イヴは分かりやすいほどのガールズ・ラブストーリーで唖然。
いやいや、脳がそっちへ行ってしまっているのでは?と何度も立ち止まってみたんですが、
やっぱりキリング・イヴは百合ですよね?
それも、エキセントリックで、ハッピーエンドは難しい系の。
シーズン1はもうちょっとサスペンス色とブラックコメディ色が強かったんですが、S2はこれはもうラブストーリーだと(笑)
このシーズン2でヴィラネル役のジョディー・カマーは第71回エミー賞の主演女優賞を手にしています。
確かに、ヴィラネルのキャラクター性に深みが増したと感じたのはS1よりこっちのS2。
シーズン3、どう展開するのかな~~(笑)
シーズン1の感想はこちら