2018年秋に韓国ケーブル局OCNで放送されたオカルトサスペンス「客 :The guest」を見終わりました。
主演は主に映画での活躍が印象的なキム・ドンウクとドラマで主演級となったキム・ジェウク、そしてチョン・ウンチェ。
霊媒師、退魔司祭、刑事の3人が怨霊を追い戦う、2018年のトレンドの一つともいえる悪魔祓いものでした。
今回も「客 ザ・ゲスト」について主観的に語っていきたいと思います。
前半はネタバレなしで、後半にネタバレあらすじ・感想があります。
客 ザ・ゲスト 作品情報
放送
韓国OCN 2018年 全16話
演出・脚本・キャスト
演出:キム・ホンソン
シークレット・ルーム(2007)
チョン・ヤギョン(2010)
夜叉(2011)
武士ペク・ドンス(2011)
ヒーロー(2012)
ボイス1(2017)
客ーザ・ゲストー(2018)
脚本:クォン・ソラ ソ・ジェウォン
アントラージュ(2016)
客ーザ・ゲストー(2018)
キャスト
キム・ドンウク(ユン・ファピョン)
キム・ジェウク(チェ・ユン退魔司祭)
チョン・ウンチェ(カン・ギルヨン刑事)
アン・ネサン(ヤン神父)
パク・ホサン(コ刑事)
イ・ウォンジョン(ユクグァン霊媒師)
新しいジャンルに挑戦するOCNと監督
シャーマニズムとエクソシズムの融合を描いたという本作。
“韓国型リアルエクソシズムドラマ”と紹介され、韓国型の霊媒師とキリスト教カトリックの退魔司祭が手を組んで悪霊と戦うことになる斬新な物語でした。
本作を手掛けたキム・ホンソン監督は、前作「ボイス1」など事件と特殊な事情を抱えた登場人物たちの追跡型のサスペンスを最後まで緊張感を失わずにスリリングに描き切られるOCN作品を代表する監督さん。
ちなみに、本作の退魔司祭役を演じたキム・ジェウクは「ボイス1」で監督と組まれています。
11年ぶり再共演のキム・ドンウク&ジェウク
キム・ジェウクとキム・ドンウクが共演と聞いて、「コーヒープリンス1号店」にハマった人は見ずにはいられない衝動に駆られたはず!
それはもちろん私です!
お二人すごく若いっ!
映画で実績を開花させたキム・ドンウクはあのヒット映画「神と共に」での助演賞をいくつか受賞しています。
キム・ジェウクはドラマで着実に主演の地位を築き、この二人が11年ぶりに主演同士として再共演するというのは、物語同様最高に胸アツでした。
二人のインタビュー記事も印象的でしたよ!
冒頭あらすじ
東の海岸沿いの村。
霊媒師の家系に生まれたファピョンは、海から現れるという怨霊パク・イルドが叔父さんに憑依した挙句、右目を刺して自害する現場を目の当たりにした。
ファピョンは右目が見えなくなり寝込んでしまい、お祖父さんが除霊を退魔司祭に依頼したが失敗。
逆に憑依されてしまった助手のチェ神父が実家で両親を惨殺した。
偶然通りかかったカン刑事は隠れていたチェ神父の弟を救い自らは助からなかった。
ファピョン、チェ神父の弟ユン、カン刑事の娘ギルヨンはこの日出会ったのだった。
予告編
ここで断片的なシーンでイメージを伝えるティーザーを一つご紹介します。
詳細は分からないまでも、何か邪悪なものと戦うしかない3人の悲願のようなものが見えるティーザーとなっています。
客とは、招かれざる客=強い怨霊パク・イルドを指して村の人々が呼ぶ略称でした。
客 ザ・ゲストの見どころ
3人の絆がアツいバディもの
霊媒師の家系に生まれ自らも能力を持つファピョン。
退魔司祭として実力を持つ神父チェ・ユン。
母のあとを継ぎ刑事となったギルヨン。
20年前に東海岸の村で発生した猟奇的な殺人事件でつながった縁を持っていた3人が再会し、事件の元凶である“犯人”を捕まえることに奔走します。
元凶退治を悲願とする3人の縁は、やがて固い信頼と友情に変わっていきます。
この3人の相棒たちによって、つらい物語も希望を失わず見ることができました。
怨霊パク・イルドの存在を感じさせる演出
パク・イルドは強い怨霊。
悪霊と化したさまよう霊たちを人に憑依させる力を持ち、憑依された人の抱える心の闇を利用し殺人を犯させます。
人が見るイメージなのか、実際に誰かに憑依しているのかも詳細には分からない。
そういったパク・イルドの存在を感じさせる演出やキャスト陣の演技は素晴らしかったです。
日本版DVD発売元ティーザー
9月DVDが発売決定しているということで、先行トレーラーが出ていましたので紹介します。
客 ザ・ゲスト とは
霊媒師、退魔司祭、刑事の3人が怨霊を追い戦う
韓国型リアルエクソシズムドラマ
ハマり度は
3
この物語も難しい演技だけでなく気力体力的に大変だった作品だったろうと思います。
人物たちの感情が状況に応じて細かく変化するうえ、想像力が要求されるシーンの連続でした。
ここ最近の韓国ドラマはファンタジックであったり、見えないものを追うという複雑なものが多くなっていてクオリティーは必然的に上がってきているのではと感じずにはいられません。
コメディ色、ロマンス色一切なしのガチのオカルトサスペンスゆえに、怨霊や悪霊たちが人を手にかけていくシーンなどグロテスクで残酷な描写も多いのですが、主人公たちを応援して見ていくことができるドラマでした。
第一話からテンポも良くてなかなか引き込まれました。
オカルトサスペンスだけではない、実は3人の篤い友情を描いている本作。興味のある方は一度見てみてくださいね。
ここからはネタバレがあります
ご注意ください
ネタバレあらすじ
因縁の敵を追う3人の再会
怨霊が海から上がり、人に憑依し、そして弱小霊たちを人に憑依させて人をあやめてゆく‥‥。その怨霊の名はパク・イルド。
家族を殺害した犯人チェ神父を捕まえることを悲願にそれぞれ生きてきたユンとギルヨン。
そして、その大元であるパク・イルドを捕まえることに人生をかけてきたファピョン。
3人が20年ぶりに再会することで物語が動き始めました。
ファピョンが20年追っていたものの正体
憑依された人が誰かを手にかけようとする時に感応しビジョンが見える霊媒体質のファピョン。
当初はこれらの悪霊がパク・イルドだと思っていたファピョンでしたが、実は人への悪意や恨みなどの心の隙間に下等な悪霊をパク・イルドが憑依させていただけで、パク・イルドそのものではないことが分かってきました。
パク・イルドの生前の情報
イルドはその残虐で悪魔的な所業で家族から隠されて生きてきた裕福な家庭の末っ子でした。
親戚の人や使用人などを無残に殺害したイルドは、ついに人間界に生まれたことが過ちだったと妻子を手にかけ生贄とし、自らは右目を刺し海に身を投げ更なる力を得ようとしました。
助けに行き最初に憑依されたのが、イルドの側近として働いていた村の男イさんでした。
パク・イルドはどこに
疑わしい人が何人か出てきますが、下等霊に憑依された人たちが入り混じるためになかなかイルドに到達できずファピョンたちは翻弄されました。
イルドの甥の娘国会議員、イさんの次男だった神父など、姿を見せないイルドが完全憑依していたのではというミスリードもありました。
もしかして、霊力の強いファピョンの体を実は乗っ取っているのでは?!という憶測も。
イルドがいたのは
そう、劇中疑いが持ち上がるも何度も否定してきたお祖父さんでした。
すべてはファピョンが寝込んだあの日、憑依先として完璧だったファピョンを狙っていたイルドに孫を守りたい一心で体を差し出していたのがお祖父さんでした。
乗っ取るにはバリアが強すぎるファピョンのガードを崩すまで虎視眈々と機会をうかがっていたということでした。
結末
イルドの呪いによって、ユンが退魔を行えば命を失うことになると知ったファピョンは自分ひとりでやると決めていました。
ファピョンの特殊霊媒力でイルドを体に入れ封じたまま命を終える方法を決行。
そこにファピョンを助けたいユンとギルヨンが結局は加わりました。
ファピョンの中でファピョンとイルドがせめぎあう中、ユンも命を張って除霊を試みます。
二人とイルドの力が尽きたのは海岸沿いの海の中。
ギルヨンは浮かんだユンを助けましたがファピョンは見つかりませんでした。
それから1年後、
一人暮らしとなったお祖父さんのもとにボランティアからという荷物が届いていることに気づいた二人は送り主を探しファピョンを見つけます。
漁師に助けられていたファピョン。
けれど、「(本当にイルドを封じるあるいは除霊できたのか)まだ確信がない」という理由で離れて暮らしていたようです。
生きていたファピョンを見て涙ぐむ2人。見つめ合い喜びを伝えあう3人でした。
OST曲を一つ
感想の前に印象に残ったOST曲を一つだけご紹介したいと思います。
本作のもつ悲壮さや祈るような響きが印象的だった曲
オジョン「Somewhere」
3分5秒くらいから ハジン「Somewhere(Memory ver.)
じっくりと曲の世界観に落ちていくような感覚になる曲です。
ネタバレ感想
悪霊を追う追跡劇だったので、特殊な技量を持つファピョンとユンのコンビは苦労しつつも大活躍しました。
そこに、現実的な犯罪を扱える刑事ギルヨンがいたという絶妙のキャラクター配置がされていて、もしかしてこれも続編作ろうと思えばできるんじゃないのかい?と感じてしまうさすがのOCNドラマでした。
→ジェウクのインタビューに、ありそう?あればいいねというような話題もチラリと出てはいました。
*→2019.9 映画化が決定したという情報が日本版DVD予告で告知されていたのですが、現在保留となっている模様です。制作あればいいのですが。
人の負の感情や弱さを狙う悪霊たちの姿は卑怯であるのですが、こういった感情につけ込んでくる犯罪者や詐欺師は実際にいそうですよね。
悪霊・怨霊相手のオカルトサスペンスというシリアスなドラマの世界観にドップリとひたる感じでじっくりと見ることができました。