2019年Netflixオリジナル韓国ドラマ「愛しのホロ」。
主演はこれまで主演・助演として数々のドラマで活躍しているユン・ヒョンミンとコ・ソンヒ。
ユン・ヒョンミンは人工知能ホログラム”ホロ”の生みの親である研究者ナンドと、ナンドをモデルに作ったホロの2役を演じました。
コ・ソンヒが演じたのは人の顔の識別ができないヒロインソヨン。
ソヨンがホロの利用体験者となって展開するヒューマンロマンスということで楽しみにしていました。
今回も、感じたところを語っていきたいと思います。
ネタバレあらすじや感想は後半以降となっています。
作品紹介
配信
2020年 Netflixオリジナル韓国ドラマ
演出・脚本・キャスト
演出: イ・サンヨプ
帝王の娘スベクヒャン(2013)
ショッピング王ルイ(2016)
知ってるワイフ(2018)
脚本:リュ・ヨンジェ
犬とオオカミの時間(2007)w/ハン・ジフン
ライアーゲーム(2014)
交渉人~テロ対策特捜班(2016)
愛しのホロ(2020)
サイコパスダイアリー(2020)
脚本:キム・ファンジェ、チェ・ソンジュン
キャスト
ユン・ヒョンミン(コ・ナンド/ホロ)
コ・ソンヒ(ソヨン)
チェ・ヨジン(コ・ユジン)
チャンソン 2PM(チャンソン)
イ・ジョンウン(ソヨンの母) 他
主演のお二人について少し
公私ともに順調ユン・ヒョンミン
元プロ野球選手ユン・ヒョンミンは、最近だと「魔女の法廷」(2018)で演じた元精神科医の検事役が印象的でした。
交際している「愛しのクム・サウォル」(2016)で共演したペク・ジニとの恋愛もうまく行ってるようで、公私ともに順調ですね。
着実な俳優活動コ・ソンヒ
私が初めてコ・ソンヒを知ったのはチョン・イルや東方神起のユノと共演し主演を務めた「夜警日誌」(2014)
元モデルさんで、「夜警日誌」は主演だったもののまだまだ演技は粗削りな印象を受けました。
あれから6年、着実にキャリアを伸ばされてきています。最近では韓ドラ版「SUITS~スーツ」などにも出演されています。
冒頭あらすじ
人の顔が識別できない心因的な症状を抱えるソヨン。
真面目で仕事もできるが、失顔症のために人付き合いが難しくいつも孤独だった。
そんなソヨンの鞄の中に入っていた見知らぬ眼鏡。
この眼鏡ホログラスは、そこにリアルに存在するかのように見える人型ホログラムAIが使える最新技術のツール。
技術を狙うものたちからホログラスを守るため、開発会社代表のユジンが通りがかったソヨンの鞄に入れたものだった。
ソヨンは自分だけを見つめてくれるホロに助けられ癒されていくのだった。
予告編
ここでNetflixの予告編をご紹介します。
ホロとの出会いがソヨンの人生を変えるきっかけになり、彼女の心も彩る予感。
「AIと愛し合えるのか?」
意味深なコピーですよね。
愛しのホロ の個性と魅力
没入しやすいコンパクトな世界観
複雑な人間関係、幾多の伏線といったボリューム感が楽しめる大作もいいのですが、本作はそちらではなく、とてもコンパクトな世界観となっていました。
主人公ソヨンとAIホログラムのホロ、そしてホロを作り上げたプログラマーのナンドのメイン3人を中心にじっくりと描かれていきます。
印象としては日本ドラマ寄り?
ただ、コンパクトとはいっても過去の出来事に収束していくストーリーは実に韓国ドラマらしい構成となっていてドラマチックでしたよ。
絶対的な味方AIホロの愛しさ
好みのルックスにカスタマイズでき、高度な言語能力と認識能力でさまざまなシーンでユーザーをヘルプしてくれる。
元気がなければ側にいて元気づけ癒してもくれる絶対的な味方ホロ。
これはソヨンでなくても、ずっとそばにいて欲しいと思ってしまいます。
孤独だったソヨンにとって、ホロの存在が特別なものとなるのは無理もないことだったでしょうね。
ホロはそんな愛しく頼れる存在でした。
ソヨンの恋は運命的な出会いから
ホログラスを急きょ避難させるために通りすがりの人の中からソヨンを選んだのはホロ。
その理由はいろいろとあったようですが、実はソヨンを選んだある大きな理由がありました。
ソヨンに訪れた恋には一体どんな運命と縁があったのか、その理由も展開も気なるポイントでした。
最先端技術の魅力と落とし穴
こんな技術があれば面白いと感じたドラマ「恋するアプリ~Love Alarm」の”好きなら鳴るアプリ”の物語もそうだったのですが、最先端技術が発明されたとき、便利さとは裏腹に思わぬ側面が存在することも描かれました。
供給側の狙いによって便利なはずが恐怖のツールに変わることも。
すでに私たちが使っているツールたちも実は…と疑ってみずにはいられない部分ですよね。
数年前から、カナダ・アメリカと某国の企業間で似たような話題も聞かれましたね。
こういうチリリと社会派の香りを絡めてくるのも韓ドラの面白いところです。
愛しのホロ とは
失顔症のソヨンの人生を変えたホログラムのホロ
ソヨン・ホロ・ナンドの恋と愛、友情を描いた運命ロマンス
ハマリ度は
3
今や元野球選手という肩書で紹介する必要ももうなくなった主演俳優ユン・ヒョンミンがホロとナンドの二役をこなしていて本当に楽しみました。
本作は、どちらかというと小粒型のラブロマンスではあったのですが、初期設定が面白いのがなかなかの見どころポイントだったと思います。
一つだけ正直に突っ込むとしたら、予告編で視聴者に期待させた方向へと掘り下げて描いていくわけではなかったこと。
でもそれはどんなドラマでも言えることですね(笑)
とはいえ、なかなか楽しく見ることができました。
詳しいところは後半のネタバレのところで語っていきたいと思います。
主演キャストインタビュー動画
Netflixグローバルアカウントに、ユン・ヒョンミンとコ・ソンヒのインタビュー動画がありました。
ドラマのストーリーや役についての思いや解釈、撮影ビハインド映像も含まれていて面白いと思います。
ネタバレは気にしなくてよい範囲になっていますので、良ければ見てみてくださいね。(設定で日本語字幕が出ます)
視聴リンク
ここからはネタバレがあります
ご注意ください
ネタバレあらすじ・感想
ここから後半はホロ・ソヨン・ナンドの3人の深い縁が描かれた「愛しのホロ」のストーリーの詳細について記録しておこうと思います。
OSTや感想はそのあとで語ります。
唯一無二の友だちホロ
母子家庭で幼いころから一人でいることが多かったナンド。
AI研究者だったナンドのお母さんは、ナンドのためにいつも一緒にいてくれる友だちとしてホロを作ったのでした。
ホロは初期形態ではハローという名でした。
お母さんを亡くしたナンドが養護施設のパソコンを触り始め、やがてハローを進化させたホロを作り上げていったのでした。
そんなナンドは、お母さんが自分を捨てて自殺したと聞かされていてずっと傷ついた心を抱えていたのでした。
ホロがソヨンを選んだわけ
あの日、あの場所をソヨンが通りがかったのは偶然、まさに運命でした。
ホロは、自分がまだハローだったころに見たナンドが唯一心を開いていた友だちを覚えていました。
それがソヨン。
ホロにとってソヨンは利用体験ユーザー=ご主人様であると同時に、ナンドを幸せにできるホロにとって大切な人でもあったのでした。
ホロ誕生に込められていた深い愛の証
「AIと愛し合うことができるのか」
その答えはホロなら半分「イエス」
それはソヨンとの愛ではなく、ナンドを愛したお母さんの思いがプログラムされた、ナンドの幸せを最優先にするAIとしてのホロの愛でした。
「ホロは人を愛することができるのか」 それはイエスでした。
愛をプログラムされていたホロ
一度はライバル企業にホロを奪われてしまったナンドでしたが、どんなにプログラムを改変されようとも、最優先させられるべきはナンドの幸せだったホロ。
大切な人を守るために、ホロは自分を消去することも厭いませんでした。
お母さんの代わりに、そしてまさに双子の兄弟のように誰よりもナンドを愛したホロは自らを犠牲にするという選択肢を選べるAIでした。
ロマンスの行方は
当初、ホロが来て人生が好転し始めたソヨンにとって、ホロなしでは生きていけないという思いがホロへの愛だと感じたのは無理もないことでした。
けれど、ナンドがソヨンを愛しはじめたことでホロは当然のごとく二人を応援しました。
その後、つらかった時にもらった励ましの言葉や支えが、実はホロに見えたナンドだったことが分かりソヨンもやがてナンドを愛していると気づくことになりました。
ナンドのお母さんの死の真相
ソヨンの失顔症は実はナンドのお母さんが亡くなった日、ナンド母子と待ち合わせしていた南山での出来事がきっかけでした。
あの日、ソヨンは道に迷い、ナンドのお母さんが今のマジックミラー社の会長に殺害された現場に出くわしています。
血だらけの顔で「顔を忘れろ」という犯人からの脅迫を受けた恐怖から人の顔が認識できなくなってしまったのでした。
およそ20年ぶりに会長と会ったソヨンは、あの日の記憶と真実を思い出しました。
関係各所を金で抱き込んだ会長が、ナンドのお母さんの死を自殺で処理させていたことが分かったナンドは、お母さんが自分を捨てたわけではなかったと知ることができました。
結末
ホロの技術を卑劣な方法で奪ったうえ、利用者の個人情報や利用情報すべてを吸い上げていたマジックミラー社のビジネスは、その息子チャンソンの協力もあり何とかやめさせることができました。
会長はこれまでやってきた罪が明らかとなり逮捕。
ホロは、ナンドたちを助けるためとはいえ違法な方法をとった責任を取り、自ら消去という道を選びました。
あれからナンドはホロ技術を生み出した技術力を生かし、通話相手がそこにいるかのように見えるホログラム技術を開発しビジネスを波に乗せようとしていました。
ビジネスパートナーは姉代わりの代表ユジンさんと結婚したマジックミラー社の新社長チャンソンや眼鏡メーカーのソヨン。
失顔症の原因と理由が分かったソヨンもまた、人の顔を少しずつ認識できるようになっているようです。
ふたりは大切なホロを思いながら幸せに歩んで行けそうです。
OSTをすこし
愛しのホロのOSTは Ji Pyong Kwonという方が作曲や楽器演奏、コーラスなどで音楽を担当されていたようです。
曲を歌われていたアーティストは韓国・英語圏の方などさまざまでした。
一曲目は優しく穏やかな曲
Play J「Shining Star」
ホロと温かくてゆったりとした時間を過ごすようなイメージの曲ですよね。
もう一曲は、シンプルなんだけど良いと思ったこの曲
KLAZY「LOVE AGAIN」
劇中流れ初めたときに「まさかユン・ヒョンミンが歌っているのか?」と思ってしまったほど導入部の声が似ていると感じてしまいました。
歌が進むとちょっと違うと分かってくるんですが(笑)
「愛しのホロ」のサントラはピアノがメインになっているような曲が多く全体的に落ち着いていて穏やかな印象となっていました。
これも本作の個性だったと言えます。
感想
当初、ホロとソヨン=AIと人間という種を越えた、心で愛しぬくような切ないロマンスが展開するのかも?と思っていたのですがそういう展開とはなりませんでした。
もしそこを追及するようなストーリーならば、より斬新で深いストーリーになるんじゃないのかと少々期待していた部分もあったんです。
ただ、その場合だと今回のようなコンパクトな感じには仕上げられなかったでしょうね。
導入部分の設定や展開はなかなか面白く、ホロとナンドの関係や因縁の出来事をうまく組み立ててあったので、これはこれでありだったなと思っています。
王道韓ドラロマンスならヒロインと結ばれるのはホロタイプのキャラ
ええ、キャラクター魅力度で行けば、王道パターンならば、ホロがヒロインをゲットとなったと思います。
ソヨンを幸せにしたのも、ソヨンの人間関係をよりよいものにしたのもホロだし。
ただ本作がうまく設定を組み立ててあったな~と思ったのは、ナンドとホロはある意味一体で、ホロが誰よりも愛していた(最優先だった)のがナンドだったこと。
そして、そんなホロを作ったのが他でもないナンドとナンドの亡きお母さんだったという設定。
ソヨンとナンドの間には過去に濃い縁があったこともロマンスの説得力となっていました。
3人の絶対的な信頼関係と愛情が感じられた良いドラマでした。
こうやって振り返ると、まさに遠くない近未来のヒューマンロマンスといった趣が楽しめたドラマでした。
ぜひまずは1話目を見てみてくださいね。