2021年、VODサービス Coupang Play制作の韓国ドラマ「ある日~真実のベール~」が日本ではAmazonプライムで会員見放題作品として配信されました。
イギリスBBCのドラマ「クリミナル・ジャスティス」のリメイクドラマなのですが、私はオリジナルを見ておらず、ストーリーを知らずに緊張とドキドキの中視聴しました。
主演はキム・スヒョンとチャ・スンウォン。
それを知った地点で視聴確定だったんですよね。それほど、このおふたりの共演には視聴前から期待値を上げていました。
視聴した感想をまずは一言で言うとすれば「す、すごい……」。
語彙力ゼロになるしかない演技に、私は唖然としました。
作品情報の後、私がハマったドラマの魅力と個性について、事件や核心のネタバレはなしで語って行こうと思います。
作品情報
演出・脚本・キャスト
演出:イ・ミョンウ
- 王女自鳴鼓(2009)
- ジャイアント(2010)
- 耳打ち~愛の言葉~(2017)
- 熱血司祭(2019)
- コンビ二のセッビョル(2020)
- ある日~真実のベール(2021)
コメディ、時代劇、社会派ブラックユーモアなど、様々なタイプのドラマを手掛けられてきたイ・ミョンウ監督。
本作では、シリアスな社会派であり信頼の絆を互いに手放さなかったバディともいえる2人の男の物語を渋く、強く描かれていました!
脚本:キム・スンギュ w/イ・ジンヒョク
- 2011年 武士ペク・ドンス
- 2016年 テバク
- 2021年 あの日~真実のベール~
キャスト
キム・スヒョン(キム・ヒョンス)
チャ・スンウォン(シン・ジュンハン)
キム・ソンギュ(ト・ジテ)
キム・ホンパ(パク・サンボン)
キム・シンロク(アン・テヒ) 他
冒頭あらすじ
授業や提出物などに真面目に取り組む平凡な大学生キム・ヒョンスは、誘われていた友人のパーティーに急きょ行くことになった。
父親のタクシーを無断で借り、ナビを確認するために繁華街の路肩に停車したところへ、美しい女性グクファが後部座席へと乗り込んだ。
成り行きで彼女を目的地に送るだけのつもりが、意気投合し彼女の家へ。ほろ酔いから楽しい雰囲気に流されたヒョンスは薬物を摂取し体の関係を持った。
その翌朝、ヒョンスはグクファが刺殺された凄惨な姿を目にした。
容疑者はヒョンス。
殺害はしていないと語るヒョンスに、シン・ジュンハン弁護士が弁護人としてつくことを決めるのだが…。
予告編
→ Amazonプライム「あの日」配信ページ にも「ボーナス第0話」として日字幕付きの予告編があります
「ある日」の魅力と個性
OTT向け制作によって更なるドラマの深化が期待される
韓国OTT(Over The Top)プラットフォームCoupang Playによる、自社制作ドラマの第一弾となったのが本作「あの日~真実のベール~」。
ドラマ企画・制作を行ったのはSTUDIO M。
演出監督、脚本家と契約し参加してもらう形でその作品作りをサポート、企画しつつ、資本などを含めた制作会社と組んでいくのだそう。
ドラマ「愛の温度」のジョンウ(キム・ジェウク演)が、脚本家のヒョンスの作品を評価し、ヒョンスも企画会社に信頼を置いて仕事をすると決めたシーンをふと思い出します。
企画・事前制作のスタイルが定着し、世界に向けたコンテンツ作りが成されていく中で、より洗練され、より深く抉り、より表現の幅を狭めない、作り手の描きたい一貫したテーマを持った作品が増えていきそうです。
10年前くらいから韓国ドラマ制作で増えてきていたスタイルがここにきて更に定着しそうですね。
キム・スヒョン&チャ・スンウォン 深すぎて鳥肌
イギリス「クリミナル・ジャスティス」のリメイクドラマということで、ストーリーの質はあらかじめ約束されていたという本作。
それを、韓国オリジナルなものに仕上げてしまったのがキム・スヒョンとチャ・スンウォン。
もともとジャンルを問わない演技力で、凡人からカリスマイケメンまで硬軟演じ分け自在のおふたりによるドラマというだけで興味を引きます。
普通の大学生だったヒョンスが極限に置かれ、状況の変遷によってどんなふうに心境の変化があり、どういった決意をしていくのかが手に取るようにわかるキム・スヒョンの演技にはきっと鳥肌が立つはずです。
また、弁護士シン・ジュンハンは、信頼できるのかどうか、実力があるのかどうかも分からない人間臭い姿に、実はすっくと立つ揺るぎない信念があることが見えてくる。ここでも鳥肌が立ちました。
シリアスで重い、けれど力がある
殺人事件の容疑者となった大学生。
事件の前夜の行動は、決して正しいとは言えないことばかり。そして証拠とされるものは山のようにある。
でも、本当に彼が犯人なのかどうか、決定的な動機・証拠・自白のない状況に、法は彼を断罪できるのかという問題を提示していきます。
物語はそう簡単に真実を教えてはくれません。
- ヒョンスの中で、何かが終わりを告げ、別の何かが彼を支えるようになるまでの長く苦しい時間
- そして、ヒョンスを信じて彼の無実を証するものがないのかを探し続けたシン・ジュンハンの終わりの見えない旅路
こんなふに、とてもシリアスで重い物語なんです。
でも、最後まで絶対に見たいと思える力に溢れています。
演出にもざらついた苦しさと同時に、次のシーン次のシーンへと私を送り出すテンポがありました。
二人を取り巻くキャラクターの個性と表現もありましたしね!
OSTも
フィイン「Ice cream love」
恋人はおらず、裕福でもないが家族とは仲のよい、優しい兄であり息子ヒョンス。
偶然に出会った、花のようで奔放な女性グクファとの、まるで一瞬の夢のような時間が彼の理性をふわふわと失わせ情交へと向かわせました。
そんな、彼のひと時の気持ちを感じさせるような曲ですね。
MAMAMOOのフィインの声、いいですね、しみじみ。
Yelo「Another Day」
MVのシーンは、容疑者となったヒョンスの行き場のないツラさを見ることができます。
事件のあとの慌てふためく姿、すべてが自分を犯人だと示す状況と、誰が味方か分からない、むしろ全員が自分に敵意を向ける恐怖のさなかのヒョンス。
シン・ジュンハンの姿が、彼にとっては小さな光のようなものだったはずです。
とはいえ、ヒョンスはもっと強くなります。
小さな光すら、彼は簡単に求めない、そういう哀しい悟りのような境地へと進んでいきます。
べた褒めの感想となりました。
あの日~真実のベール~とは
青年と弁護士 真実と確信、悟りと信念
2大俳優による壮絶な演技が迫るヒューマンサスペンス
ハマリ度は
4
ハマりました。
そして、一気に8話、見切りました!!年末の忙しい時に!
ちら、と見始めたら止まれませんよ、あんなキム・スヒョンの演技を1話からみせられたら!
Amazonプライム会員見放題で見られるんですよ、ぜひ見て下さいね!
おススメ関連作
ヒョンスにとって、獄中での陰の支えとなったト・ジテを演じたのはキム・ソンギュ。
ゾンビ相手に壮絶なアクションを見せた彼の華麗な身のこなしと鋭い演技もぜひ
センスの塊、的確な表現で物語を何倍にも高クオリティにしてしまうキム・スヒョン。彼の凄みが冴えわたったこのドラマもぜひ。