ゼログラビティから5年、アルフォンソ・キュアロン氏が自ら脚本を執筆しメガホンをとった「ROMA/ローマ」を見ました。
2018年8月に開催されたベネツィア国際映画祭では最高の賞である金獅子賞を得ています。
以降、東京国際映画祭を含め10ほどの映画祭で上映され評価された作品ということで気になっていました。
本作の配給権を手にしたのはNetflix。
おかげで私も早々に見ることができました。
今回も見終わった余韻冷めやらぬ気持ちのまま語っていきたいと思います。
作品について
「ROMA/ローマ」2018年 メキシコ 配給Netflix
監督・脚本:アルフォンソ・キュアロン
(2013 ゼログラビティ)
キャスト
ヤリッツァ・アパリシオ(クオレ)
マリーナ・デ・タビラ(ソフィア)
ジョルジュ・アントニア・ゲレロ(フェルミン)
アカデミー賞3部門受賞作
本作は2019年(第91回)アカデミー賞で最多10部門にノミネートされ、3つの賞を獲得しました。
- 最優秀監督賞
- 最優秀撮影賞
- 最優秀外国語映画賞
本作はほぼスペイン語となっていたので外国語映画賞にもノミネートされていました。
キュアロン監督の半自伝的作品
本作は、監督自身が少年期を過ごした1971年メキシコシティ近郊のローマ地区が舞台。
中流階級の家の住み込み家政婦として働くクレオを中心に描く1年間の物語。
なるほど、と思った紹介文はこちらです。
自分を育ててくれた女性たちへの想いをこめたキュアロン監督のラブレターともいうべき本作。
自分を育ててくれた女性たちへの思いを込めたキュアロン監督のラブレターとも言うべき本作
東京国際映画祭「ROMA」紹介ページより
モノクロの映像と生活音の心地よさ
全編モノクロの作品なのですが、大げさではなく、確かに色を感じてたよね私?というほど生き生きとしていました。
オープニングの廊下の掃除シーン、そしてエンドクレジットの屋上への階段を視野に入れながらパティオから見上げる空のシーンはただただ眺めているだけで心地いい不思議な時間でした。
エンドクレジットが終わるまでずっとどこかから聞こえる生活音や人の声を聞きながら画面を見ていました。
物語のリアリティーを引き出す映像
心地いい映像や音、と言いましたが、物語自体からは人々の生きる強さが伝わってきました。
日常を切り取っているようなドキュメンタリーにも似たリアリティーがありながらも、切り取るべき瞬間を描き、劇中の人物たちの喜怒哀楽がひしひしと感じ取れます。
その表現の一つがワンカットシーンの長さ。
カット割の多い韓国ドラマを多く見ている私としては、本作のワンカットの長さが新鮮で、このワンカットの長さイコールリアリティーだったと言えそうです。
予告編
ここでNetflixの予告編をご紹介します。
さまざまなシーンを時系列バラバラに断片的につなぎ合わせてあります。
ネタバレは心配しなくてもよいと思います。一旦、映像の持つ力強さみたいなものをとりあえず感じとってもらえればと思います。
~以下ネタバレを含みます~
感想
何事もない日常の時間の平穏、
心の端に残る不穏な感覚、
ふいに襲われる不安感、
恐怖にかわる焦燥感。
生きているなかで、はっきりしないけれど意識下に漠然と広がる感覚というのがあるのですが、本作ではそんな感覚や感情までも感じられます。
それがご主人夫婦の会話だったり、妊娠を告げた後彼氏のフェルミンがトイレに行ったまま戻ってこない時間であったり、海で遊ばせていた子どもたちの様子に気づいたクレオの表情のなかにありました。
そして
”生きていて(助かって)くれて良かった!“という
すべての感情に勝る瞬間となるシーンがやってきます。
いま見終わって時間がたち、こうして感想を書いていると、その時の彼らのものなのか、私のなのかわからない安堵感が襲ってきて涙が出てきます。
人生に訪れる不測の事態に向き合う姿
誰しも予想していなかった事態に出会うことはあるけれど、クレオ、子どもたち、その母ソフィアは自分の感情を受け入れて次の一歩を踏み出すんだなと感じられるシーンがありました。
彼らの姿は切なくも力強いシーンとして強く印象に残っています。
ハマり度
4
この作品は見る人によっても心に響くところが少しずつ違うでしょうね。
見終わった後も余韻が続くとても好きな作品です。
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