日本映画「新聞記者」視聴感想

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新聞記者

「新聞記者」の主演韓国人女優シム・ウンギョンが、本作で毎日映画コンクール主演女優賞を受賞され、日本アカデミー賞には作品賞・主演女優・男優・監督・脚本賞・編集賞6部門受賞。そして最優秀賞3部門(主演女優・男優・作品賞)獲得となりました。

https://twitter.com/shimbunkisha/status/1235931286474076162?s=20

2019年話題のヒット映画として評価されているポリティカルサスペンス「新聞記者」

日本の作品で演技を評価されたシム・ウンギョンを見てみたい思いもあり鑑賞しました

ポリティカル系ドラマは韓国映画やドラマでさんざん見てきているので新鮮味は特段なかったのですが、確かにこういうタイプの社会派作品は日本ではあまりないというところも評価されたポイントだったようですね。

ただ、話題のヒット作ではあったのですが、私としてはハマり度2.5くらいとなりました。

今回もそのあたりについてなど、正直なところを主観的に語っておきたいと思います。

目次

作品情報

←日本版ポスター  韓国版ポスター→

公開・制作

2019年 日本

原案

原案:望月衣塑子「新聞記者」 川村光庸

監督・脚本・キャスト

監督・脚本:藤井道人

オー!ファーザー(2014)
青の帰り道(2018)
デイアンドナイト(2019)
新聞記者(2019) 
他、ドラマも多数演出されています。

他脚本:

詩森ろば 高石明彦

キャスト

シム・ウンギョン(吉岡エリカ)
松坂桃李(杉原)
北村有起哉(陣野)
高橋和也(神崎)
田中哲司(多田)他

原案は東京新聞の記者による書籍

本作は望月衣塑子さんの著書「新聞記者」が原案となっていたそうですが、望月さんは東京新聞の記者さん。

劇中に流れた政治討論番組にも出演されていました。

吉岡たち社会部記者の描写などにも、現場の空気感が反映されていたように感じられました。

冒頭あらすじ

日韓ハーフの吉岡エリカはアメリカ育ちの東都新聞社会部記者。

日本で記者をすることになったのは、同じく記者だった父の死が大きく影響していた。

ある日、内閣府のプロジェクトに関するリーク書類らしきものが送られてきたことで調査を開始した吉岡は、内閣情報調整室の若き官房杉原と知り合うのだった。

杉原はわけあって外務省からこの通称内調に異動してきており、ここが政権を守るために世論を操作する仕事をしていることに戸惑いを隠せないでいた。

予告編

ポリティカルサスペンスなのですが、社会派ドキュメンタリーのような印象も感じられる映画であることが分かりますね。

新聞記者の魅力と個性

さすがのシム・ウンギョン

本作の番宣などのシム・ウンギョンのコピーは「韓国映画界の至宝」

子役時代から俳優歴は長く、演技猛者の多い韓国俳優界で主演・助演問わず安定した活躍を続けている彼女の実力は有名です。

現政権批判的要素を内包するかのようなストーリーがサスペンスエンタメとしての評価を得られたのも、吉岡という記者の持つバックグラウンドとモチベーションのもととなっていた感情的な理由が画面からきっちりと伝わったからに他ならなかったからでした。

本作の成功の要因は間違いなくシム・ウンギョンの演技だったことは確かでした。

リアルを掘り下げ、ぎりぎりをかすめる社会派

“形ばかりの民主主義”でいいという考え方を持つ政権による相次ぐ裏工作やメディアへの圧力、そして不都合な事実は誰かを犠牲にして隠蔽していく。

倫理にもとる計画を知った者と、現状を正そうとする者たちの葛藤と決断がつぶさに描き出されていました

フィクションの中に垣間見えるリアル感こそが本作の魅力。

社会派作品はリアルを掘り、ぎりぎりをかすめながら工夫されたものほどクオリティーが高まる傾向にありますよね。

本作は、演技と原案のメッセージ性が大きく貢献していたという感じでした。

新聞記者とは

キャスト陣の圧縮させた演技の密度を堪能
珍しく日本でヒットしたポリティカルサスペンス

ハマリ度は

2.5

日本ではちょっと珍しい、政権に直に食らいつくような社会派政治サスペンスがヒットしたことが本作の最も印象的な成果といえました。

それを可能にしたのはやはり主演陣の演技

個人的な好みも関係しているかもしれませんが、映像編集方面でのテンポの悪さや、フィクションであることをわざわざ強調するような内閣情報調整室のオフィスの演出など、

そういったものがありながらも、社会部記者と告発者の葛藤部分からドキュメンタリーのようなリアル感が伝わったのは先ほども話した通り、演技プラス原作のメッセージ性によるものだったと思います。

シム・ウンギョンの日本語は

アメリカ育ちの英語ネイティブという設定から、日本語が堅い部分もOK、全くの許容範囲内。

あれ以上の言葉の流暢さを求めていたら日本映画界ガラパゴス化しそうです。

日本アカデミー賞受賞後のインタビューでも流暢に答えられていました。おめでとう!

https://twitter.com/japanacademy/status/1235929375800848389?s=20

エンディング曲を

エンディングの曲は

OAU「Where have you gone」

カントリーの音色がヒューマンなドラマの余韻を残したのがこの曲でした。

味のある曲ですよね。

さいごに ネタバレあり

ラスト、無音の中、杉原が横断歩道の向こうにいる吉岡に向かってつぶやいた言葉は「ごめん」のようでした。

覚悟をしていたとしても、人生や家族を人質に取られた時にどういった選択をすればいいのか…。

良心と保身の狭間で引き裂かれんばかりの葛藤に苦しんだ杉原。

どちらを選んでも棘の道。

選択と後悔、無力さと背負いきれない罪悪感、

心が息絶えた末に出た言葉

誰もが杉原や神崎になりうる世界。

機能していない民主主義が現実に私たちの国だったとしたら?今見聞きする情報たちがこういった背景で動いているとしたら?

松阪君、ウンギョンちゃんをぜひ見てみて欲しい作品です。

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