他人は地獄だ 視聴感想 韓国ドラマ 

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他人は地獄だ

2019年、OCNのドラマチックシネマプロジェクト第二弾として放送された「他人は地獄だ」を見終わりました

本作もまた、最近とにかく増えている人気ウェブコミックが原作のドラマ。

前情報からホラー寄りの作品だということが分かっていたので見るのを正直迷っていました。

ですが、主演が除隊後初ドラマ出演となるイム・シワンであることと、ここ最近甘いキャラクターが続いていたイ・ドンウクのギャップ演技が見たいという気持ちに勝てませんでした。

結果、これは見てよかった…となってます。

今回も、どういったところがよかったと感じたのか、どんな魅力があったのかなど語っていきたいと思います。

ネタバレは後半以降となっています。

目次

作品情報

原作:ウェブ漫画 キム・ヨンキ「他人は地獄だ」 

放送

放送

2019年 韓国OCN 全10話ドラマチックシネマプロジェクト第2弾

プロジェクトシリーズ

第1弾トラップ(2018)
第2弾他人は地獄だ(2019)←今回ココ
第3弾番外捜査(2020)
第4弾サーチ(2020)
第5弾ダークホール(2021)

ドラマチックシネマプロジェクトとは

映画とドラマのフォーマットを融合させ、映画制作陣による鋭い演出とドラマの持つ密度の高いストーリー展開を取り入れることでより一歩進んだ作品を送り出そうという意欲が込められた企画です。

演出・脚本・キャスト

演出:イ・チャンヒ

短編映画:巣窟(2011) 第10回ミジャンセン短編映画祭アクション・スリラー部門最優秀作品賞受賞作
映画:死体が消えた夜(2018)

脚本:チョン・イド

君を守りたい~SAVE ME~(2017)
他人は地獄だ(2019)

キャスト

イム・シワン(ユン・ジョンウ)
イ・ドンウク(ソ・ムンジョ)
イ・ジョンウン(オム・ボクスン)
イ・ジュンオク(ホン・ナンボク)
パク・ジョンファン(ピョン・ドゥクジョン)
キム・ジウン(ミン・ジウン)
アン・ウンジン(ソ・ジョンファ)他

冒頭あらすじ

作家志望のジョンウは、家庭の事情もあり、学生時代の先輩の会社で働かせてもらうためソウルへと上京してきた。

初期資金もあまりなく給料も見習いのうちは少ないことから、陰気で古く狭小の激安部屋を「エデン考試院」で借りることにした。

だが、そこの住人達は薄気味悪く、ジョンウは恐怖を抱えて暮らすことになったのだった。

予告編

本国OCNの予告編がこちら。

予告編を見たら、怖い系が好きじゃない人は絶対見たくないってなりそうですね(汗)

この考試院に住んでいた人が失踪していたり、火事で放置されているはずの無人の上階から音がすることに不信を感じるジョンウ。

考試院がどこかおかしいと伝えても、彼女には気にしすぎだと言われてしまうんですよね。

他人は地獄だ 個性と魅力

とにもかくにもイム・シワン!

©CJ ENM Co.,Ltd All rights reserved.

このドラマが突出して良いと感じたのは役者の皆さんの演技

怪しくて不穏で恐ろしいキャラクターたちを演じた助演の皆さんも素晴らしかったのですが、それ以上に、彼らに翻弄されるジョンウ、イム・シワンの演技が目を引きました

ジョンウという人物の性質を最初から説得力のある立体的な人物像に設定していて、残虐で衝撃的なシーンのインパクトにかき消されなかったんですよね。

イ・チャンヒ監督の演出力

それもこれも、イ・チャンヒ監督による“自然な会話”を目指す演出が生きていたそうです。

「他人は地獄だ」の監督・キャストコメンタリースペシャル番組で語られていたお話を聞いてやっぱり演出だったか!と膝を叩きました。

実生活では、理路整然と会話する事はあまりないですよね。

本作では、言いよどんだり詰まったりといった即興感ある掛け合いを意識してリアリティーを演出されていました。

ジョンウ役のイム・シワンや大家さん役のイ・ジョンウンさんはこの部分が特に素晴らしかったです。

人生で一度は出会う不愉快な人たちの描写

本作に出てくるジョンウにとってしんどい人「殺人鬼」といった犯罪者と、犯罪者ではないけれど「不愉快な人」

実はリアルな世界ではこの「不愉快な人」が圧倒的に多く、ジョンウが考試院のことで追い詰められていく中、小さな小さな石つぶてを踏まされ続けて追い打ちをかけられているような描写となっていました。

これが職場だと本当にしんどいですよね。

そういった心理的な不穏感や圧迫感を伝えてくる脚本と映像、演技の数々も本作の特筆すべき個性だったと思います。

他人は地獄だ とは

映画監督による演出力が最大限に活かされたドラマ
イム・シワンの演技に目を奪われたサイコホラー

ハマリ度は

3.5

ドラマジャンルが好みドンピシャではないのでハマリ度自体は3.5くらいに落ち着きました。

ただ、私は演出や演技という面の魅力に引っ張られて最後まで興味深く面白く見ることができました。

今回の魅力だったというセリフや掛け合いのリアルさは生言語から得られる妙味ともいえるので、ぜひ本作をみられる方は、字幕を読みながら生音声のニュアンスを意識して見ていただけたらと思います。

エデン考試院の怪しく小汚いセットも見事だったと思います。美術さん!

ま、内容がグロ系のサイコホラーなので好みは別れると思います。(笑)

まずは、体調がよく、精神的に余裕のある時に視聴されることをお勧めします。

habbit

シワン君が「他人は地獄だ」について語ったインタビュー記事が興味深かったので良ければこちらも

ここからはネタバレがあります
ご注意ください

ネタバレあらすじ・感想

ジョンウが体験した他人地獄とは

上京する日、ジョンウがお母さんからかけられた言葉が印象的でした。

「他人には気を付けるのよ」

ジョンウの性格や気質をよくわかっていたお母さんからの、抽象的だけれど的確な思いのこもった言葉だったことが後々分かってきます

私が見ていて感じたジョンウにとっての他人地獄とは、他人から:

  • つらさが理解されない地獄
  • 否定される地獄
  • 見下される地獄
  • 誤解を正せない地獄
  • 肉体的な苦痛地獄

だったように思います。

もちろん、そのことによって、大切な人を助けられないかもしれない無力感地獄や、地獄からは抜け出せないと感じる諦念地獄などにつながっていました。

誰しもこんな状況に身を置けば、地獄から這い上がる方法を見つける気力を失うかもしれません

特に、就職させてくれた先輩や心の支えだった恋人ジウンとのすれ違いが、他人地獄への加速のきっかけとなったようでもありました。

ジョンウの本当の地獄とは

©CJ ENM Co.Ltd.,all rights reserved

最終話、ジョンウは極貧の母子家庭、子どものような兄の世話など、将来に夢を持てない閉塞感に地獄を感じていたと言います。

けれど、組織ぐるみの殺人集団の巣窟に足を踏み入れ逃れらない状況になったジョンウは、これが本当の地獄だと語ります。

ただ、ジョンウは体の拘束が解け自由の身になった後も、地獄に囚われてしまうことになりました。

結末:ジョンウが乗り越えたもの 乗り越えられなかったもの

悲しいかな、死ぬか殺すかという究極の選択以外の方法を失ったジョンウは倫理観を乗り越え生き残りました

つまり、ジョンウはムンジョを殺害して生き残り、状況的に正当防衛がちゃんと成立しそうです。

しかし、巡査ジョンファさんは入院中のジョンウに会って気づいてしまいました。

エデン考試院で見つかった住人たちを手にかけていたのがジョンウであった可能性に。

ムンジョから贈られた歯のブレスレット

ムンジョに装着させられた怪しい歯のブレスレットを外していないジョンウ

ムンジョはもうこの世にはいないけれど、ジョンウには、いつも近くでムンジョが自分を見ているという妄想からは逃れられなくなっています。

いつ、誰がムンジョに見えて襲い掛かってしまうのか、あるいは襲えと命令されていると錯覚して人を殺めてしまわないか…

ムンジョの呪いともいえる呪縛を乗り越えられなかったジョンウの今後には暗雲がたちこめていました。

他人は地獄だを彩ったサントラ曲

OCNらしく、ロック調のエンディング曲が使われていました。

その中で、最終話の余韻の中流れたこの曲がやっぱり一番印象に残りました。

The Rose「Strangers」

不穏で、どこか哀しくて、小さな叫びの連続のような曲ですよね。

劇中は歌入りの曲よりも、インストゥルメンタル曲が多く用意されていて世界観が際立ちました。

そのうちの一つが

チョン・スンヒョン コ・ヨンファ「考試院の秘密」

謎めいた印象を高めるオーケストラ曲となっています。

今回、サントラを探している途中に実感したのですが、本作はドラマチックシネマプロジェクトらしく、サントラには映画音楽のようなクオリティーのものが用意されていました。

ストーリーのインパクトが強くてあまりちゃんと音楽を聴いていなかったのですが、さらりと物語に溶け込みながら物語の色合いや世界観を作り上げていたんだなとしみじみ感じさせられました。

音楽がドラマの世界観の印象を際立たせるという、プロジェクトの意義が感じられる要素だったと感じます。

輸入盤ですが、サントラも発売されていました。

まとめ感想:他人は地獄だ考

先ほど「他人は地獄だ」には「不愉快な人たち」が登場したと言いました。

ジョンウの境遇や状況ゆえの”しんどい”感じが本当に醸し出されていて見ていてつらくなるほどだったのですが、そういう不愉快な人たちは例えばこんな人たちでした。

  • 親身になっている体でマウントを取ってくる人
  • 良く知り合ってもいないのに人間性を決めつけてくる人
  • 自分を棚に上げて一方的に嫉妬してくる人
  • 嫉妬心を埋めるためにパワハラで部下の時間を奪う人

まだまだあったかな…(苦笑)

一番の解決策は”一目散に逃げろ”、なんですが、もろもろの事情に心理的に縛られ、今よりも状況が良くなると信じられない場合は身動きが取れなくなってしまうんですよね。

ジョンウは考試院でのことがあり、しんどいことが一挙に押し寄せていただけに、あそこまでよく踏ん張ったと思います。

それにしても、 次第に追い詰められていくジョンウを助けてあげてよ!と何度も思いました。

優秀な巡査ジョンファさんの意見をいつも無視する無能な刑事さんにはほんとに憤懣やるかたなかったです

ま、でも、このドラマは体力的にも心理的にも余裕のある時に見た方がいい作品だと思います。

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