2019年韓国ケーブル局tvNで放送されたファンタジックホラーロマコメ「ホテルデルーナ」を見終わりました。
脚本はラブコメの大家ホン姉妹による最新作。
主演にはヒットの女神ともいえるIUと実力派ヨ・ジングがキャスティングされていて見るのを楽しみにしていました。
華やかな作り込みとドラマチックなストーリーで評判も上々だった本作、私も楽しみました。
どんなところが良かったかなど、今回も私の感じたところを語っていきたいと思います。
作品情報
放送
2019年 韓国tvN 全16話(1話1時間20分前後)
演出・脚本・キャスト
演出:オ・チュンファン
ドクターズ(2016)
あなたが眠っている間に(2017)
ホテルデルーナ(2019)
スタートアップ(2020)
共同演出:キム・ジョンヒョン
脚本:ホン・ジョンウン/ホン・ミラン
怪傑春香(2005)
マイガール(2006)
ファンタスティック・カップル(2007)
快刀!ホンギルドン(2008)
美男ですね(2009)
僕の彼女は九尾狐(2010)
最高の愛(2011)
主君の太陽(2013)
メンドロントット(2015)
花遊記 ファユギ(2017)
ホテルデルーナ(2019) 他
キャスト
IUイ・ジウン(チャン・マンウォル)
ヨ・ジング(ク・チャンソン)
シン・ジョングン(キムソンビ)
ペ・ヘソン(チェ・ソヒ)
ピョ・ジフンBlock.B P.O(チ・ヒョンジュン)
ソ・イスク(マゴ神)
カン・ミナ gugudan(キム・ユナ)
チョ・ヒョンチョル(サンチェス)
イ・ドヒョン(コ・チョンミョン)
イ・テソン(ヨヌ)
パク・ユナ(イ・ミラ)他
脚本はラブコメの大家ホン姉妹
ホン姉妹の作品タイトルを眺めると、
- 2000年代は人気だった軽快なラブコメ
- 2010年代はホラーテイストのファンタジックロマコメ
という風に、トレンドに合わせたコンセプトで私たちを楽しませてくれていることが分かります。
“ホテル・幽霊“というキーワードでは「主君の太陽」とつながり、スケールの大きな世界観とVFXを使った映像上の作り込みなどでは前作「ファユギ」を感じさせた本作は、ホン姉妹の描きたい世界をさらに作り上げてきた印象でした。
冒頭あらすじ
チャン・マンウォルは1300年間ホテルデルーナを運営してきた主。
ホテルの宿泊客はあの世に行く前にひと時休息を得る幽霊たち。
ある日、意識不明となり生死をさまよう男性の生霊が誤ってホテルデルーナに入ってきてしまった。
マンウォルと出くわした男性は、優秀だという息子チャンソンをいずれこのホテルに寄越すという約束をさせられ命は助けられた。
20年後、超エリートホテルマンとして韓国に戻ってきたチャンソンはこのホテルで働くことになるのだった。
ハイライト動画
ここでは、海外向けNetflixが挙げている日本語自動翻訳付きのハイライト動画をご紹介します。
致命的なネタバレなどはないので、予告編として見てみてもらえれば興味が更にわくと思います!
*ちなみに、日本向けNetflixでは本作は配信されていませんのでご注意ください。
個性的なホテルの様子、そして1300年という時間を生きてきたマンウォルに関わる遠い昔の因縁、前世など、ロマンスにホラーテイストまで絡めたファンタジックな物語であることが分かります。
ホテルデルーナの魅力と見どころ
ヒューマンドラマの色濃いエピソードの数々
登場人物の半分以上が幽霊たち。
このホテルで癒されあの世へと未練を残さずに旅立つお手伝いをするのがホテリアーたちの仕事。
それゆえに、切実な思いが込められた彼らの事情には生死が絡み、どのエピソードにも心を揺さぶられる人間ドラマがありました。
ファンタジックな世界観に引き込まれる
マンウォルが1300年もの間このホテルをやってきた、あるいはやらされてきた、その理由や原因などの事情がありました。
それに絡む登場人物たちの役割や存在などなど、全編を貫く大きなマンウォルのエピソードを軸に描いた世界観の大きさに引き込まれました。
特殊効果のクオリティーも高し
年々韓ドラ界で使われる特殊効果のレベルは上がり続け、本作ではその世界観や設定などを十分に表現できるほどの映像処理が活用されていました。
ドラマの世界が空間的に広がりを見せ、人には見えていないものを見せる演出もとても良かったです。
2年前の「ファユギ」ではCGが惜しい、なんて言っていたのが嘘のようです(笑)
IUが着こなすマンウォルのファンションを堪能!
マンウォルは同じ服を2度着ません(笑)
全編IUの魅力いっぱいのレトロ感を取り入れたファッションショーと言ってもいいほど素敵な衣装の数々。
芯が強くて意地っ張り、銭に目がないグルメさん。でも実は一途なマンウォルのキャラクターが分かる動画があったのでご紹介します。
タイトルはマンウォルの脳内地図(笑)
(*日本Netflixで本作は配信されていません)
ちょっと大げさに編集されていますが、いや、可愛いですよね。
ロマンスの美しさ
頭脳明晰、礼儀正しく思いやりが深く、上品な身のこなしと表情を持つチャンソン。
マンウォルの気難しさを軽々と飛び越えて近づいていくチャンソンと、そんなチャンソンに心を開いていくマンウォルの恋はとても素敵でした。
生きていないマンウォルと生者チャンソンという、二人の関係を阻む事情は生死という切なさが常に横たわり続けます。
だからこそ一体二人にはどういった結末が待っているのかとても気になるところでした。
ヨ・ジングの力量
どのキャスト陣も完璧に登場人物として演じられていて素晴らしい。
そのうえで、ヨ・ジングに感嘆しました。
1997年生まれのヨ・ジングは本作でまだ22才。
15才くらいから子役ではなく本人役を演じるようになっている実力派。
どのシーンでも、チャンソンがどんな気持ちなのか黙っていても伝わってくるんです。
演技スタイルはそれぞれなので、これが正解というものはもちろんないのですが、ヨ・ジングは演技・表情の一つ一つにすべて意味と感情を乗せてくるすごすぎる俳優さんだと改めて感じました。
もう二十代半ばから後半くらいのキャラクターも演じられそうなほど成熟した大人の雰囲気も出せる俳優さんです。
脚本家さんの主演への信頼感の高さ
本作の作家であるホン・ジョウン、ミラン姉妹のインタビュー記事が興味深かったのでご紹介します。
本作のコンセプトや撮影・キャスティングについてなどの興味深い裏話が詰まっていて読みどころが満載でした。
部分的にネタバレが混じってくるので、視聴後読んでいただくとより安心かと思います。
IUとヨ・ジングをキャスティングした理由や、キャスティングに成功した地点で50%はドラマの成功が約束された状態でスタートできたとまでおっしゃっています。
主演への信頼感の大きさがうかがえるコメントですよね。
ホテルデルーナとは
1300年続く死者のためのホテルで展開するヒューマンドラマ
主人公の過去と因縁を軸に描かれた壮大なファンタジックロマンス
ハマリ度
4.5
いや~面白くて、ハマりました!
そして、切なかったり感動したりして何度泣いたか…。
全16話でしたが、1話がおよそ1時間20分前後なので1話単位で見ていると毎回かなりのボリューム感でした。
劇中、主演・準主演クラスの俳優さんたちがあちこちで印象に残る特別出演をされているのを見るのも楽しかったですよ!
特別出演された俳優陣モーメント
カメオ出演の皆さんのシーンを集めた動画があったのでご紹介しますね。
見たことのある有名俳優さんたちが目白押しでした。
もうこのあたりはキャスト・スタッフの人脈祭状態でした (笑)
S2が期待できそうなラスト
先ほどのホン姉妹のインタビュー記事でも軽く言及されていたのですが、本作はラストで新たなストーリーの幕開けと受け取ることもできるエンディングとなっていました。
基本設定はそのままで別ストーリーで展開するS2は確かに可能。あれば本当に面白そうなのでぜひ見たいところです。
見どころが本当に多く、もっと見ていたかった本作、おススメです!
豪華だったOST
感想の前に、いい曲だらけだった本作のOSTの中から、私が好きだった曲をご紹介したいと思います。
MondayKiz、Punch「Another Day」
ホテルデルーナと言えばこれ、という印象でした。そして、次は
ポール・キム「アンニョン」
切なくて温かい、不思議な魅力のある曲です。
そしてもう一曲だけ、
GUMMY「Remember me」
韓国ドラマの根底に流れているのはこのテイスト!と感じさせるGUMMYさんの音色です。
このほか、テヨン、チョンハ、10cm、ベン、ヤン・ダイルなどなど、そうそうたる有名アーティスト陣がサントラに参加されています。
ぜひ聞いてみてくださいね!
このあと後半では本作のポイントとなったあらすじや結末、OSTやネタバレ感想などを語っていきます
ここからはネタバレがあります
ご注意ください
ネタバレあらすじ・結末
情報量の多いドラマだったので、ポイントごとにあらすじを追っていこうと思います。
あれはどうだったのかという、後半に分かってくる核心部分を中心にしてネタバレしていくつもりですので、未見の方はお気をつけください。
少し長くなりますので、必要ない方はOSTや感想まで飛ばしてもらえたらと思います。
マンウォルが死者の宿をすることになった理由
1300年前、マンウォルはその刀で多くの血を流した罪と現世に残した未練の大きさから、神によって「月の宿」と呼ばれる死者の宿をするよう定められてしまいました。
彼女のいる場所に宿の心臓である月齢樹がたち宿が出来上がる。
逃げようとしてもそこが宿になるという、マンウォルの言葉で「罰を受けている、縛り付けられている」状態ということでした。
時代と共にホテルの名前を変え、現在は「ホテルデルーナ」となっています。
マンウォルの罪と未練とは
1300年前高句麗だった時代、マンウォルは流民としてこの地に来て孤児となった子でした。
高句麗の民とならずに生きていたマンウォルと共に育ったヨヌの二人は、ひょんなことから高句麗の若き武将チョンミョンと友達に。
マンウォルとチョンミョンは互いに好意を持っていたのですが、チョンミョンを想っていたソンファ姫の逆賊狩りでマンウォル達はつかまり、ヨヌは絞首刑になってしまいました。
裏切ったのはチョンミョン。
ソンファとチョンミョンの婚礼の日、ソンファを殺害し、あとからやってきたチョンミョンもマンウォルの刃を受けて命を落としました。
復讐に狂ったマンウォルは城を焼き、多くの人々を殺害しています。
マンウォルは仲間や家族同然の愛する人を亡くした罪悪感と罪なき人々を手にかけた罪を一身に背負っていました。
マンウォルのホテルで癒されていく死者たち
死者がこのホテルで癒された満足度に合わせてあの世から送られるものの量が決まり、ホテルで必要なものが補えるシステム。
霊が見えるようにされてしまったチャンソンは、霊がこの世でやり残したことなどの未練を解決する手伝いをすることの喜びを知り、支配人としての業務に誠心誠意取り組みました。
命を奪われた方や子を奪われた方、名誉を傷つけられた方といったくやしさを抱えた方たちや、残された人の幸せのためにやりたかったことがあった方などさまざま。
中には現実的には罪に問えない事件のために怨霊化する悲しい霊を救うために神だけが裁ける方向へとマンウォルが運んだ件もありました。
死者の思いだからこそ純粋で切ない
先ほど、登場人物のほとんどが死者と言いました。
ヒューマンなエピソードを紡ぐのはほとんどが死者となった宿泊客たち。
すでに命を失ったという重大な前提があっての願いや思いゆえに純粋で、思い残すことが亡くなりあの世へと去っていく姿に切なさと喜ばしさが混じる様子に何度もうるうるさせてもらいました。
マンウォルのもとに1300年たってやってきた因縁
チャンソンが支配人となり、ホテルデルーナに無くてはならない人間従業員となりました。
ただ、チャンソンの学生時代の友人ミラは1300年前、マンウォルらの仲間を捕まえ処刑したソンファ姫の生まれ変わりでした。
また、宿泊客の事件で知り合った刑事はマンウォルの姉弟ともいえるヨヌの生まれ変わり。
1300年という時間の中で、いよいよマンウォルを縛り続けた心残りともいえる出来事と向き合う時が来ていました。
チャンソンとチョンミョン
マンウォルの1300年前の出来事を夢で見たチャンソンはもしかしたらチョンミョンの生まれ変わりなのかも知れないと思うこともありました。
ついにマンウォルの知らなかったいくつもの真実が明かされる時がやってきて、最後までチョンミョンはマンウォルを愛し守ろうとしていたことを知りました。
チョンミョンが息を引き取る直前マンウォルに語った言葉がありました。
「お前を心に抱き、休むことなき月となって見守り続ける」
チョンミョンは小さな蛍の姿の魂として1300年間ずっとマンウォルのそばで見守り続けていたのでした。
ロマンスの結末
チャンソンの助けもあり、心に抱き続けた未練や恨みは現世で生まれ変わったヨヌの幸せな姿やソンファ、チョンミョンの思いを知ったことで消し去ることができました。
マンウォルがホテルデルーナの役割から解放される時はあの世へと旅立つとき。
そしてそれはマンウォルとチャンソンの別れの時…。
悲しいけれど、それは喜ばしいこと。
互いの幸せを願って別れる二人の姿に胸が詰まりました。
二人は前世で出会った?
チャンソンとマンウォルは1300年前に出会っていました。
倒れていた息絶え絶えのマンウォルを生かしたマゴ神、そのあと、マンウォルを見つけ助けたのが前世のチャンソンでした。
感想
気合の入った作り込みのドラマ大好き派なんですが、本作も満足度の高いドラマでした!
設定の詳細さ、伏線の分量と構成、キャラクターの明るい魅力、ロマンスの甘さと切なさ、ドラマチックな運命のストーリーと盛りだくさんの見どころポイントがぎっしりと詰まったドラマでした。
ヒットの女神IUの出演するドラマは注目度も高く、またヨ・ジングは軽快さも泥臭さも出せ共演者の演技をさらに輝かせますよね。
童顔のIU(26才)と成熟した俳優ヨ・ジング(22才)。芸歴も長くベテランの二人の紡ぐファンタジックホラーロマンス最高でした。
あえてひとつ気になったとすれば…、チョンミョンのキャスティングかな~
イ・ドヒョン君全く悪くなかったですよ、ただ、とても重要でインパクトが欲しいキャラクターだったチョンミョンは主演・準主演クラスで悲哀ががっつり出せる童顔実力派のお兄さんクラスが欲しかった気がします。←私の好みの問題です。
キャスティング不発の話題が出たチェ・テジュン、もしかしたらこの役だったのかもしれませんね…(個人的な推測)。
エンディングをもう一度
ここまで読んでくださった方は視聴済ですかね?
ドラマのエンディングを振り返ってみると、ドラマ視聴後の余韻もひとしおです。
ラスト3分の動画があがっていたので余韻をもう一度味わいたくてご紹介します。
マンウォルが去ったあと、死者のホテルを運営する役割を受け持った人が新たにマゴ神によって選ばれ登場。
「歴代級のエンディング」と銘打たれた動画ですが、「太陽を抱く月」でヨ・ジング君と共に少年期・成人期を演じ、また「ドリーム・ハイ」「プロデューサー」でIUと共演した縁もあるあの方が特別出演していましたよね。↓あの方
一瞬の登場で存在感、カッコよさ満載、さすがでした~!