私のお気に入りドラマの一つに2014年にJtbcで放送された「密会」があります。
韓国での放送当時、ケーブルテレビ局Jtbcドラマ歴代視聴率を塗り替えた話題作だったのですが、日本での反応を見ると正直なところ好みが分かれるドラマというのが実感ではあります。
ただ、私はドハマりしました。
どういったところに魅力を感じたのか、2015年に視聴したときの感想を絡めながら今回も語っていきたいと思います。
一部動画も紹介したいと思いますが、あらすじ以外の詳細なネタバレはなしで語っていきます。
密会 作品情報

放送:
2014年 Jtbc 全16話
原案:
江國香織「東京タワー」
演出・脚本・キャスト
演出:アン・パンソク
I Love ヒョンジョン(2002)
白い巨塔(2007)
妻の資格(2012)
世界の終わり(2013)
密会(2014)
風の便りに聞きました(2015)
よくおごってくれる綺麗なお姉さん(2018)
ある春の夜に(2019)他
脚本:チョン・ソンジュ
弁護士たち~あなたに捧げる罪(2005)
妻の資格(2012)
密会(2014)
風の便りに聞きました(2015)他
キャスト
キム・ヒエ(オ・ヘウォン)
ユ・アイン(イ・ソンジェ)
パク・ヒョックォン(カン・ジュンヒョク)
キム・ヘジン(ハン・ソンスク)
キム・ヘウン(ソ・ヨヌ)
キム・ヨンゴン(ソ・ピルウォン)
キョン・スジョン(パク・タミ)
チェ・テファン(ソン・ジャンホ)他
独特の映像でリアリティを演出する監督
本作の演出をしたのは脚本の中のリアリティを引き出し、独特の映像手法で世界観を構築するアン・パンソク監督。
本作を含め、作品性を維持しつつ手堅く視聴率もとりつつ韓国で話題となるような作品を手掛けておられます。

冒頭あらすじ
ヘウォンはソハン芸術大学振興財団室長。
会長、会長の後妻であるハン理事と会長の娘ヨウンの三者の間で神経をすり減らしながらあらゆる実務をこなしていた。
家ではプライドが高く子どものようなピアノ科教授の夫との生活に孤独を感じていた。
ある日、夫から弟子にしたい青年の腕を確かめてほしいと頼まれた。
その青年は自分の才能を分かっていないバイク便の青年ソンジェだった。
へウォンはソンジェの演奏に心を奪われ、ソンジェは才能を認めてくれたへウォンを先生と慕うがそれ以上の思いを抱いてしまうのだった・・・。
予告編
すばらしい才能に出会った。
不器用だけどまっすぐな情熱を持つ大切な弟子。
ただソンジェと出会ったことで、かろうじてバランスを取っていた危うい毎日が揺らぐヘウォンの様子が感じられます。
密会の魅力と個性
クラッシックが演出する奥深い情感
全編通してクラッシック曲とピアノの調べがドラマチックに物語を彩り、音楽の世界や富裕層の浮世離れした雰囲気、さらには抗いがたい恋心に揺れるさまなどの奥深い情感を演出。
まるで懐かしいヨーロッパ映画を見ているような気持になる瞬間もあり、物語の世界に集中できる重要な要素でした。
才能の輝きと魂の解放 共鳴しあった二人
貧しい暮らしの中で、ソンジェはひとり親である母が働きに出ている間、前住人が残して行った古いピアノをおもちゃ代わりに弾いて育った。
そのソンジェがピアノの実力を評価され才能を見出された。
ソンジェの魂が求めていたものを見つけた瞬間の喜びと、その感動に打ち震えるえる姿に、私は初見時涙が止まりませんでした。
一方で社会的な成功者ではあれど、幸せとは程遠い過酷な人生を生きるヘウォンは、ソンジェの純粋で至高なピアノの音色に心が解放される喜びを知りました。
2人だけの間に流れる特別な感情。
共鳴しあった二人の生き方が一体どういう選択をしていくのか目が離せません。
第2話に、二人が連弾し一つになったある意味官能的ともいえるシーンがありました。
すべてはこの時に動き始めたと言っていい重要なシーンだったと思います。


超富裕層のリアルなスキャンダル描写
ヘウォンが財団トップを目指してお仕えていた財閥会長一族と財団が支援している芸大。
権力と金の集まるところに潜んでいた錬金術のシステム環境はスキャンダラスな不正の温床でした。
実は2016年に韓国女性初の大統領だったパク・クネ失脚の大きなきっかけともなった「チェ・スンシルゲート」と呼ばれる一大スキャンダルは、まるで本作が予言していたかのようなシンクロ率を示していたとして話題ともなりました。
ユ・アインの演技のすごさ
キム・ヒエさんが演じたヘウォンは忍耐強く聡明で言い訳をしない潔さをもち、音楽家肌で繊細な感受性も持つつややかな女性でした。
彼女の苦しみと喜びを最大限に引き出して見せたのがソンジェ役ユ・アインでした。
少年のような荒削りな情熱と大人の男のような揺るぎない安定感でへウォンを愛するソンジェを演じて見せ、しかも、繊細でまっすぐな透明さまで表現していました。
本作の作品性を高めたのは間違いなくユ・アインの演技によると思っています。
演技派ユ・アインが開花したドラマ
1986年生まれのユ・アインがデビューし当初活躍したのは少年役。
そして、日本コミックが原作の「アンティーク西洋骨董洋菓子店(2008)」の主演のひとりとして出演した映画がユ・アインの日本での知名度を上げた最初の作品だったと思います。


ブレイクしたのは大ヒットフュージョン時代劇ラブコメ「成均館スキャンダル」(2010)のコロ役。
そして演技派としての名を得たのが本作「密会」でした。
ここまでの演技ができる俳優だったのかと私も愕然としました。
当時のユ・アインのインタビュー記事を見つけたのですが、その中の役作りの仕方がとても印象的でした。


記事より一部抜粋:
彼(ソンジェ)は20歳であり、純粋で天使のような人物です。
台本をどうやって視聴者に伝えるかというよりも、キャラクターが形成される歩み、体の動き、習慣、服や髪のスタイルなど、年齢にかかわらず純粋で天使のような主人公を演じるために、細部に神経を使いました。
密会とは
本当の愛を教えてくれたのは20才年下の教え子
ピアノの音色が心に染みいる ひとつの愛の形
ハマり度
5!
ピアノの音色が終始物語を彩り、哀しく切なく激しく時に官能的に登場人物の心を際立たせて見せました。
2015年にみてから、昨年もう一度1話をみたら止まらなくて結局再視聴してしまったほど、私にとって人物設定や音楽、葛藤と脱却のストーリー要素がハマるドラマでした。
当時韓国で話題騒然となった理由の一つが“20才もの年下青年との不倫“というコンセプトでドラマが作られたということだったと思います。
もちろん、そこが本作のインパクトとなる部分ではあったとは思いますが、生き方を見つめなおす強さを得た二人の人間ドラマとして秀逸でした。
ネタバレあらすじはここでは割愛させていただきますが、旧ドラマほびっとの「密会」感想ページに私の渾身のネタバレあらすじレビューがありますので必要であればお寄りください(#^^#)
*スマホだと少し見づらいと思いますがご了承ください(。-人-。) ゴメンネ



