2019年イギリスBBC放送のピーキー・ブラインダーズ シーズン5を見終わりました!
1929年の世界大恐慌で幕を開けたシーズン5は、またまた当時のイギリスの時代感を網羅したエピソードが満載。
厳しい世界に身を置くトーマスの心理状態にもフォーカスさせながら危うい均衡の上を歩む姿をスリリングに描き出していました。
それでは、S5の見どころとなった部分など私の感じたところを語っていきたいと思います。
ネタバレあらすじ・感想は後半以降となります。
作品情報
放送:イギリス BBC
クリエイター・脚本:スティーブン・ナイト
シリーズ:ピーキー・ブラインダーズ
スティーブン・ナイトさんによると、シリーズはシーズン7で完結の予定があるそうです。
キャスト
キリアン・マーフィー(トーマス・シェルビー)
ポール・アンダーソン(アーサー・シェルビー)
ヘレン・マックロリー(ポリー・グレイ)
アナベル・ウォーリス(グレース・バージェス)
フィン・コール(マイケル・グレイ)
エイダン・ギレン(アラバマ・ゴールド)
シーズン5の時代背景
1929年、アメリカで起こった株式大暴落による世界恐慌で、イギリスの富裕層たちは大打撃を受けていました。
その後の政府の対応も含め、経済界で勢力を見せていたユダヤ人を疎むファシストの登場も見られ、時代は再びきな臭いムードを帯びていました。
S5冒頭あらすじ
株価暴落で、トーマスから任されていた資産をほぼ失ったマイケル。
ピーキー・ブラインダーズは安定してきていた事業とは別の裏稼業でまとまった現金収入を得るしかなかった。
そんな時、スコットランドを拠点として活動している反社会勢力ビリー・ボーイズがピーキー・ブラインダーズに宣戦布告してきたのだった。
予告編
ここで、Netflixの予告編をご紹介します。
今シーズンも激しいですね~
シーズン5の個性と見どころ
世界大恐慌が増やしたトーマスの苦悩
当時イギリスにもその影響は大きかった世界大恐慌。
当然、ピーキー・ブラインダーズでも多大な被害が出て、家族間にひびが入ってしまうきっかけともなりました。
トーマスに従おうとしない一部の家族の姿を見つつも、トーマスはファミリーを守り抜こうと気力を振り絞りながら道を探しました。
ファシストの登場
庶民院下院議員となっていたトーマスは、スコットランドの反社会勢力ビリー・ボーイズとつながっている有力議員オズワルド・モーズリーの接触を受けました。
モーズリーの口からイタリアのムッソリーニの名が出てくるなど、現代から見れば赤信号といえる第二次世界大戦の匂いが漂うきな臭い時代へと突入しました。
政府とも反社会勢力ともわたりあうトーマス
トーマスはシーズン4から引き続き共産主義組織の内偵・革命阻止という仕事をチャーチルから請け負った流れで、社会主義者の立場で議員をしています。
一方で、大恐慌で損害を出した分を賄うため、飛び込んできたアヘンを扱う中国人のグループと手を組み大儲けを画策するなどハードワークなトーマスの姿がありました。
ピーキー・ブラインダーズ シーズン5とは
世界大恐慌が発端となった家族の不協和音
政府・裏稼業の仕事、そして戦争の芽を摘む勝負に出たS5
ハマリ度
4
これまでも、トーマスの洞察力の鋭さや状況判断、作戦の構築力などが優れているのは明らかでしたが、今回は公人である政治家となっているがゆえの難しさがありました。
それでもなんとか立ち回りつつ、裏稼業でも儲けられる算段をしているという、マルチタスクな男トーマスの力量は相変わらずでした。
そんな、トーマスのようなできる人間が一人で諸々を背負ってしまう現状の辛さも描かれました。
いろいろと心配なところでシーズン6にお預けとなりましたが、続きを楽しみに待つことにします。
ピーキー・ブラインダーズシーズン5は今すぐNetflixで観られます。
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ここから後半はネタバレがあります
ご注意ください
ネタバレあらすじ・感想
ここからは、ストーリーのあらすじを私が感じたことを絡めながら追っていこうと思います。
北の勢力ビリー・ボーイズとモーズリー
トーマスに脅迫状を送り付け、アベラマ・ゴールドの息子を殺害したビリー・ボーイズ。
彼らは、議員オズワルド・モーズリーとつながっているスコットランド地方で活動するギャングでした。
ランカスター公領大臣、副財務大臣、首相の内閣顧問といった華々しい肩書があるモーズリーは、南を手中に収めているトーマスに接触してきました。
ビリー・ボーイズの挨拶は、自分もまた北を抑えているというモーズリーの挨拶でもあったようでした。
モーズリーの目的
モーズリーは、押し出しの良さ、カリスマのあるトーク力、邪魔ものを排除するならギャングも使う手腕で、南の表裏両勢力を抑えるトーマスを取り込み一気に自分の支持基盤を広げようとしていました。
大恐慌で不満がたまっている富裕層をあおり、経済で力を振るっていたユダヤ人を目の敵にして共感を集めていく。
彼が目的としていたのは新党立ちあげ、その名もイギリスファシスト党でした。
一気に稼げる裏稼業にも着手
中華系ギャングのブリリアント・チャンがトーマスらに接触。
彼らは今回7tものアヘンを売りさばけるルートを探していました。
ピーキー・ブラインダーズのシマを通る運河を利用して運搬し、トーマスらはそれをサンフランシスコに売りさばき大金をゲットするというものでした。
ついでに、トーマスは、ビリー・ボーイズとの抗争を一旦休戦させるため、このアヘンを彼らに一部横流ししもうけさせる提案をして成功しています。
ファミリー間の不協和音
アメリカでの株価暴落で大損を出したマイケル。
当初暴落を予測していたトーマスに売りの命令が出されたのを無視しての結果でした。
イギリスに帰国してきたマイケルの裏切りを疑うトーマス達。
結局はマイケルを許しアヘンビジネスを任せようとしたトーマスに対して、帰国の船上で結婚したアメリカ人ジーナとともにトーマスら幹部層に退陣勧告する始末。
そして、アーサーの妻リンダは積もり積もった不満がついに限界を迎え去ってしまいました。
トーマスの心の病
戦後のPTSDで苦しんでいたあのトーマスが、今は愛するグレースのような癒しと心の拠り所がない状況に今にも音を上げそうで気が気ではありませんでした。
トーマスは勲章を持った実業家・政治家という肩書を手にしているけれど、以前よりも家族を守れるようになり家族みんなが幸せになれたのかといえばそうとも言えない状況です。
“楽になりたい、グレースのもとに行きたい、死んでもいい…” そんな思いが常にトーマスにあることが見えている。
かといって、自分の座を誰かに奪われたくないという思いも強い。
夜間トーマスからの電話に今やだれもすぐに出なくなった危機感の低さから、一枚岩ではなくなったファミリーの様子に孤独感を強めていくトーマス。
結果、トーマスはまたすべてを一人で仕切り、政府から引き受けた仕事、ピーキー・ブラインダーズの仕事、議員としての仕事、そして自分のシマを狙うものたちとの戦いの中を前進することでもう一日を生き延びていく感じでした。
トーマスの信念と一大計画
モーズリーの語るファシズムに、「次なる戦争の芽を感じたのではないのか?」とチャーチル首相から直接称賛と同意ともいえる言葉をかけられたトーマス。
そもそもその理念に共感していないトーマスはビリー・ボーイズとモーズリーともども一気に潰せる作戦を考えていました。
イギリスファシスト党の結成の副党首を引き受けたトーマスは、新党結成講演中のモーズリーの暗殺計画を準備していました。
組織は内部から潰すトーマス。
計画失敗の謎
”演説中モーズリーは銃弾に倒れ、トーマスが党首として引き継ぐ”というシナリオを準備していたが狙撃手バーニーは殺害され実行に移されなかった。
なぜ計画が漏れ失敗したのか?
フィンがついサッカー賭博の仲間であるビリーに口を滑らせたことなど、可能性としては高そうなのですが、計画を知っていたものたちすべてに可能性がある状態でした。
アルスター義勇軍の気配
ビリー・ボーイズはスコットランドのギャング集団ですが、UVF=プロテスタントギャングとも呼ばれていました。
アイルランドでカトリックのIRAと対立するプロテスタントのテロ集団がアルスター義勇軍。
共産主義グループ内偵の政府担当者だったヤンガーさんがトーマスの事務所前で車に仕掛けられた爆弾で亡くなったり、アヘン集荷に向かったアーサーの行動が漏れて襲撃を受けたのもアルスター義勇軍に流れた情報がもとでした。
ビリー・ボーイズと関係があるのか、むしろ別組織なのか不明ながら、トーマス達は引き続き危険な状態ということになります。
さいごに
マイケルとの断絶、ポリーの辞職。
娘は生まれたけれど、リジーとは愛し合う夫婦ではないトーマス。
アーサーはついてきてくれていますが、ピーキー・ブラインダーズは以前のような強固な一枚岩ではなくなってしまっています。
今、トーマスの政治的な視点やリーダーとしての重圧をもっとも理解できるのはチャーチル首相なのかもしれません。
モーズリーの暗殺に失敗したトーマスは思い当たる勢力がなく混乱していましたが、お屋敷に戻ったラスト、「だれか分かった」とつぶやき受け入れたくない様子でした。
状況が大変化してきてしまったピーキー・ブラインダーズ、次シーズンでトーマスの心が軽くなればいいのになぁと願わずにはいられません。
その他のシーズンの感想は