Netflix韓国映画「サバハ」視聴感想

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サバハ

イ・ジョンジェ、パク・ジョンミン主演、2019年2月韓国で公開されたミステリースリラー映画「サバハ」が、Netflixで独占配信されました。

カルトと超自然現象とを絡めたミステリアスでオカルトなストーリーで、ずらりと揃われた実力派俳優さんがたの凄みも合わさって背筋がぞわりとする物語でした。

前半はネタバレなしで、後半では私の備忘録を兼ねた詳細なネタバレあらすじと感想を語っています。

目次

サバハ 作品情報

公開:2019年韓国

Svaha:The Sixth Finger 2時間3分

監督・脚本・キャスト

監督・脚本:チャン・ジェヒョン

12番目の助祭(2014)第15回全州国際映画祭短編部門監督賞受賞
プリースト 悪魔を葬る者(2015)
時間回廊の殺人(2017)他

キャスト

イ・ジョンジェ(パク・ウンジェ)
パク・ジョンミン(チョン・ナハン)
チョン・ドンファン(キム・ジェソク)
イ・デヴィッド(コ・ヨゼフ)
イ・ジェイン(イ・グムファ)
田中泯(チベット高僧)
チョン・ジニョン(ファン刑事)
ユ・ジテ 他

冒頭あらすじ

1999年、ある家に双子が生まれた。

胎内で妹の足に噛みついた姉は姿かたちの異形さから長くは生きられないだろうと言われ住民登録もされなかった。

そして16年。その姉は倉庫に閉じ込められたまま”それ”と呼ばれ生き続けていた。

牧師パク・ウンジェは、新興宗教の素性を調査し記事を書くライターでもある。

現在調査している鹿野園は健全な団体に思われたが、女子中学生の遺体遺棄事件の犯人が鹿野園とつながりがあるとわかり背後に何かがあると感じ近づくのだった。

予告編

日本語字幕付きの予告はNetflixにあります→ Netflix予告編

ここでは、本国公開時の予告編をご紹介します。

どこか禍々しく謎に満ちた物語であることが伝わってきます。

ポスターのコピーは

「それが生まれ、すべての事件が始まった」

物語があの双子の姉妹と関係が深いと感じさせますね。

「サバハ」の個性や見どころ

新興宗教を追う牧師ウンジェ

本作の主人公ウンジェは牧師。

勃興する新興宗教が怪しいものではないかどうか、素性を調査し記事にするライターをしています

彼自身、神を信じたい思いを抱えているからこそ、本物に出会いたいと心の底では思っているとも感じられます。

ただ、これまでほとんどのカルトが偽物だったということでもあります。

さまざまな宗教の気配に圧倒される

本作でウンジェたちが追うことになる新興宗教「鹿野園」は一見すると仏教系なのですが、物語全体を見進めていくとヒンズー教やキリスト教、発展して密教やチベット教、ついにはオ〇ム真理教などのモチーフまでちりばめられています。

オカルトな世界の陰に邪悪な気配が潜んでいる不穏な空気が醸し出され、見終わるときには”信じていたもの“の実態に圧倒されるほどでした。

殺人事件と鹿野園の関係の謎

ウンジェは鹿野園を調査しているうちに、女子中学生遺体遺棄事件との関連性を疑います。
本当に関係しているのか、しているならなぜなのか?

サスペンス色が強まりました。

双子の謎

1999年に生まれた双子の一人“それ”。

“それ”は一体何なのかも物語の伏線となっています。

「サバハ」とは

新興宗教の正体を暴いた牧師が見たものは
人々の心を利用する邪悪なものの姿

ハマり度

4

さまざまな謎がスピーディーに提示されていく形です。

意味深なものや理解できなかったものもいったん受け入れて最後まで見ていくといくつかの伏線がつながり、「そうだったのか」とわかる感じでした。

それでも、先ほど言ったように様々な宗教のモチーフが入り混じってくるので、あのモチーフがこういう意味があったと紐解いていくのも面白そうです。

そして本作はスーパーナチュラルな要素も加わっています

もしかしたらどこかで本当の啓示的なものを受け取っている人がいるかもと思わせる余韻も。

実力派ベテラン俳優の揃ったミステリアススリラー、興味のある方はぜひ見てみてくださいね!

▶︎Netflix「サバハ」

ここからはネタバレがあります
ご注意ください

ネタバレあらすじ

物語の伏線たちについては、お話してきた「新興宗教鹿野園」「女子中学生遺体遺棄事件」「16年前に生まれた双子」の三つのストーリーラインがありました。

私の備忘録も兼ねてあらすじの詳細を書いておこうと思います。

少し長くなるので必要のない方は飛ばしていただければと思います。

ウンジェが見つけた鹿野園の本部

女子中学生遺体遺棄事件の主犯が自殺し警察は事件捜査を終結させました。

しかし、その主犯が鹿野園と縁が深かったと知ったウンジェはその教義を深く探っていく中で、信仰する神を身を挺して守る四天王と呼ばれる神の存在に気づきました

韓国内に鹿野園の施設はある地点を中心にして東西南北に4つ。

中心となる寧越にある鹿野園の本部には、善行で有名だったキム・ジェソク教祖がいるのでした。

キム・ジェソクの正体を探って

キム・ジェソクはチベットの高僧と会って以降表舞台から消えたという事実を知ったウンジェは、おりしもクリスマス時期に韓国を訪れたその高僧に話を聞くことができました。

高僧によればジェソクは本物だったと言います。

教義通り当初は悪と戦う善の化身弥勒だったかもしれません。

ただ国をまたいで教義や解釈が変化する宗教において、日本で変化したチベット教のなかで語られる不死を得た可能性があるという話でした。

現在死亡の情報のないキム・ジェソクは116才。

高僧は当時、生誕100年目に生まれてくるある「蛇」によって死が訪れるという予言をジェソクにしたということでした。

経典に隠された意味と「蛇」

「蛇」が生まれると予言されていた年は1999年

事件の主犯だった鹿野園の男が手をかけたのが寧越で生まれた1999年の女の子だったと判明。生きていれば16才。

経典に書かれていた謎の数字たちはその少女たちの住民番号でした。

「蛇」を取り除くために、可能性のある少女たちすべてを消そうとしていたのでした

実行犯四天王の一人ナハン

鹿野園の各施設にはそれぞれ一人ずつ全部で4人の四天王と呼ばれるものたちがいたことが分かりました。

最後の四天王として生き残っていたナハンは、これまで手にかけてきた何十人もの女の子への罪悪感で苦しんでいましたが、自分にとって唯一の灯(ともしび)だった父のようなキム・ジェソクの語る世のために残酷な仕事を続けていました。

そしてついにたどり着いたのが、悪鬼と呼ばれ、すぐ命を落とすと言われて住民登録もされていなかった双子の姉“それ”でした。

信じていたものの正体

ナハンは”それ“と対面しました。

びっしりと生えていた体毛は全て落ちその時が来た“それ”は、ナハンが信じている父が本物であるならば指が6本あるはずだから確認するよう伝えました。

罪のない子どもたちを手にかけ続けてきたナハンは心のどこかに生まれた疑問をずっと抱き続けていたようで、”それ”の言葉を確認せざるを得ませんでした。

人々が教祖だと信じていたキム・ジェソクは替玉でした。

本物は30年間お世話してきたという助手の男。

死の予言がなされた瞬間からジェソクは自らが「蛇」に変わったことに気づいていたのかいなかったのか…。

結末

戻ってきたナハンから“それ”の話を聞き「蛇」だと確信した本物のジェソクは、用済みのナハンを撃ち“それ”を倒すために向かいました。

天敵を排除するためだけに罪なき少女たちを無差別に殺害する片棒を担がされていたナハン。

今となっては、邪悪な蛇だったジェソクを倒すことこそがナハンの使命に変わりました

不死のジェソクを倒すために“それ”から渡されていたのはライター。

ジェソクの車に乗り込みもみ合い横転した車から漏れ出ていた油に火をつけたナハン。その火はジェソクを倒しました。

同じとき、双子の妹の腕の中で“それ”も息絶えました。

感想

おいおい、邪悪なものが誕生した瞬間ってあの時じゃん

habbit

ジェソクが邪悪なものに変わった瞬間って、予言を聞いた時だよね

つまり、あの高僧は、目の前の男が肉体を超越した不死の存在としての本物認定をしただけで、自分の身を危うくする可能性のあるものを虐殺させ続ける邪悪な存在になることは読めてなかった

むしろ、高僧の予言が悪を生み、それが原因で「蛇」が生まれるしかなかった

高僧も所詮は人間、過ちも犯すだろうけど、やらかしたね。

でもでも、コロンブスの卵だけど、そもそも不死の存在となった摂理に反したジェソクは、消されるしかなかったということなのかも。

ナハンは、本物のジェソクを「自分の生にのみ執着した身勝手なやつ」と認定しました。

ジェソクに将来全人類を救うくらいの目標があったとしても、罪なき人を「念の為」虐殺するという方法を選び、救われたい青年たちの信心を利用して手を下させる正義というものはもう正義ではないでしょう。

信仰心を利用される恐怖

ナハンは少年院にいたころ、ジェソクに選ばれた少年でした。

自分を愛してくれる父と呼べる人がいて、誰かから必要とされていることを実感でき、それが大義であるという使命感はナハンの心に生きる意味を与えていた。

それは深い信仰心と結びつき、倫理に反する異常な任務に無理やり正当性を持たせるような心理的なすり替えに。

それはまさに洗脳。求めるもの、信じていたものを信じたいがゆえに目が覚めることがない状況。

何か心が削られるようなことを強いられた時、時間も体も物心はじめ何かを要求された時

そこには信者から何かを奪っていくテイカーの存在しかないことを肝に銘じるしかない

数々のカルトの匂いを盛り込み独特の余韻を残す

双子のエピソードは聖書に出てくる“ヤコブの兄弟“がモチーフになっているとか、本物のジェソクの風貌や生い立ちがオ〇ム真理教のあの教祖をイメージしているなどなど、あらゆる宗教や新興宗教の匂いを盛り込み、ぐいぐいと見せ切るミステリースリラーでした。

最終的にはスーパーナチュラルな展開がやってきた結末ではありましたが、その伏線の回収の仕方はある意味勧善懲悪という王道で、安堵感を感じつつも独特の余韻が後を引く物語でした。

主人公の牧師ウンジェを演じたイ・ジョンジェのラフでいて真面目、洒脱でいて影のある人物像がとても魅力的でした。

シリーズ化も検討中という話が韓国の記事にありましたが、もしそうなら宗教=人々の心が集まる場所ゆえにいろんなドラマ展開が可能でしょうね。

イ・ジョンジェ&Netflixといえば

世界的ヒットとなり、2022年エミー賞主演男優賞を獲得したドラマもぜひ

政治の世界で道を探す骨太社会派ドラマ

シーズン1には本作「サバハ」でのファン刑事役チョン・ジニョンなどが出演されています。

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