韓国ケーブル局OCNの2017年放送のクライムサスペンス「ボイス~112の奇跡」。
OCNは、韓国の地上波では放送できないグロいシーンも果敢に描く個性派な局。
本作は聴力が発達したある意味“能力者”である主人公を中心に描く猟奇殺人犯を追う犯罪捜査ものでした。
メインキャストはチャン・ヒョクとイ・ハナ。
それぞれ、やさぐれた刑事とボイスプロファイラー役でした。
「ボイス(シーズン1)~112の奇跡」の作品情報や魅力など、私が感じたところをじっくり語っていきたいと思います。
作品情報・スタッフ・キャスト
放送
2017年 韓国OCN 全16話
人気シリーズ化してきた本作は、2019年5月にイ・ジヌク イ・ハナ続投でシーズン3が放送されています。
ボイス ~112の奇跡~ | 2017年 全16話 ←今回ココ |
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ボイス2 | 2018年 全12話 |
ボイス3 | 2019年 全16話 |
演出:キム・ホンソン
シークレットルーム(2007)
チョン・ヤギョン(2010)
夜叉(2011)
武士ペク・ドンス(2011)
ライアーゲーム(2014)
交渉人~テロ対策特捜班(2016)
ボイス~112の奇跡~(2017)
ブラック(2017)
客ーザ・ゲストー(2018)
脚本:マ・ジンウォン
ボイス~112の奇跡~(2017)
ボイス2~112の奇跡~(2018)
ボイス3(2019)
キャスト
チャン・ヒョク(ム・ジニョク)
イ・ハナ(カン・グォンジュ)
イェソン(オ・ヒョンホ)
ソン・ウンソ(パク・ウンス)
ペク・ソンヒョン(シム・デシク)
キム・ジェウク(モ・テグ)
物語を支える主人公グォンジュ
「ボイス」の芯となる人物が112コールセンターのセンター長となるカン・グォンジュ。
並外れた聴力を持つグォンジュが、それを補うプロファイリング技術などのスキルをアメリカで身に着けて戻ってきたことでコールセンターが受け持つ初動捜査のメリットを最大限に活かせるようになります。
何よりも、瞬間瞬間の感情に振り回されず可能な限り理性的に物事をとらえようとするグォンジュの姿勢が、やがてもう一人の主人公ジニョクとの信頼関係を築くことにもなりました。
有能なサブキャラクターたち
本作では実力を生かしてさらりとジニョクたちを支えてくれるメンバーたちがいました。
ジニョクを兄貴と慕う後輩刑事デシク、グォンジュ率いるコールセンターの優秀なホワイトハッカーのオ・ヒョンホ、5か国語堪能なパク・ウンス。
それぞれ適材適所ともいえる人物を左から順に、ペク・ソンヒョン、イェソンそしてソン・ウンソが演じていました。
とはいえ、全能ではない彼ら。まさかの展開も含めてジニョクの足を引っ張ることもありましたが…。
あらすじ
凶悪犯罪を扱う強力課刑事ム・ジニョクは妻を惨殺され、容疑者が逮捕された。
しかしジニョクの妻からの112番(日本の110番)通報を受け取ったコールセンターのカン・グォンジュが被告の声は犯人とは違うと裁判で証言したことから男は証拠不十分で釈放となった。
真犯人が見つかることなく過ぎた3年間、ジニョクは釈放された容疑者を捕まえようと執念で生きてきた。
そんなジニョクに、通報で即座に出動する現場チーム担当の辞令が出た。
コールセンター長はアメリカから戻ったグォンジュ。
ジニョクは裁判のことを恨み反発するのだが、やがてグォンジュの実力を知り協力するようになっていくのだった・・・。
予告編
ここでDVD発売元Cinem@rtさん の予告編をご覧ください。
通報から逮捕につながる率が高い時間“ゴールデンタイム”。
この時間内に一人でも多くの被害者を助けようと奮闘する主人公たちの姿がよくわかる予告編となっています。
本作に出てくるグロいシーンはさすがに予告編では割愛されていますね。当然か。
映画クラスのグロシーン満載
以前に見た「バッドガイズ」もそうだったのですが、極悪犯罪者や猟奇殺人犯などを捕まえていく過程で見るのがちょっとつらい残酷なシーンが出てきます。
怖いのですが、そういう犯人を相手にしているという意味で、やはり必要なシーンと言ってもいいと思います。
ただ苦手な方はご注意ください。
相棒となっていく主人公たち
家族を惨殺された主人公たちは真犯人を捕まえることに全精力を注ぎます。
グォンジュはアメリカに渡り、聴力が異常に発達した耳を活かすためにボイスプロファイラーとして学び、ジニョクは命をかけているのではというほど一途に犯人逮捕に執念を燃やしていました。
2人の嘘偽りのないパートナーシップが築かれていく様子が実に良かったです。
社会の裏側に消えゆく無念の事件もあるかもと…
真犯人のエピソード以外にもジニョクたちがその熱意で解決させた事件がいくつかありました。
どれも実際にあるんじゃないかと思わせるような社会の闇を描いたようなエピソードたち。
けれど、グォンジュ達がいたから助かったのでは?という事件もあって、そうでなかったら人知れず無念の中で死んでいく人もいるのでは、と空恐ろしくなってしまいます。
恐ろしいシリアルキラー
本作の殺人鬼は背筋が凍る怖さでした。
物語の当初から、真犯人は決して捕まらないことを確信し、自信満々で愉快犯的に殺人を繰り返していたふしがありました。
物語はいくつか通報のあった事件を描きつつ、ミスリードされつつ徐々に真相に迫っていくのですが、真犯人は何か大きな権力によって守られていました。
この役を本国放送時、その表現力を評価され“優雅な殺人鬼”ともいえる独自の存在感を確立した俳優さんが演じました。
この俳優さんについてはのちほどネタバレ感想で語りたいと思います。
ボイス シーズン1 とは
尻尾を掴ませない残虐な殺人鬼を追う2人の執念の警官
残酷な殺人シーンも映像にした気迫のドラマ
ハマり度
4
スピード感、緊迫感のある滑り出しでひきつけられました。
通報があった被害者を助けることと、因縁の犯人逮捕に向けて揺るがない信念を貫く二人の刑事の信頼関係も良かったです。
ただ残酷なシーンが多いので苦手な方はご注意くださいね。
ここからはネタバレがあります
ご注意ください
ネタバレあらすじ・感想
共通した思いを持つ相棒の絆
当初ジニョクはグォンジュの証言で釈放された容疑者を真犯人だと信じていたためにグォンジュを目の仇にしてたのですが、実はグォンジュもまた警官だった父親を死なせた犯人を捜していました。
グォンジュが聞いたジニョクの奥さんの112通報時の犯人の声とお父さんが亡くなったときに聞いた犯人の声は同じ。
つまり二人が追っている殺人犯は同じでした。
ジニョクの奥さんの事件から3年後、アメリカから戻って112コールセンター長となったグォンジュがまずしたこと、それはゴールデンタイム緊急出動班のチーム長にジニョクを抜擢することでした。
決して信念が揺るがない当事者ジニョクとともに因縁の殺人犯を捕まえるという共通の目的に向かっての第一歩でした。
キム・ジェウクの再発見
流通業の雄ともいえるソンウン通運にたどり着いたジニョクとグォンジュ。
政治家や司法関係者すら抱きこんでいた会長の築き上げた城壁は瓦解し、真犯人だった息子テグがその姿を現しました。
本作で再評価されたキム・ジェウク。
スラリとした高身長のイケメンぶりを活かして富裕層の優雅さを表現しつつ、殺人に楽しみとアイデンティティーを求めているという異常犯を巧みに演じ、まさに優雅な殺人鬼ともいえました。
本作の一番の見どころはキム・ジェウク自身だったと私は思っています。
これまでも雰囲気のある俳優さんであることは分かっていました。
けれど本作のテグという役を演じたことによって、彼の持つルックスから表現できる独特の危うさや妖艶さスマートさや優雅さなど引出しの組み合わせ方が見えたのではと感じました。
今現在、私が選ぶ「ぶっ飛んだ(誉め言葉)御曹司キャラベスト3」に入るテグ。
ちなみに他の2名は
- 映画「ベテラン」のテオ(ユ・アイン)
- ドラマ「リメンバー」のナム・ギュマン(ナムグン・ミン)となってます!
韓国ドラマに出てくる“いかれた”キャラクターを演じる俳優さんの演技はサイコパスタイプや粗暴タイプであってもリアリティーを追及していて良いですね。
本作のあと演じられた「愛の温度」のジョンウ役はキム・ジェウクの独特の表現力が生きた良い作品でした。(犯罪者役ではないですよ念のため。)
テグが抱えていた病と物語の結末
モ・テグが殺人鬼となったきっかけともいえる出来事も描かれました。
暴力で地位を築いてきた会長がある日別荘の地下でライバル企業の社長を殺害する現場をみてしまった奥さんと息子テグ。
奥さんはうつを悪化させて自殺し、一連の出来事からテグは境界性パーソナリティ障害を悪化させ殺人鬼への道をまっしぐらとなりました。
完治できる治療法がないと言われ外聞も気にして病院に入れることを躊躇した会長は、テグが犯す殺人を隠蔽し続ける道を選びました。
すべてが明るみになって、自分を責めた会長は自殺。
ついに病院に収容されたテグでしたが、病院で殺害されてしまいます。
この物語では、恐ろしくも担当医が殺人鬼だったというオチが用意されていました。
さいごに
孤独な戦いの中を諦めずに歩み続けたグォンジュやジニョク。
そんな彼らの姿を象徴するような曲 キム・ユナ「ボイス」をご紹介したいと思います。
シーズン1はシリアルキラーを追う刑事たちの物語としてとても良くできたドラマでしたよ。
本作は人気シリーズとなり2019年7月地点でシーズン3まであります。
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