2016年中国制作配信され、数年経った今でも根強いファンを持つBLドラマの一つとして有名な「不可抗力」。
主人公を演じるお二人の俳優さんがたの品を感じるビジュアルと演技、人物たちの関係性や、題名どおり、本人たちにはどうすることもできない焼けつくような葛藤に惹きつけられる物語でした。
今回も、私の感じた魅力を語っていきたいと思います。
ただ、本作は2種類のエンディングが存在するドラマだったため、そのことに触れます。
詳しい内容は後半のネタバレでバラさせてもらおうと思います。
もくじ
作品情報
制作・原作
2016年 中国
原作:ラン・リン(藍淋)
公式サイト
▶︎公式サイト「不可抗力」
演出・脚本・キャスト
演出:スン・チェンジー(孫承志)
脚本:フーモン(胡夢)
キャスト
モン・ルイ孟瑞(シエ・イエン)
ワン・ボーウェン王博文(シュー・ニエン)
ホー・ヤーモン(ジャン・ヤオ)
ジョウ・ジュンチャオ(クー・ルオ)
リー・ナ(シア・ジュン) 他
冒頭あらすじ
孤児院で暮らす幼いニエンは、兄弟代わりの子どもを求めていた財閥の御曹司イエンに選ばれ、引き取られた。
主従関係として寝食を共にしてきたイエンとニエン。
20年強、ニエンはイエンをただ密かに思い続けていた。
6年のイギリス勤務から戻ったイエンは美人の恋人ヤオを連れていたが、ヤオはイエンがニエンを愛していることを知ってしまうのだった。
予告編
少し扇情的で興味をかき立てるテロップがつけられていますが、私の印象では、答えの出せないあいまいな関係に葛藤する二人を着実に描いていくドラマでした。
ドラマ「不可抗力」が描いたもの
ただ抱き続けたニエンの静かな愛
ニエンは、立場的にも状況的にもイエンに対して抱いている愛が成就する可能性はゼロであると考え彼を密かに思い続けていました。
思うことを止めることはできない、ただどうしようもない思いでした。
イエンの態度に一喜一憂することはせず、ただただ自分の立場をわきまえながら静かに愛し続ける。
ニエンの愛し方は、イエンのためにならないことはしない、それだけでした。
まさか、体が反応してしまうようなシチュエーションにさえならなければニエンはその思いをイエンから隠し通せたかもしれませんでした。
愛を知ったイエンが固める覚悟までの壮絶なプロセス
近すぎて、親しすぎて気づかなかったニエンに対する感情が愛だとイエンが知ったのは、ニエンが自分に対して性的な意味を含む好意を持っていると気づいたときからでした。
ニエンに抱いていた感情に怖れをなし、ニエンを遠ざけたりしてみても、消えないニエンへの思いを痛いほど確信していくことになります。
壮絶ともいえるプロセスを経てたった一つの結論にたどり着くしかないイエンの葛藤が、演じたモン・ルイから伝わってきました。
2種類のエンディング
VODサービス(RakutenTV)で配信されているのはサッドエンディングバージョンでした。
日本で発売されているBlu-rayにはハッピーエンド(HE)バージョンも特典映像として収録されているそうです。
私は両方を見てみました。
詳細は後半のあらすじ・感想のところでネタバレしてしまうつもりですが、私はドラマとしてハッピーエンドバージョンの方を評価します。
おそらく、ハピエン版があったうえで、サッドバージョンを後から用意したような印象を受けました。
ドラマ「不可抗力」とは
静かに抱く愛と抗う愛
どうやっても思い知ってしまう止められない愛
ハマリ度は
サッドエンディングバージョンは 3
ハッピーエンディングバージョンは 3.5
近しい関係でありながらも主・従という立場の違いを常に感じさせる長年のふたりの関係性を見せてくれたモン・ルイとワン・ボーウェン。
その関係が終始貫かれていてそこがまた切なくて…。
配信サイトで見られるのがサッドエンドバージョンというのが私としてはもったいないと思わざるを得ません。
ドラマの仕上がり的にはどう見てもハピエンバージョンの方が良いと思うのですが。
何か事情があるのでしょうね。
どういったところが良かったのかはこの後のネタバレあらすじでちょっと語りたいと思います
悲しくて切なくて美しい。
そしてモン・ルイの演技とワン・ボーウェンの控え目だけれど強いニエンをぜひ見てみて欲しいです。
視聴方法(2023.10.2現在)
①VODで今すぐ
主なVODサービスのうち、例えば下記のサイトでは会員見放題配信となっています
▶︎U-NEXT
▶︎RakutenTVアジドラプレミアム
*2023.10.2現在の情報となります。最新情報はU-NEXTサイトにてご確認ください。
②DVDで見る
Blu-rayには特典映像としてハッピーエンドバージョンや未公開映像を含むメイキングが収録されているそうです!
ポチップ
ネタバレあらすじ・感想
自分の感情に抗ったイエン
ニエンを自分も求めていると気づいてから、イエンは彼を海外に留学させて物理的に距離を置こうとするなど抗いました。
けれど、相愛だと知ってしまった以上イエンにはニエンのいない生活はもう無理でした。
ただ、イエンの態度が明らかになればなるほどニエンはそばにいられなくなってしまうジレンマに陥るしかなくなっていきました。
ひと時支え合った義兄弟
大財閥クー家の養子として育った自分と同じ孤児院出身の若いルオを偶然に助けた縁で、ニエンは彼と兄弟のようにひと時暮らしました。
ルオに思われていたと知ったニエンでしたが、彼の将来を応援する温かい言葉をかけて留学への背中を押しています。
まさか全体の2割になるというクー家の株をルオがニエンに渡して旅立つとは予想外でしたが。
引き裂かれることになる誤解とニエンの立場の弱さ
紆余曲折があったとしても、イエンとニエンは出会うことになる。
そして、やはり離れられないと確認する…。
ふたりにとっては渡りに船ともいえる、レズビアンの令嬢ジュンとイエンの縁談話が持ち上がります。
ジュンがこの縁談の本当の意味を告げにニエンに会いに行ったのですが、タイミング悪く具合が悪くなり病院に運ばれることになってしまいます。
何か毒を盛られていたことが分かり、ニエンが疑われて去ることに。
3か月後、ジュンは二エンに会う前に喫茶店で会った異常者に毒を盛られていたことが判明するも時すでに遅し。
ニエンが戻ってくることはありませんでした。
2種類のエンディングがこれ
サッドエンディング
3か月以上探しあぐねたイエンは、ニエンが事故に遭いこの世を去った連絡を受けます。
さがし続けるイエンを避けるために日雇い労働で着の身着のままの暮らしののちに交通事故に遭ったということでした。
悲しみに茫然とするイエンの悲しみが突き刺さる胸が締め付けられるエンディングでした。
ハッピーエンディング
3年後イエンは、留学から戻り財閥グループの株主として大手を振って歩くク・ルオに出会います。
2割もの巨額の株をニエンから返してもらったというルオに、それが送られてきたという住所をもらったイエン。
彼をよく知るイエンでないと見つけられなかったニエンは、大事故で負った怪我がもとで不自由な体で働いていました。
どんな出来事があっても、ニエンを一生守り抜くつもりの、迷いのない決意しかイエンの表情には浮かんでいませんでした。
サッド版よりハピエンの方を評価するわけ
サッドエンディングバージョンは、ラストをイエンの執事さんがナレーションで締めていく形式になっていいました。
それが説明過多、冗長すぎて余韻が得られず、強引な印象を受けました。
一方のハピエンバージョンでは劇中の伏線だった株券のエピソードが回収され、大団円のエンディングという演出もあったことから、もともとはハピエンバージョンこそがメインストーリーだったんじゃないかと感じてしまいました。
🎞ハピエンバージョンは私、こちらにお世話になりました
ボーウェン君が歌うOST
OSTはやはり主演俳優さんが歌われていたパターンでした
王博文「夢」
ワン・ボーウェン君は歌手なんですよね~。
BLドラマの主演俳優さん方は歌のうまい方が本当に多いですね!
さいごに
ドラマについてあれこれと言いましたが、これぞ胸が締め付けられる切ないBLドラマでした。
ジュンに毒を盛ったのがニエンでなかったことが分かった朝の、
「もうニエンは戻ってこない、どうすればいい」
と、憔悴とあきらめ、悲しさとやり場のない空虚感を込めた言葉を母親に吐き出したイエンを演じたモン・ルイにはずっと拍手を送っています。
お似合いのふたりでしたが、こちらも一緒にお仕事をされる姿はなかなか見られなさそうですね。
中国ですよね。
❤️ドラマへの熱い思いを良ければここで✨