タイBLドラマ「Together With Me」の主演としてドラマのクオリティーを引き上げたMaxとTulが、2020年11月に新たなサスペンスクライムBLドラマ「Manner Of Death」に出演されることが決定しています。
この「Manner Of Death」の演出を手掛けれられるのが本作「ミウの歌~Love of Siam」のチューキアット・サックウィーラクン監督ということが分かりました。
監督の出世作であり代表作ともいえる、およそ3時間近くに及ぶ2007年の大ヒット映画である本作について、この機会に語りたいなと思います。
今回は、現在日本で見られるVODサービスなどもないため、ネタバレしながら語っていきます。
望まれない方はご注意ください。
作品情報
制作・本編
2007年タイ 約2時間50分
監督・脚本・キャスト
監督・脚本:Ma-deaw Chookiat Sakveerakul
レベル・サーティーン(2006)
The Love of Siam(2007)演出・脚本
Chocolate(2008)脚本
SisterS(2019)他十数作品
Grean Fictions(2013)監督・脚本
Transistor Love Story(2018)監督
Dew the Movie(2019)監督・脚本
ドラマ:Manner Of Death(2020) 他
キャスト
Mario Maurer(Tong)
Pitch Witwisit Hiranyawongkul(Mew)
Nok Sinjai Plengpanich(Tong母)
Kob Songsit Rungnopakunsi(Tong父)
Ploy Laila Boonyasak(June/Tang二役) 他
UWMAにも出演されていたベテラン俳優陣
2020年の秀作BLドラマ「Until We Meet Again」で、Deanの両親役だったベテラン俳優さん方が、本作でTongの両親役で出演されています。
Love of Siamから13年経って、BLドラマで夫婦役をされているということに感慨が深いです。
UWMAでは息子の愛を応援する両親役でしたしね。
https://hobbitholy.com/bl/uwma/冒頭あらすじ
Mewは両親の事情で、祖母の家で暮らしていた。
学校でのトラブルがきっかけで、Mewはお向かいのTongと大親友となりいつも一緒にいた。
ある時、休暇先で現地に残って友だちとハイキングに行ったTongの姉Tangが行方不明となり、状況が変化したTongの家族は引っ越していくことになった。
それから数年後、高校生となっていたMewとTongはSiamで再会した。
予告編
幼少期の出会いから少年期へ。
家族の物語であり、少年たちの恋と迷いの物語であることがわかりますね。
音楽が彩りを高めてもいます。
ミウの歌~Love of Siam 個性と描いたもの
Love of Siam想定以上の大ヒット作
同性の恋や愛に対する目が厳しかった2007年に、同性の少年たちの恋をメインエピソードの一つとして描くにあたり、本作は新人君たちを起用するなど限られた予算で制作された映画でした。
監督自ら作詞作曲されたという、主人公のMewのバンドが歌う劇中歌のヒットも相まって映画は予想外の大ヒットとなり、海外の映画祭にも招待・受賞されるなど評価されました。
家族を失う痛みと癒し
物語のもう一つの柱となっていたのは、Tongの姉の遭難失踪による家族の哀しみの深さを描くエピソード。
後悔・自責の念に苛まれアル中から病気になった父親と、残った家族を守り抜くために強くより強くあろうとした母親の姿。
生存を信じたいかすかな希望を捨てられず、喪失に対する痛みが家族の中に常にある。
言うなれば、ドン底の状態でした。
そこに、家族の行き詰った心に日を差し込むような出会いと出来事が訪れるんです。
夜明け前の最も暗い時間から夜が明けるような印象のエピソードで、”必ず状況が変化する時は来る、夜は明けると”語っているようでした。
少年から青年期への過渡期に直面するアイデンティティ
「自分は何なのか?」
ガールフレンドよりも、MewだったTong。
Tongと再会してから、ラブソングが湧き出るように書けるようになったMew。
TongとMewは互いへの思いが友だち以上のものであると気づきます。
ただ、まだ友情の延長線上にあった二人の幸せに対する、大人の予想外の大きな反応に戸惑います。
過ちではないけれど、許されないんだなと受け取った若き彼らの下した決断。
それが、「恋人にはなれないけど、愛していないわけじゃない」というTongのMewへの言葉でした。
ミウの歌~Love of Siamとは
家族への愛と同性の少年たちの初恋
愛に差はなくどうその愛を守り抜くか
普遍的な物語の中で紡がれた夜明け前
ハマリ度は
4
愛に違いはない
家族への愛、大切な人への愛も
愛に変わりはなく、そこには愛の対象への垣根など何もない。
Tongの言葉に、笑顔で手をふっていたMew。
ふたりが、引き裂かれることなく、いつでも共に笑い合え心でお互いを大切に思っている、愛している、と伝えあうことはできる。
…その選択の切なさはもちろんあります。
ただ、この瞬間での最適解を導いたふたりの将来の幸せを期待できる一つのハッピーエンドだったと私は受け取りました。
人生はまだつづき、状況は刻々と変化していく。
夜明け前が最も暗く、変化しないものはない。
今出せない答えを先送りにするのも勇気。
いつか何かが変わる可能性は必ずあると私は信じられました。
OST MVを
Mv. กันและกัน – Ost. รักแห่งสยาม
MV. ขอบคุณกันและกัน
さいごに
この家族愛と同性の初恋という二つのエピソードをリンクさせながら描いた脚本は本当に素晴らしかったです。
それを映像化させた監督さん方も。
本作の脚本・監督Chookiat Sakveerakulさんが、MaxTul主演のクライムサスペンスBLドラマを演出されるということは、「Manner Of Death」が本格的な作品となる予感しかせず期待値爆上がりです。
監督の最新作映画でOhm君が助演男優賞を受賞した「Dew the Movie」もまた感想を上げたいと思います。