映画「Love Of Siam」ドラマ「Manner Of Death」の監督がエクゼクティブプロデューサーに名を連ねられているウェブドラマ「Self The Series」。
1話20分ほどと短く、YouTubeで配信されている全6話の本作は日本からも視聴できることもあり、日本語字幕をNekoCapでつけながら私も視聴しました。
ある事件が発端となったミステリー風ヒューマンBL 。
ミュージシャンを目指している高校生のTangは、ある時から鏡に自分の姿が映らなくなった代わりに、トラブルを抱えている少年の姿が見える ようになります。
その少年は別の高校の1年生Neo。
TangとNeoは不思議な出会い方をすることになります。
どんなドラマだったのか、視聴方法や作品情報とともに、私が感じた本作の魅力と個性などを語っていきたいと思います。
もくじ
作品情報
©︎Studio Commuan
2022年タイ Studio Commuan 全6話
プロデューサー・演出・脚本
エグゼクティブプロデューサー:Ma-Dew Chookiat Sakveerakul
監督・脚本作:
Love Of Siam
Dew The Movie
Manner Of Death
triage
Ma-Dewプロデューサーは、同性の高校生の恋のエピソードを描いた映画「Love Of Siam」で挿入歌とともにタイで大ヒットを記録した記念すべき作品の監督・脚本・作曲をされた方。
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2020年には、本格サスペンスクライムBLドラマ「Manner Of Death」を演出された監督としても有名です
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その監督が本作「Self The Series」のエグゼクティブプロデューサー として名を連ねておられます。
演出・脚本
そして、演出・脚本をされたのがこのお二方。
Tu Aussada Likitboonma
Triage(2022) アシスタントディレクター Self The Series(2022)演出・脚本
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Sorawit Meungkeaw
Slam Dance(2017)脚本 Dead Time Story2 City Of Moon(2018)脚本 映画:Dew The Movie(2019)脚本 映画:My Tempo(2022)監督 Self The Series(2022)演出・脚本 映画:The Cheese Sisters(2022)監督
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キャスト
©︎Studio Commuan
Zen Burapa Thakulchunwirat(Tang) Triton Teeradet Rungrueang(Neo)
Tang役のZenくん
TV Thunderの「Triage」で主人公Tolの大学の友人役をされていました。
チャラくて狡くて狭量で…というキャラクター。
本作「Self」の冒頭話あたりのTangも、ちょっと狭量な感じが似ていました😆
でも、それが人間関係がちょと下手な高校生Tangのリアル感にもつながっています。
Tangの友人 バンド仲間 May&NamMai
Yok Phakaphon Boonchai(May) Ping Pinpana Saengboon(NamMai)
ミュージシャンを目指すTangの相棒であり応援してくれる友人たち。
気難しかったり、嫉妬からマウントしたりする自己中なところのあるTangのありがたい友人たち 😊
NamMai役のPingちゃんは、CGM48のメンバーだという情報もありました。
人気者の先輩P’Fei
Ufa Nattawat Tunkaew(Fei先輩)
Neoの陸上部の先輩Fei。
生徒会長でもある高校内で人気の先輩は、転校生のNeoと親しくしてくれた友人のような人。
けれど、ある事情でNeoとうまくいかなくなるんです…。
P’Feiを演じるのはUfa君。OhmFlukeの「Oh My Sunshine Night」にも出演されていると。(そろそろ見よかな)
冒頭あらすじ
念願だったレコード会社のオーディションを受けることになったTangは、ソロアーティストの夢が叶うことに浮かれていた。
ただ、完璧とは言えず、担当の人からアイコンタクトを練習しろと言われたTangは家で鏡に向かった。
だが自分の姿は映らず、知らない高校生の男子が不穏な様子で物騒な言葉を繰り返していた。
Tangはその生徒を探し、実在する高校生Neoだと知る。
Neoは、事故で亡くなった生徒を殺した犯人として校内で迫害されていたのだった。
予告編
イメージ予告という感じのティーザーです。
鏡、転落事故と思しき事件、孤独、いじめといったキーワードが浮かんでくるような予告編です。
果たして、事件とは? そして鏡に映る彼とTangの関係は一体なんなのでしょうか。
Self の魅力と個性
二つの”なぜ”が物語を引っ張る
なぜ鏡にこのような現象が起こったのか
Neoの事件の真相は何
ミュージシャンになる夢があとわずかで叶いそうなTangとはいえ、ナーバスになり落ち着かないTang。
なぜTangが、見ず知らずのNeoを不思議な形で見ることになったのか、なぜ鏡がこのような現象を見せるのかにまず興味が湧きます。
そして、Neoの事件。
高校生が銃を持っていたり、暴力的で負の空気が漂うNeoの側。
明らかに何か大きなトラブルに巻き込まれているNeoの事情 や殺人者などと呼ばれている理由 、そして何より真相が気にな るんです。
友人との感情のもつれ、人ごととは思えないリアルさ
成長に従って、私たちは社会生活を送るために適度な距離感などというものを意識するよう になります。
それでも、親しい間柄で思わずすれ違ってしまうことがあり 、そうなると、共通のコミュニティにいない友人ならば繋がりは静かに消えていくことも。
ただ、未成年で高校生の彼らは、学校という日常を過ごすコミュニティの中で、時にすれ違いを解消する必要も出てきます。
Tangと友人たちは共通のコミュニティ、音楽活動という共通の趣向が関係を途切れさせない役割を果たしています。
ただ、Neoの場合は、彼をコミュニティから弾き出そうとする問題が発生 していました。
さまざまな要因が掛け合わさり、まさかの方向に進むこともある人間関係 。
シビアな人間模様の渦中に置かれた時自分ならどうしただろうか、と思わず考えてしまうリアルさがそこにありました。
最後まで信じてくれる人との出会い
孤独すぎる状況に置かれ、常に精神的肉体的攻撃を受け続けている時にNeoの元に現れたTang。
不思議な現象が繋いだ二人の出会いは、全くの別のコミュニティにいるTangだからこそNeoの状況を冷静に理解できるんです。
Neoへの攻撃は理不尽なもので、弱いものを求めて攻撃したい者たちの旬の標的となっているだけ。
TangがNeoの人となりを知り、彼の味方として寄り添うことで、Neoは一気に救われます。
二人の間には友情とは違う感情が生まれていることもちらと描かれています。
一人一人の恋が必ずしも成就することはない現実を描きながら、すれ違ってしまう人間関係、感情を持つ人間だからこそそこから逃れることは難しい苦しみまでをも描いていました。
「Self」とは
不思議な現象が繋いだ二人の縁 好意と拒絶、喪失と悲憤、信頼と愛を描く 甘くない高校生の物語
ハマり度は
2
ファンタジックな状況が生んだ独特の出会いが二人の運命を感じさせたヒューマンな信頼の物語 。
主人公たちが信頼を築くと同時に恋の気配を漂わせていたことで、特別な関係の示唆が説得力を持っていた とも言えます。
苦しい時、誰かを責めたり、標的となっているものを攻撃することで憂さを晴らしたい人など、人間の醜くも弱い部分をクローズアップさせた「Self」。
甘い恋の物語では全くなく、むしろ人間の弱さと醜さを突きつけられるような物語 ゆえに覚悟が必要です。
また、まだ荒削りでキャラクター性を演技に落とし込めていないゆえの、各シーンでの表現の不統一感、感情の突飛な遷移感がどうしても没入度の妨げとなってしまいました。
制作側としても事務所側としても、こうしたウェブでミニドラマを公開することで多くの経験値を得、反応を確認することができるのでしょう。
ラブストーリーというよりはヒューマンドラマ。
甘い要素はほぼないけれど、どうしようもないことに直面することもあるのが人生だと身につまされる物語でした。
視聴方法(2022.11.8現在)
NekoCapで日本語字幕をつけました。
スマホから視聴の方 はこちらのリンクから↓
「Self The Series」のタグをクリックしてもらうとソートされます。
▶︎NekoCap habbit翻訳リスト
PCも上のリンクから視聴できます。Chromeをお使いの方はNekoCapの拡張機能が大変便利ですので、ぜひ利用してみてください。
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あらすじ・結末&感想
Neoが糾弾されていたFei先輩の死の真相は
自殺でした
その理由と考えられるものは:
Neoへの想いが届かないと知った絶望感
まだ癒えていなかった父を亡くした喪失感
服用していた薬の影響
FeiはNeoに好意を抱き、さらにはお父さんを亡くして癒えていなかった喪失感を、お父さんと同じ趣味を持っているNeoに像を重ねて諦められなくなっていたと思われます。
誰かを好きになった時、どうしてもその人が得たくて意地になってしまったFei。
真心さえあれば、できる限り努力すればきっと振り向いてくれるはずだという独りよがりの前向きさがNeoを遠ざけてしまうという逆効果が生まれていました。
こういうパターンもあるから、親友に恋した時、恋心を隠してしまいがちなんですよね……ツラすぎる…
決定打はおそらくFeiが亡くなった時に持っていた薬。
「僕が突き落としていないという証拠となるものがある」とNeoは言っています。
自殺、あるいは極端な選択をしやすい状況にあったことを証明するものだったんですね。
SNSを中心にNeoを責め煽っていたのは
Feiの実の弟、Juneでした
Juneは父に続き兄を亡くしただけではなく、ショックのあまり母が心を病み認知能力を失った状態で孤独の中にいました。
悲しみと憤り、不安を、Neoのせいだと信じることでせめてもの生きる力としていました。
「Feiの死を無駄にはしない」というアカウントでNeoを吊し上げることによって、Feiの死を悼む人や炎上に乗りたい人を集めては、彼らを自分の共感者としていた節があります。
そこがせめてもの自分の居場所だったのでしょう。
本当はFeiの死を一緒に悼み、暖かい腕で抱きしめて欲しかったJune。それをしてくれたのは、Feiの死に責任を感じ続けていた当事者のNeoでした。
ただ、Neoがそうできたのは、彼を信じてくれたTangの存在があったからでしたが。
結末
NeoはTangの高校に転校します。
Tangのそばで、Tangのバンド仲間MayとNam-meiと笑顔で微笑む姿がエンディングとなっています。
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